Saturday, December 01, 2007

チーフ・アーボルが出した最も新しいメッセージを解読する

Kenahkihine 2006
カナキヘン(2006/12)
Kenahkihine & Mother
カナキヘンと母親(2007/10)
Black Buffalo with white legs
足先が白毛の黒バッファロー
Kenahkihine & Black Baffalo
カナキヘンと黒バッファロー

whitebuffaloンシルバニア州ファーミントンにあるウッドランド・ズーという名前の民間の小さな私設動物園で昨年12月にバッファローの白い赤ちゃんが生まれたことはすでにお知らせしてある。その土地の先住民たちから彼らの言葉で白いバッファローは「カナキヘン(Kenahkihine)」と名づけられた。「われらをお見守りください(Watch Over Us)」という意味だそうだ。その後の「カナキヘン」について断片的に情報が届けられるだけだったが、ほぼ一年たってようやく事実と共にその意味も明らかになってきている。

事実経過をはっきりさせておくと、昨2006年5月にまずその動物園で連れてこられたばかりの二頭のバッファローのうち一頭から普通の茶色いバッファローの赤ん坊が誕生した。普通の出産だった。バッファローは以後それら二頭の雌しかいないところで飼われていた。その出産からわずか6ヶ月後の11月12日に、5月に子供を産んだのと同じバッファローからまた赤ん坊が生まれた。普通のバッファローの妊娠期間は9ヶ月である。しかしその赤ん坊は母親の胎内で完全に育ってから生まれてきた。そしてその雄の赤ん坊は全身が白い毛で覆われていたのだ。彼が「カナキヘン」である。

ラコタ、ナコタ、ダコタの人たちから自分たちの予言の確認の意味で、ラコタの精神的指導者のひとりであるデイビッド・スワローが今年2007年の4月に動物園を訪れて確認をし儀式を執りおこなった。さらに今年の6月、ラコタの精神的指導者たちからの要請を受けて、動物園の近くに暮らすホリカチュクとショウニーの混血であるホーク・マイケル・スピサク(Hawk Michael Spisak)とそのパートナーで東部チェロキーの血を引くタムラ・ブレナン(Tamra Brennan)のふたりが定期的に動物園を訪れて祈りの儀式を執りおこなうようになった。

ところが今年の7月28日の日に再び特筆すべき異変が起きた。カナキヘンとその母親のバッファローのふたりとともにひとつの囲いの中に入れられていたもうひとりの別のバッファローが、実際いかなる雄のバッファローも雄牛もそばに近づいたことがなかったと証明されている雌のバッファローが、誰も想像していなかったその日に出産したのだ。生まれたのは女の子のバッファローで、全身が黒い毛で覆われていたが、4本の脚の下半分が白毛だった。処女懐胎としか言いようのない出来事だった。

動物園のオーナーは、母親バッファローが他の雄の近づけない環境にいたことが証明されると驚きを隠せず、人工授精などの可能性も調査したもののすべてが否定された。この不思議な出来事が、スピサクとタムラによって全米各地の先住民の指導者に報告された。そしてスピリチュアルリーダーのすべてがこれは全人類にとって重要な出来事であることを確認し、それ以後くだんの動物園の問題の三頭がいる囲いの前ではさまざまな儀式が断続的に続けられているという。

そこまでをのみこんだ上で、アーボル・ルッキング・ホースが11月12日月曜日に世界中の心ある人に向けて発信したメッセージをお読みください。飜訳はあわただしいなか小生があわててやっつけたので今後間違いがあれば手を入れていくことをあらかじめご了承ください。

ミタクエ オヤシン
(わたしにつながるすべてものたちに)

またひとつ偉大なるメッセージが動物の国からわれわれの元に届けられた。このたびの報せは、今までにもまして急を要するものだ! かねてより別の白いバッファローが誕生したというニュースをわたしは気にしていたのだが、このたびの報せは、今までのいかなる御しるしとも大きく異なっている。

地球の温暖化が世界に向けて発表されたのと同じ1994年以来、この地球の上に、少なくとも4年から6年の間隔を置いて、聖なる白いバッファローの仔たちがお立ちになられた。バッファローはわれわれにとてつもない緊急事態が起こっていることをその御しるしによって示されてきただけでなく、他の世界の多くでも動物の国が、この神聖な色のさまざまな動物を誕生させてきた。その色は「南」を表す。そして南は、われわれがスピリットの世界へ行くときに、ひとつの輪を完成させるときに通り抜ける方角である。この解釈は、わたしが大切に守り続けてきた包み、白いバッファローの仔牛の娘からの予言を今に伝える神器の収められた包みと関係する。かつて彼女はこう語られた。彼女のスピリットがこの大地のうえにたつとき、それは偉大なる変化がわれわれのすべてにまさに起ころうとしていることを伝えるためであると。そのときには、二本の脚を持つものたちは、自分たちが作り出した地球の傷を癒すためにその進む道を変えることになる。いのちとスピリットとを敬うという境界線が、おそらくそのときには破られていることだろうと。

今回の白いバッファローの誕生もそうした御しるしのひとつであり、事態が切迫しつつあることの自覚をうながしている。今回の新しい白いバッファローの生誕には、ふたりの雌のバッファローしか関係していない。彼女たちは隔離されていた。雄のバッファローの姿は影も形もなかった。とても信じられないことかもしれない。しかもこのたびはバッファローたちが飼育されているところの人たちも、雌のバッファローに人工授精を施したとして非難を受けたくないがために、ひたすら沈黙を守っている。過去にも、白いバッファローの仔牛を所有することを宣伝材料にしていると非難を浴びるような事例があったからだ。

ペンシルバニア州ファーミントン市にあるウッドランド動物園が自分たちの施設に2頭の雌のバッファローを運び込むことにきめた。バッファローたちが連れてこられたとき、一頭の雌は妊娠していた。やがて彼女は仔牛を出産した。その仔牛は売られていった。そして6ヶ月後、同じ彼女が再び別の仔牛を産み落としたのだ。今度は白いバッファローの仔だった。普通バッファローは人間と同じように出産までに9ヶ月を要する。彼女と一緒に連れてこられて、同じところで飼育されていた別の雌のバッファローは、その白いバッファローの仔が地球に立たれてから9ヶ月後に、黒いバッファローの仔を産んだ。そして今度もまた雄のバッファローの存在はまったくなかった。

わたしがこの事実に着目したのはそれからまもなくのことだ。一連の儀式が終わり、真相やメッセージを理解できるようになるまで、わたしは発言を控えるようにしてきた。

1994年以来、何度かこの種類の御しるしがもたらされた。だが人びとはその御しるしに耳を傾けることも、動物の国からメッセージとして送られてくる大切ななにかを受けとめることも、どちらもしたくはないようだった。これは信仰の問題とも大いに関係する。

