われわれをとりまいているすべての生きものたちとの聖なる関係についてブラック・エルクはつぎのように語っていた

相手がどんなに小さくて、のそのそ動き回るものであろうと、そうした生きものだって、われわれに貴重なレッスンを学ばせてくれることがないわけではない。ほんとうに小さな蟻たちですら、人間になにごとかを伝えたがっているかもしれないのだ。
イクトミ(蜘蛛)はおおむかしはヒトだった。いまのわれわれと同じような人間だ。彼はこの世界で最も早く成熟し一人前となった。だから抜け目のなさでは人間はとても彼におよばない。すべての人と動物に名前を与えたのはイクトミであり、話術を最初に自分のものとしたのも彼だった。
すべての生きものたちのなかで最も重要なのは翼を持つものたちである。なぜなら、翼を持つものたちはいちばん天に近いところにいるからだ。翼を持つものたちは、四つ足たちのような地を這い回る小さなヒトたちのように、大地に縛られることはない。あの連中の宗教はわれわれのものと同じだ。彼らは地球で起こることのすべてを見、餌としてつかまえるものを絶対に見逃さない。
ヘハカ・サパ(ブラック・エルク) 1863年12月ワイオミングのリトルパウダーリバーに生まれ、1950年8月にサウスダコタのパインリッジで没。キリスト教の伝教者となった時代の写真を借りてきたウィキペディアの英語版にはつぎのように書かれている。
【要約】オグララ・ラコタの有名な聖者(ホーリーマン)であり、メディスンマンであり、ヘヨカ(道化)であり、チーフ・クレイジー・ホースの2番目のいとこ。1892年に最初の奥さんとなるケイティ・ウォー・ボンネットと結婚。彼女は敬虔なクリスチャンだったために、もうけた3人の子どもたちも洗礼を受けた。ケイティが亡くなった1903年、彼も洗礼を受けて、伝教者としてニコラス・ブラック・エルクという名前になる。キリスト教の教えと部族の伝統的な信仰の間に矛盾をまったく感じていなかった節がある。1905年にふたりの娘のいる未亡人のアンナ・ブリングス・ホワイトと再婚し、さらに3人の子供をもうける。2番目の奥さんのアンナは1941年に亡くなる。晩年にジョン・ナイハルトならびにジョセフ・エプス・ブラウンのふたりの作家や教育者が彼の言葉をまとめて何冊かの本を残した。
ここに今回紹介したのは、われわれ人間をとりまいているすべての生きものたちとの聖なる関係の一端をうかがわせるもので、モンタナ大学宗教学部教授として2000年に亡くなったジョセフ・エプス・ブラウンが聞き書きしたものから。どうでもいいインディアン関係の本の翻訳が増えるなか、彼についての本が『ブラック・エルクは語る』しか今はまだ日本語で読めないのは実に悲しいことであります。
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