メッセージが伝えているのは次のようなことである。われわれは今たいへんに危険なときにいる! 偉大なる曾祖母の地球(Unc’i Maka)のうえにいる人びとは頭のなかで、地球という大きな共同体のなかで暮らすわれわれすべてを痛めつけている新しい生き方に焦点を合わせることを選択している。この生き方は戦争を選択し、物理的に、あるいは言葉を用いて、互いに傷つけあい、自分たちが真に必要とする以上の資源を奪い去ることで曾祖母の地球を(Unc’i Maka)を冒涜し続けている。こうした選択はただわれわれ人間だけを傷つけるのではなく、われわれが受け入れた生き方によって無数の動物の国々を死に追いやり絶滅させていっている。偉大なる曾祖母の地球(Unc’i Maka)は、すべてのいのちに食べるものを与え続けるために、過酷なときを送ることになるだろう。こうした選択は出来うる限りすみやかに、ひとりひとりが、すべての人の手の中で変えていかなくてはならない。いのちのスピリットを敬う心が取り戻され、しかるべきところに境界線が引き直されて、すべての人たちの生活のなかに信仰が戻らなくてはならない。

われわれにはこの声に耳を傾ける以外の選択はない!

地球に平和が広く行き渡らんことを!
聖なるいのちの輪のなか、
そこには終わりもなければ、はじまりもなし!


チーフ・アーボル・ルッキング・ホース
 聖なる白いバッファローの仔牛のパイプの第19代目守り人

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reddot WHITE BUFFALO CALF WOMAN STORY As told by John (Fire) Lame Deer ホワイト・バッファロー・カーフ・ウーマンの言い伝え 北山耕平訳

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Monday, December 25, 2006

いつまでも見守ってくれるといいのだが

ペンシルバニア州ピッツバーグ市郊外のフェイエッテ郡にある私立動物園「ウッドランド・ズー」で先月中ごろに誕生したホワイト・バッファローの子供はまたしても変性女子(雄)だった。そして12月23日には地元のネイティブ・ピープルであるルナペ国(Traditional United Eastern Lenape Nation)のチーフ・ホワイト・パンサーが場をとりしきって、生まれて間もない白いバッファロー君に名前をつける儀式がにぎにぎしく執りおこなわれた。清めのセージが焚かれ、歌と踊りが奉納され、各地から祝福に訪れたさまざまに異なる部族の代表もまじえて、儀式は延べ2時間半にもおよんだという。

Kenahkihine 1

クリスマスの日の2日前に、ルナペの人たちが彼につけた名前は「カナキヘン(Kenahkihine)」というもので、これはルナペの言葉で「われらをお見守りください」という意味だという。チェロキーを代表して祝いの儀式を奉納したタミー・モーガンさんは「私はこの名前が気に入っている。わたしたちは見守られる必要があるから」と語った。

同じように儀式に加わったチェロキーのエルダーであるダナワ・ブキャナンおばあさんは、儀式を見守った数百人の群衆に「この白いバッファローは、ひとりひとりの人間にあらかじめ与えられている『すべてのはじまりの時における役割』にたいする責任を思い起こさせるだろう」と語りかけた。「風も、水も、植物も、人間以外のいのちある人たちも、そして人間も、みな同じようにこの地球を分けあう権利が与えられているのです。しかしわたしたち人間は、この地球を分けあうと言うことの意味が理解できなくなってしまっています」

Kenahkihine 2このホワイト・バッファローに名前をつける儀式には、地元のネイティブ・ピープルであるルナペ・ネーション、そしてチェロキー・ネーションの代表の他にもブラックフットとモホーク・ネーションの代表が参列した。

この日ばかりは、動物園の人気者のトナカイや熊などはバッファローにすっかり話題をさらわれた形となった。この動物園を14年間守ってきたハリング氏は儀式のあと感慨深そうに「われわれの仕事は明かりを守る灯台守みたいなものかもしれません。すべての人たちに光りが届くようにするのが仕事なのです」と地元の新聞記者に語っている。白いバッファローが誕生してからこの日まで、そのバッファローを買いたいといういくつかの申し出があり、なかにはもうひとつ動物園が作れそうぐらいに高額なオファーもあったが、彼はこの白いバッファローの子供を売る気はないとも。彼はこうしめくくっていた。「われわれはネイティブ・アメリカンの人たちの気持ちを充分に敬います」

儀式にはさまざまなメデイアが駆けつけて記録にとどめている。可能な限りいろいろな写真を集めてみたのでカナキヘン君の姿を目に焼きつけてほしいと願う。彼の動いている姿と儀式の一部始終を伝える地元テレビ局のビデオニュースも見つけたのでリンクしておく。

arrow2 KDKA CBS NEWS "Local Tribe Names Rare White Buffalo"

Kenahkihine 3ホワイト・バッファローの伝承についてはラコタのエルダーでメディスンマンだったレイム・ディアーが語った「ホワイト・バッファロー・カーフ・ウーマンの物語」をぜひお読みください。あれからいくつもの冬を数えたが、遠い昔のこと、ふたりのスーの斥候が食べものとなるものをさがして旅に出たとき、彼らは白い服をまとった美しい女性と遭遇した。斥候のひとりはその女性を見てよこしまな感情を抱いたためにその場で絶命する。もうひとりの斥候は一族の野営地に戻り、そのための儀式用のティピを建て、彼女を迎え入れる準備をおこなう。白い服の女性はスーの人たちのもとを訪れて、正しい祈りのあげ方と、ありとあらゆるものがつながりあっていることを教えたという。そしてそこから去っていくとき、彼女は白いバッファローの子供に姿を変えていたという。

今では白いバッファローの誕生は、スピリットが帰ってくることのシグナルだと考えられている。エルダーたちは、人間の生きる道が分かれ道になるたびに白いバッファローが誕生するのだと語る。このところ立て続けに白いバッファローが誕生し続けていることから判断する限り、われわれは間違いなく岐路に立たされているのかもしれない。

願わくば彼が末永くわれわれを見守り続けてくれることを。

(可愛いなぁ。ピッツバーグまで会いに行きたくなっちゃいますね。)


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Wednesday, December 13, 2006

白いバッファローと虹

White Buffaloファーミントンの動物園でアルビノではない白いバッファローが誕生したことを伝えるニュースに興味深い人物が登場していたので今日は彼女の紹介をしておく。同じファーミントンの町の近くで医師をしているウェィーン・R・ブラウン先生で、西洋医療のみならず、今は自然医学と鍼治療も治療に取り入れている人だ。彼女がこの23日に予定されている白いバッファローに名前をつける儀式の提案者のひとりでもある。

「白いバッファローの出現はホワイト・バッファロー・カーフ・ウーマン帰ってきたことを意味します」と話すブラウン先生だが、彼女は自分のことを「虹(レインボー)」と呼ぶという。なぜ虹なのかというと、少なくても彼女のなかには5つの民族の血が流れているからで、そのなかにはアメリカ・インディアンのチェロキーもあるし、アイリッシュ(アイルランド人)もある。

彼女は「アメリカ・インディアンのたくさんの部族が、バッファロー・ウーマンは人びとに創造主との交信の仕方を教える予言者であると信じている」として、今回の白いバッファローの誕生は「国中に癒しが起こるきわめて特異な機会」であり、だから「バッファローの名前にはそのことが投影されている必要がある」と語っている。

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Monday, December 11, 2006

グレイト・スビリットは急いでおられるのか

newborn_whitebuffalocalf
Photo by Pam Panchak, Post-Gazette
やはり偉大なる精霊は急いでおられるのかもしれない。11月26日にミラクルズ・セカンド・チャンスが亡くなられて間もないのに、新しいホワイト・バッファローの子供の誕生を伝えるニュースが届いた[post-gazette Pittsburgh, Pa.Monday, Dec. 11, 2006]。しかも一千万分の1の可能性で生まれてくるとされるそのホワイト・バッファローの仔牛は11月12日に誕生していた。

ペンシルバニア州フェーエット郡のファーミントンという町からほど近いところにある民間の動物園「ウッドランド動物園(Woodland Zoo)」の放し飼いにされているバッファローの群れのなかで彼もしくは彼女は誕生した。問題の仔牛はアルビノではないことは確認されたが、バッファローの女性たちが現在その仔牛をしっかりと守っていて人間が近づける状態にないらしい。ホワイト・バッファローの仔牛は母親にぴたりと寄り添って一日中離れる気配もなく、さらにバッファローの群れが問題の仔牛を囲んで警護しているために、離れたところからその姿を見ることはなかなかできないという。「バッファローたちがあのように仔牛を守っている間はそばに近づきたくありません」とこの動物園を20年近く経営してきたオーナーのソニー・ヘリング氏は語る。

話を聞くとヘリング氏が12日の早朝に餌をあげようとして仔牛を発見したそうだ。彼は最初隣接するふれあい広場飼育されている羊がどこからか紛れ込んで一緒にいるのではないかと思ったらしい。近づいてはじめてそれがバッファローの子供であることを知ったという。「バッファローは普通秋に交配をして春に誕生するのです」と彼は言う。今回は子供が誕生する気配などまったくなかったらしい。「なぜ11月に?」と彼は不思議がる。仔牛の母親は昨年の春にも仔牛を産んでいるがそのときには普通のバッファローと同じ焦げ茶色の仔牛だった。

この話を聞きつけて、これまでにすでに何人かのネイティブ・アメリカン・ピープルがこの聖なる白いバッファローの子供に名前をつけたいと申し出ている。同地域の先住民として5000人ほどが暮らすルナペ(デラウエア)国[Eastern Lenape Nation of PA]も、今回の白いバッファローの子供の誕生に多大な関心を寄せているために、ヘリング氏夫妻彼らと相談をした上で、12月の23日に名前をつけるための儀式が執りおこなわれることになっているという。

時間はなくなりつつあるが、地球とそこに暮らすものたちはまだ救う価値があると、グレイトスピリットは考えておられるのだろうか?

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Tuesday, November 28, 2006

白いバッファローの子供は雷に撃たれて死んでしまった

news今週の日曜日の夜、大きな落雷があり、二頭の大人のバッファローと三頭の子供のバッファローが死んだ。そしてこの三頭の子供のなかには、あのミラクルの再臨とされた、ミラクルズ・セカンド・チャンスがふくまれると、ウィスコンシン州ジェーンズヴィルの南にあるハイダー牧場の牧場主デイブ・ハイダーさんが昨日公表した。月曜日の朝の仕事の前に牧場を見回った際、五頭のバッファローが死んでいるのを発見したもの。

白いバッファローを産んだ母親バッファローがしきりとうなり声を上げながら歩き回るので、ハイダーさんが彼女のあとについて丘を登ってみたところ、折れた木のかたわらで焼け死んでいる五頭のバッファローを見つけたのだという。ハイダーさんは原因が落雷であることは明らかだと語っている。

ミラクルズ・セカンド・チャンスは今年の8月25日、激しい雷雨の中で生まれた。あのとき雷と共に地上にやってきた白いバッファローの子供は、3ヶ月後再び雷によって天に召されたのである。

「おそらくこのことでたくさんの人が悲しむことだろう。単なる偶然かもしれないが、二度も雷が落ちるなんて。あの子は嵐の中で生まれて、嵐の中で死んでいったのです」とハイダーさんは地元の新聞であるジェーンズヴィル・ガゼット紙の電子版の号外で語っている。

はたして「偉大なる謎」は、なにをミラクルズ・セカンド・チャンスにたくしたのだろう? 雷の力は世界を破壊するほどに強いと、かつてローリング・サンダーが語っていたのを思い出した。

next Lightning strike kills white buffalo (Monday, November 27, 2006 12:13:08 PM CST) Janesville Gazette Xtra

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arrow2 Miracle's Second Chance Homepage,The Heider Farm

追記 ぼくの友人が毎週の運気を易で立てたものを「Another Way」というサイトに掲載している。今週の卦はここ。一読されると、易のすごさが理解できる。今週の卦は「Fire over Thunder(雷のうえの火)」となっている。この卦は「いまが断固として果断に行動するのにいいとき」であることを教えてくれているのだそうだ。

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Saturday, October 14, 2006

パイプとともに歩むすべての人たちに

1994年にウィスコンシンのジェーンズヴィルにあるハイダー・ファミリーの牧場できわめて珍しい雌の白いバッファローが60数年ぶりに誕生して「ミラクル」と命名されて以来、不思議なことにアメリカ全土でかなりの数の白いバッファローが生まれるようになっている。

興味深いことに、そうやって白いバッファーが生まれる牧場のほとんどは非ネイティブ・アメリカンの人たちの所有になるものであり、結果としてさまざまに異なる文化的背景を持つ人たちも、北米大陸のほとんどあらゆるネイティブ・ピープルにとって白いバッファローが平和への希望の象徴であることを知るに至り、彼らを祝福するようになってきた。そしてさらに不思議なことに亡き「ミラクル」の生誕地であるハイダー牧場で、この夏、8月25日、雷をともなう嵐の中、再び白いバッファローの赤ん坊が誕生し、「ミラクルズ・セカンド・チャンス」と命名されたことはすでにお伝えした。

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この「ミラクルズ・セカンド・チャンス」を実際に確認したテトン・ラコタの精神的指導者で、メディスンホイール・サンダンスのサンダンス・チーフ、ラコタ国折れた矢バンドの首領であり、今はパイン・リッジ居留地に暮らすデイビッド・スワロー(David Swallow, Jr.)——インディアン・ネーム「Wowitan Uha Mani」(プライドと共に歩く)——が、さる9月22日に、ことの重大さについてのメッセージを世界に——世界中にいる「パイプ・キャリヤー」とされる縁ある人たちに——向けて出しているので紹介しておく。[わたしの友人や知りあいにもパイプキャリアーがいるし、誰それがパイプを持っているという話もしばしば耳にする。20世紀末にパイプを持つものになった人はけっこういるのではないかな]

セカンド・チャンス やり直しの機会
彼はまず、この新しく生まれた白いバッファローにつけられた「ミラクルズ・セカンド・チャンス」という名前について、その名前が見事にすべてを言い表していることを自分は少しも疑わないと述べたうえで、

「その名前は言い得て妙としか言えず、これは予期せぬ出来事などではない。ミラクルズ・セカンド・チャンスは、まさしく全人類にとってもセカンド・チャンスなのだ」

と語った。そして彼の一族にとっては、雷は悪が滅びることを意味しており、ミラクルズ・セカンド・チャンスが雷と共に誕生したことは確かなメッセージであるとつけくわえた。

「どこにでもいる普通の人間やそこらへんの政府がそうした世界的な危機や破滅をもたらすのではない。強欲とねたみにとりつかれて、あらかじめその取り巻き連中を食べ尽くせと命じられている、あの予言に出てくるいくつもの頭をつけた巨大なヘビに餌を与えているものが、それをもたらす」

デイビッド・スワローは聖なる白いバッファローの子供の娘は争いが続いていたたいへんなときに人々に平和を呼び戻し、人としてのよい生き方をとりもどさせるためにやって来るのだと、彼の一族の伝統的なお話しを引き合いに出した。

white buffalo calf woman

聖なるバッファローの子供の娘はまずふたりの人間の前に姿をあらわした。この最初の遭遇において、ひとりは深い尊敬をあらわし、正しく心ある行動を取ったことで栄誉を受けた。もうひとりはよこしまな思いを抱いたためにその場で飲み込まれて土に還されてしまったのだと。

スワローは今再び同じことがこの世界で起こると信じている。彼は話した。「この仔牛の誕生はそのことを象徴しており、再び悪が滅びることになるだろう」

「白人の国々、今の世界で大きな力を持つ文化の国々は、すべての人々が互いに、そして母なる地球との関係において、平和で調和がとれた、善なる生き方に帰るべきときがきている。それができたときにのみ、われわれのこの世界で、いのちも続くことができる」

パイプを預かる世界のすべての人へ
しかし、スワローによれば、白い仔牛は主要国にたいするメッセージだけでなく、同時に「先住の民の国々」にとっても明確なメッセージであることは疑いようがないと言う。彼は、聖なる白いバッファローの子供の娘によって「神器であるカヌンパ(聖なるパイプ)」が、彼の一族にもたらされたことを指摘した。聖なるパイプは、正しく善なるやり方で用いられて祈りが捧げられることで、心からの祈りも聞きとげられるのである。

デイビッド・スワローはそこで「チャヌンパを持つすべての人たち」に呼びかけた。

「聖なるパイプを預かるものは、ネイティブ・アメリカンであれ、他のどこの人であれ、そのチャヌンパを毎日取りだして、平和と調和とわれわれの世界が良き道に帰ることを希求する日々の祈りに、それを用いる必要がある。お金に心を奪われている人々の目を覚まさせ、利益のために母なる地球を破壊することを止めさせて、母なる地球の健康が回復するように祈らなくてはならない。それだけでなにかが起きる。なにかとてつもなくリアルな変化が起きる。チャヌンパは、すべてのそれを預かるものによって、この目的のために使われる必要がある。チャヌンパを持つものは、それを毎日欠かさずにおこない、その祈りを心に抱いて歩いていかなくてはならない」

スワローは続けた。「わたしは英語の使い方がうまくない。だから、注意して話さないと、間違った言葉を使って誤解されかねない。しかしこれだけはしっかりと理解してほしい。われわれは、誰であれみな、祈ることが必要なのだ。チャヌンパを預かるものであろうがなかろうが、それはかわらない。あなたがアメリカ人であろうが、はたまたアメリカ人でなかろうが、それもかわらない。われわれは祈らなくてはならない。なぜなら、祈ることによってのみ、この世界は救われるからだ。世界を破滅させようとする人たちのハートを変えられるのは、祈るものたちによってのみなのだ」

「わたしは、これがわたしたち人類に与えられたセカンド・チャンスなのだということを伝えた。人々が目を覚ましてこのメッセージを聞いてくれることを祈るものである。われわれのいのちも、われわれの世界も、すべてはそのことにかかっているのだから。ホ・ヘクチュ・イェロ。わたしは言葉を送った」

参考 ラコタの聖なる人であり、メディスンマンでもあった故ジョン・ファイアー・レイム・ディアーが、1967年に語ったホワイト・バッファロー・カーフ・ウーマンについての話

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Tuesday, September 12, 2006

ホワイト・バッファローの男子誕生

Miracle's Second Chance Website

ウィスコンシン州のジェーンズヴィルという典型的なアメリカの田舎町の郊外にある牧場(ハイダー牧場)で白いバッファローの女の赤ちゃんが誕生したのは12年前の夏(1994年8月20日)ことだった。人間性の回復と希望、そしてあらゆる生きてあるものたちとの調和の象徴としての白いバッファローの娘の降臨は、長くラコタの予言に伝えられていたものであり、ネイティブピープルのみならず世界中の多くの人たちの関心を集めたハイダー牧場の白いバッファローは、「ミラクル」と名づけられて大切に育てられた。彼女が誕生したことをきっかけにして、「WPPD(World Peace & Prayer Day)」がはじまり、その影響下でこのブログもはじまったことは、すでにどこかでお伝えした。ミラクルは4回毛の色を変化させた後、正確には白色から黒色へ、そして赤色へ、最後に黄色へと毛の色をかえたあと、日本列島の富士山で「WPPD(せかいへいわといのりの日)2004」が行われた年の秋に、この世界の旅を終えた。正確には2004年の9月19日に、突然一切の食べものを食べなくなりそのまま死んだ。ここまでは過去の事実を追いかけて記述したに過ぎない。

そして今年の夏、つい2週間程前の8月25日、場所もまったく同じウィスコンシン州のジェーンズヴィルのハイダー牧場で、再び奇跡が起きた。雷をともなう嵐が牧場を包んで去った直後の早朝、またしても白いバッファローの子供が生まれたのである。そして今度は男の子だった。ミラクルがそうであったように、この男の子もいわゆる「アルビノ」ではないという。ハイダー夫妻はいたずらに世界の好奇心をかき立てたくないとの理由から9月8日までこの事実を公表しないできた。

ミラクルの再臨か
ハイダー牧場の人たちによって、新しく地球にやってきた彼は「ミラクルの再臨(Miracle's Second Chance[ミラクルに与えられた2回目の機会])」と命名されていた。ハイダー牧場のハイダー夫人は、なぜその名前をつけたのかという質問に、彼の仕草などが最初のミラクルとよく似ているだけでなく、その姿形までもが「そっくりだったから」と応えている。また牧場で飼育されている他のバッファローたちの群れも、彼がミラクルと同じようなユニークさを持っていることに気がついていることは明らかだという。バッファローの群れたちは、ミラクルの時がそうだったように、「ミラクルの再臨」くんもまた、群れのまんなかに常に位置するように意図的に行動しているそうだ。また別の母親バッファローは、自分の子どものバッファローが彼に突っかかろうとすると、わざわざ間に入って喧嘩をさせないようにしてもいるらしい。

この驚くべき「ミラクルの再臨」は遺伝学的にはミラクルとはまったく縁もゆかりもない。それほど遠くない昔に、ミズーリ州でハイダー牧場の主が、家の牧場のバッファローの群れに元気と活力を与える目的で購入した品評会のグランド・チャンピオンのバッファローが母親である。雄親は荒くれで凶暴な困りものの10ヶ月の雄バッファローで、しきりと牧場のフェンスを跳び越えようと試みる厄介者だったらしく、子供が生まれるのを見る前に食肉として解体されて、ハイダー氏に言わせると「とっくにハンバーガー・ヘルパーにされて」しまっていた。この雄が種付けをして現在妊娠中の雌のバッファローが他にまだ二頭いる。

女の子でなくて残念の声も
ミラクルが誕生した1994年以来、全米各地でホワイト・バッファローが何頭も生まれるようになっていることにお気づきだろうか? なかには「アルビノ」のものがいて、アルビノの場合は普通は「白いバッファロー」の数には加えられないし、そうでなくてもたいていはみな長生きできない。他の牛との混血だったというケースもある。もちろんなかには生き続けているホワイト・バッファローたちもいるわけで、今回新たにそのリストに「ミラクルの再臨」が加えられたことになる。

今度誕生したホワイト・バッファローが男の子であったために、予言の成就ではないし、ミラクルほどの神聖さはないのではないかとする声もある。しかし男であれ、女であれ、白いバッファローはネイティフ・アメリカンの国々においてはいずれにせよ神聖な存在と受けとめられてきたことは間違いない。スピリットの世界には「変性女子(へんじょうにょし・女性の御魂を持って生まれている)」という便利な考え方もある。ハイダー牧場にはこのニュースを受けて再び人々が祈りをささげに訪れはじめているし、そもそもハイダー牧場のあるその土地そのものが、ネイティブの人たちにとっては「聖地」とされ続けてきた土地なのだと主張する先住民もいるのである。

スピリットの世界でなにかが起きているらしい。

arrow2 ミラクルの再臨くんのこの2週間の記録写真ページ

arrow2 地元新聞 Janeseville Gazette (Published Saturday, September 9, 2006) の「White buffalo birth remains 'extremely rare'」という記事

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Tuesday, July 05, 2005

彼女の名前が「メディスン・ハート」にきまったようです

medicineheartNative Heart (Wednesday, June 22, 2005) でお知らせした白いバッファローの女の子の赤ちゃんに「メディスン・ハート」という名前が与えられました。ケンタッキー州のバグダッドという町からAP電が、最新の白いバッファローとセレモニーに集まった人たちがガマの穂のようなもので太鼓を打ち鳴らしているシーンを写真入りで伝えています。

ネイティブ・アメリカンのあるグループが、ケンタッキー州のシェルビー郡で、白いバッファローが誕生したことを祝して、セレモニーを執りおこなった。白いバッファローはきわめて珍しく聖なる象徴と考えられている。「メディスン・ハート(ふしぎな力を持つこころ)」と名づけられた赤ん坊の白いバッファローは、6月3日にシェルビー郡のシェルヴィヴィル(SHELBYVILLE, Ky.)にある観光牧場(Buffalo Crossing Restaurant & Family Fun Ranch )で誕生した。本日、1時間半ほどをかけて儀式をおこなったのは、インディアナ州から駆けつけたショウニーに属しラコタの血も受け継ぐスティーブ・マックロウ(Steve McCullough)なる人物で、くだんのバッファローのラコタ名は「カンテ・ペジュタ(Cante Pejuta)」となる。カンテが「ハート・こころ」で、ペジュタが「メディスン」のことだ。だから正確には「こころのメディスン」という意味になるのかな。

ともあれメディスン・ハート姫の長命を祈りたい。

arrow2 牧場が提供しているメディスン・ハートの写真は必見

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Wednesday, June 22, 2005

白いバッファローの女の赤ちゃんが誕生していた!

the baby had prophecy written in her genes (遺伝子に書かれた予言)

AP通信や地元の放送局などが6月7日に流した記事によると、アメリカのケンタッキー州のシェルヴィヴィル(SHELBYVILLE, Ky.)にある食事も楽しめる観光牧場(Buffalo Crossing Restaurant & Family Fun Ranch in Shelby County)で白いバッファローの女の子が人工授精で生まれたという。白い女の子のバッファローはラコタの人たちが聖なる象徴とするもの。彼女はケンタッキーの牧場で飼われていたチーフ・ジョセフという名前のいくつもの賞を獲得した名だたるバッファローの孫にあたるらしい。父親となるバッファローは2001年の9月11日に雷に撃たれて2週間後に亡くなったという。アレン観光牧場はこれまで主に食肉のためのバッファローを育ててきて、現在も1000エーカーの牧場で600頭ほどの食用バッファローが飼育されているが、ボブとジュリーのアレン夫妻は、まだ名前のつけられていない白いバッファローの女の子を伝統に敬意を表して「食用とせず」に育てることにしている。ジュリー・アレンによると生まれた女の子のバッファローは「アルビノ」ではないという。「目が二つとも茶色をしていて、赤くはないですから」と。そして「彼女が晩飯の食卓にあがることはけっしてありませんよ」とボブ・アレンさんは笑って付け加えた。

▽白いバッファローの女の子の写真つき記事がここ The Courier-Journal, Louisville, Kentucky (Tuesday, June 7, 2005) にあります。

▽白いバッファローの女の子が生まれた牧場のホームページ
Buffalo Crossing Restaurant & Family Fun Ranch web site

じつはこの5月にもカナダのブリティッシュ・コロンビアで別の白いバッファローの赤ちゃんが生まれていたのだが、こちらはみんなの期待にもかかわらず数日後になくなってしまったのだった。チーフ・ジョセフという偉大なチーフの名前をもらった偉大なバッファローの孫娘の白いバッファローが長生きしてくれることを祈ろう。

*牧場は日曜日を除く月曜から金曜日まで毎日午前11時から午後6時まで一般に公開されている。

arrow2 ホワイト・バッファロー・カーフ・ウーマンの言い伝え(ジョン・ファイアー・レイム・ディアー 1967年)

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Thursday, January 06, 2005

ホワイト・バッファロー・カーフ・ウーマン

WHITE BUFFALO CALF WOMAN STORY
As told by John (Fire) Lame Deer


ラコタの聖なる人であり、メディスンマンであり、おそらくは「ヘヨカ(へそまがり道化)」でもあった故ジョン・ファイアー・レイム・ディアーが、1967年に語ったホワイト・バッファロー・カーフ・ウーマン(白いバッファローの仔牛の女)についての話


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    John (Fire) Lame Deer , 1903-1976

ジョン・ファイアー・レイム・ディアーは、ラコタの聖者であり、そしておそらくは「ヘヨカ(世界を逆さまにする人)」であった人物である。サウスダコタにあるローズバッド居留地(リザベーション)に生まれた彼は1972年に写真家で作家のリチャード・アードスの力を借りて『The Seeker of Visions』邦題『ヴィジョンを求める者(インディアン魂)』(河出書房新社刊行)を著わし、それから4年後にローズバッドの居留地で亡くなっている。彼の精神的な面を引き継いで教えを守っていた息子のアーチー・レイム・ディアー(Archie Lame Deer)もまた先ごろ亡くなった。今回掲載する白いバッファローの仔牛の女の物語は、1967年にジョン・ファイアー・レイム・ディアーが自らが語った貴重な記録を底本にしている。翻訳はもともと2004年の夏至の日にむけてこの「Native Heart」の誌面において少しずつ掲載してきたものだが、読者の便宜を考えて今回一括掲載することにして、細部に少々手を入れた(これにともなって以前の細切れバージョンはすべて削除した)。それからレイム・ディアー翁は、いわゆる「メディスンマン・イングリッシュ」とか「ハイ・イングリッシュ」といわれる独得のストーンした英語を操るのに長けた最初で最後の世代の一員であり、彼のシンプルで力強くぶっとんだ英語も、おそらくは英語の勉強に役に立つことがあるかもしれないので、これもあわせて末尾に掲載した。どうかお役に立てていただきたい。(北山耕平)

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士の部族であるスーに伝わる格言のひとつに「女は男の前を歩くべからず」というものがある。にもかかわらず「白いバッファローの女」は、一族に残されているきわめて大切な伝説のなかで、もっとも力を持つ存在とされるものである。

メディスンマンのクロー・ドッグはこう説明する。

この聖なる女性がスーに聖なるバッファローのパイプをもたらした。それがなければインディアンなどひとりも残ってなどいなかったかもしれん。彼女が訪れるまでは、ひとびとはいかに生きればよいかを知ることもなかった。なにひとつ知らなかったのだ。バッファローの女が、ひとびとの頭のなかに彼女が持っていた聖なるものについての考え方をそそぎこんだ。だからサンダンスの儀式においては、普通は大人の、誰からも尊敬されている一族の女性のひとりに、そのバッファローの女の役が誉れとして与えられることになっている。

彼女はスーのところに人間の姿形で最初にあらわれたわけであるが、同時にまた白いバッファローの女は、インディアンたちの兄弟である一頭のバッファローでもあって、ひとびとがこれからも生きていけるようにとその身を差し出してもくれたのだ。白い仔として生まれてきたバッファローは、全平原インディアンたちがこれを神聖なものとし、白いバッファローの毛皮は不思議な力を秘めた聖なるお守りとされて、およそ値段などつけられないほど大切なものとして扱われた。


いぶんと昔、だれもにもどれくらい昔のことだったかわからないぐらい遠い昔の、ある夏のこと「オチェティ・シャコウィン」つまり「ラコタ・オヤテの国の七つの聖なる会議の火」が招集された。野営地では太陽がずっと照りつづけ、おかげで狩猟もままならず、一族のものたちは腹をすかせていた。毎日毎日、獲物を探すためのスカウトが送り出されたが、誰もなにひとつ獲物らしい獲物を見つけることができなかった。

集まっていたバンドのなかにイタジプチョ(「弓なし」)組もあり、彼らはチーフであるスタンディング・ホロウ・ホーン(直立した中空の角)のもと、野営地のなかに自分たちの陣を張っていた。ある朝早く、チーフは配下のふたりの若者を、獲物を探すスカウト(斥候)として送りだした。ふたりは徒歩で出発した。当時はまだスーのところには馬などなかったからだ。スカウトたちは国のなかをくまなく探したが、なにひとつ獲物を見つけることができなかった。小高い山が目に入ったので、国中を見渡すために、ふたりはその頂にのぼることにした。山を半分ほど登ったところで、遠くの方からなにやら近づいてくるものがあることに、ふたりは気がついた。それは歩くというよりはふわふわと空中を漂って近づいてくるように見えたので、近づいてきつつある人物らしきものがワカンなものであること、神聖な存在であることがすぐにわかった。

はじめは小さな動く点のようにしか見えなくて、かろうじてそれが人間の形をしているらしいとわかるためには、ふたりは目を細めて見なくてはならないほどだった。だがこちらに近づいてくるにつれ、それがひとりの見目麗しき若い女性であることがわかってきた。これほどまでに美しい女性にはふたりともお目にかかったこともなかった。両の頬には赤い丸がペイントされていた。太陽光に長くさらすことで輝きを増した白いバックスキンの見事な衣装。ヤマアラシの棘で見事な模様の描かれた刺繍は鮮やかな色に輝いて、およそ誰にでもつくれるような代物ではなかった。このワカンである見も知らぬ人物こそ、プテサン・ウィ、つまり白いバッファローの女その人なのであった。両方の手のなかに大きな包みとセージの葉でつくった扇を抱え、青みがかった黒髪は顔の左側の一房だけをバッファローの毛皮でひとつに束ねていた。ふたつの黒い瞳はまばゆいばかりに輝き、ただならない力を宿していた。

ふたりの若者はその女性に目を奪われたまま口をあんぐりとあけていた。ひとりはただならぬ雰囲気に威圧されて手も足も出なかったが、もうひとりは彼女の見事な肉体にムラムラっときて、手を伸ばして彼女にさわろうとした。その女性はリラ・ワカンな存在、極めて神聖な存在だったから、そのような礼を欠いた行為が許される訳もない。いきなり雷がその手を伸ばした無作法な男を直撃して、男は一瞬で焼き殺され、黒こげになったわずかな骨だけが残された。またある者によれば、その男はいきなり雲の塊に包まれて、その雲のなかで彼は蛇たちに食べられて、残ったものは骸骨だけだったとも言われている。いうならば情欲が男の身を滅ぼしかねないという話だ。

もうひとりの、ただしいふるまいをした斥候の若者にむかって、ホワイト・バッファロー・ウーマン(白いバッファローの女)が口を開いた。「わたしはもろもろの良きものをもってきています。それはあなたがたの国に授ける神聖なものです。バッファローの国からあなたがた一族へのメッセージを、わたしはここにたずさえてきました。野営地に帰って、わたしの到着にそなえるための準備をするよう、みんなに伝えなさい。あなたがたのチーフには、24本の柱を使って、メディスン・ロッジを建てるように伝えなさい。わたしが到着するまでには建物を神聖なものとなしておくように」と。

メディスン・ロッジ 清められて不思議な力の入る準備のできた堂のことで、この場合は24本のポールでつくられるひときわ大きなティピのこと。


の若者は野営地にとって返し、聖なる女性から伝えられた指図をチーフとそのまわりの者たちに伝えた。ついでチーフが「イヤパハ」に、つまり伝令にこれを告げ、伝令は野営地のなかを大声で

「聖なる人がやってくるぞ。神聖な女性のおつかいが近づきつつある。全員でお迎えの準備を整えよう」

と叫んでまわった。そこでひとびとは不思議な力の入るための大きなティピを建てて待ち構えた。

そしてそれから四日後、ホワイト・バッファロー・ウーマンの近づいて来る姿が見えた。白いバッファローの女は胸のところで包みをしっかりと抱えていた。彼女の身にまとった見事な白いバックスキンのドレスが遠目にも輝いていた。チーフのスタンディング・ホロー・ホーン(直立する中空の角)はその女性をメディスン・ロッジに招き入れた。彼女は大きなティピのなかに入り、そのまま中を太陽と同じ巡り方で一周した。チーフがかしこまって彼女に声をかけた。

「妹よ、われわれにご教授たまわるとのこと、喜びにたえません」

聖女はチーフに自らの望みを伝えた。かくしてティピのまんなかにオワンカ・ワカンが、聖なる祭壇が設けられた。祭壇は大地の赤い土とバッファローの頭蓋骨と、彼女がたずさえてきた神器を載せるための三本の棒を組み合わせてつくられる台とで構成されていた。ひとびとが彼女の指示にしたがって祭壇を作りおえると、平に滑かにされた土の祭壇のうえを、聖女は確かめるように指でなぞっていった。彼女はそうしたことのすべてをひとびとの前で行ってみせ、それからまた広間のなかを太陽と同じように一巡した。そしてチーフの前で立ち止まって、おもむろにあの包みを広げた。その包みのなかに収められていた神器こそ、チャヌンパだった。聖なるパイプである。彼女はそれをひとびとによく見せるために高く掲げた。右の手でパイプの柄をつかみ、左の手はボウルに添えられていた。そしてこのとき以来、パイプを捧げ持つときにはそのように持つようになっている。

再びチーフが口を開いた。

「妹よ、なんとありがたきことかな。われわれはここしばらく肉を口にすることができないでいます。私たちがあなたにさしあげられるものは水だけなのです」

それからひとびとはいくばくかのワカンガを---スイート・グラス---を、革袋のなかの水に軽く浸してから、それを聖女に与えた。このときから今日にいたるまで、清められることになる人にむかっては、スイート・グラスや鷲の羽根を水のなかにひたして、それで水をふりかけることになっているのだ。

ホワイト・バッファロー・ウーマンはパイプの扱い方をひとびとに示してみせた。赤柳の皮からつくられた「チャン・シャシャ」と呼ばれる煙草をパイプにつめ、ロッジのなかを、アンペトゥ・ウィとおなじように、偉大なる太陽の巡りとおなじように、歩いて四周した。

そうやってロッジのなかを周回することは、終りのない円を、聖なる輪を、生命の道を、あらわしていた。ホワイト・バッファロー・ウーマンは乾いたバッファローの肉のかけらをひとつ火のうえにのせて火を移し、それでパイプの煙草に火をつけた。それがペタ・オウィハンケシニ、終ることのない火、世代を越えて伝えられるべき炎だった。そして彼女はひとびとにむかってこういった。パイプのボウルからたちのぼる煙は、トゥンカシラの息なのだと。偉大な曽祖父である神秘なるものの、生きている呼吸なのであると。


ワイト・バッファロー・ウーマンは祈りの正しいあげ方と、正しい祈りのための言葉と、祈りのための正しい身のこなしかたとを、ひとびとにわかるようにみんなの前でやってみせた。それからひとびとにパイプをつめるときに口にする祈りの歌の唄い方を教え、パイプを空に---偉大な曽祖父に---むかって捧げるときと、パイプを大地に---偉大な曽祖母である地球、ウンシに---むかって捧げるとき、そして宇宙の四つの方角にむかって捧げるときのやり方を、自らお教えになられた。

「このパイプを持っていれば」彼女が言った。「あなたがたは生きている祈りのごとく歩いていけるでしょう。大地に両足を踏みしめて立ち、パイプの柄を大空に届かせれば、あなたがたの体は足のしたにある聖なるものと、頭のうえにある聖なるものとをつなぐ、生きた掛け橋を形作るでのです。ワカン・タンカが微笑みをわたしたちに授けてくださるでしょう。大地も、大空も、すべての生きてあるものたち、二本脚のものたちも、四本脚のものたちも、翼を持つものたちも、木々も、草ぐさもなにもかもが、そのときにはひとつになっているのですから。ひとびととともにそうしたものがことごとくみなひとつにつながりあい、そのすべてでひとつの大きな家族を構成しています。このパイプがそれらをひとつに繋ぎとめているのです」

「このパイプのボウルを見なさい」ホワイト・バッファロー・ウーマンは続けた。「ボウルの石はバッファローをあらわしていますが、それはまたレッドマン(インディアン)の肉と血もあらわしているのです。バッファローは、四本の足でしっかりと立っていることから、そのまま宇宙とその四つの方角をあらわすと同時に、人類の四つの時代をあらわしてもいるのです。バッファローはワカン・タンカ自らがこの世界をお創りになられしとき、水があふれ出さないようにと、西の方角にわざわざ置かれたものです。バッファローは毎年一本ずつその毛を失うだけでなく、ひとつの時代ごとにその足を一本ずつ失っていきます。偉大なるバッファローの毛がすべてなくなり、その四本の足がすべてなくなったとき、聖なる輪は終りを迎え、地球のうえを再び水が覆いつくすことでしょう」

「このチャヌンパの木でつくられた柄は地球のうえに生えるすべてのものをあらわしています。その柄がパイプのボウルにつながっているところ、いうならばパイプの背骨が頭蓋骨とつながっている部分から、12枚の羽根がさげられているでしょう。これらの羽根は、ワンブリ・ガレシカからの、斑の鷲からのいただきものです。斑の鷲は、たいへんに神聖なものであり、グレイト・スピリットの使いであって、トゥンカシラに向かって声をあげるもののなかでは最も賢いものです。このボウルの部分をよくご覧なさい。大小さまざまな7つの円が彫り込まれているのがわかるでしょう。この7つの円は、あなたがたがこのパイプとともにおこなうことになる7つの儀式をあらわしているとともに、オチェティ・シャコウィン、わたしたちのラコタの国を形作っている7つの聖なる野営地の焚き火もあらわしているのです」

ホワイト・バッファロー・ウーマンはそれから一族の女たちにこう話しかけた。一族のみなを生かしつづけるものは、あなたがたの手の御働きであり、あなたがたの肉体の御恵みであると。

「あなたがたこそ母なる地球より生まれた人たち。あなたがたのしていることは、戦士たちのしていることとかわらぬほど偉大なことなのです」

そしてそのゆえに、聖なるパイプは男女を愛の輪のなかでひとつに結び合わせる働きをするものでもあるのだ。それは、男と女がともに等しく触れながらつくりあげていくただひとつの神器である。男はボウルを彫り、柄を作る。女は色鮮やかなヤマアラシの針でつくる帯を巻きつけてそれを飾りたてる。男が妻をめとるとき、ふたりは一緒にそのパイプを捧げ持つことになるのだが、そのときふたりの手は、赤い布で怪我をした時のようにぐるぐるまきに巻かれていて、それによって死ぬまでふたりは結びあわされることになっている。


ワイト・バッファロー・ウーマンがもっていた聖なる子宝袋(子宮)のなかには、ラコタの妹たちのためのものがたくさん収められていた。たとえば、トウモロコシ、ワスナ(ペミカン)、野生の蕪(かぶ)など。彼女は囲炉裏の火の起し方も教えた。そして水を入れたバッファローの胃袋のなかに赤く焼けた石をひとつ落とし入れ、みなにむかってこう言われた。

「トウモロコシや肉はこのようにして調理するように」

ホワイト・バッファロー・ウーマンはさらに子供たちにむかっても話をされた。子供たちが年齢を越えた理解力を持っていたからである。あなたがたの父親たちや母親たちのしていることはあなたがたのためになるのだと、彼女は子供たちに諭された。両親たちも自分たちが小さかったころのことを忘れてはいないし、あなたがた子供たちだって大きくなれば自分の子どもを持つことになるだろうからと。彼女は子供たちにこう話された。

「あなたがたは来るべき次ぎの世代なのです。あなたがたがもっとも大切で貴重な存在であるのもそのためです。いつか時がくれば、あなたがたもこのパイプを手に取ってそこから煙を吸いこむことがあるでしょう。いつか時がくれば、あなたがたもパイプとともに祈りをあげることになるでしょう」

彼女は再度全員にむかってこう語りかけた。

「このパイプは生きています。赤い色をしたいのちそのものであり、それはあなたがたに赤い生き方を、赤い道を、指し示しています。今回はあなたがたがパイプを使うことになる最初の儀式となるでしょう。パイプはワカン・タンカにむかって、偉大なる謎にむかって、使うことになります。人が死んだ日は、いつでも必ず聖なる日となしなさい。その魂がグレイト・スピリットにむかって解放された日も、また別の聖なる日となしなさい。そうした聖なる日には、四人の女性が聖女となることでしょう。そしてこの四人が、キャン・ワカンのための、サンダンスのための聖なる樹を切り倒すつとめも、果たすことになるのです」

彼女はラコタの者たちにあなたがたこそが全部族のなかで最も純粋な一族であると告げた。そしてそうであるからこそトゥンカシラもあなたがたに神聖なチャヌンパ(パイプ)をたまわったのだと。ラコタの者たちは、この亀の大陸に生きる全インディアンたちのために、パイプの世話をするために選ばれたのである。

亀の大陸。亀の島とも呼ばれる。北米大陸のこと。そこに暮らすネイティブ・ピープルたちは、長いこと自分たちをささえてくれている大地を亀の背中にのっている大地であると認識していた。世界ができたときには海しかなく、海の底から大地を引きあげたのが亀だった。



う一度最後に彼女は、チーフであるスタンディング・ホロウ・ホーン(直立した中空の角)にむかって、こう語りかけた。

「くれぐれも忘れないようにしなさい。このパイプはたいへんに神聖なものです。敬意を持って扱いなさい。そうすればパイプがあなたがたを道の最後まで連れていってくれるでしょう。天地創造の四つの時代はわたしのなかにあります。わたしが、四つの時代なのです。世代がかわるごとに、私はあなたがたに会いにくるでしょう。あなたたちのところに戻ってきます」

そう言葉を残すと、神女は一族の者たちに別れを告げた。

「トクシャ・アケ・ワシンヤンクティン・クテロ−−−−いずれまた会うこともあるでしょう」

やってきたときと同じ方角にむかって彼女が歩き去るのを、ひとびとは見つめた。沈みゆく日輪の赤い火の玉のなかに彼女の黒い影が浮かびあがっていた。遠ざかる途中で彼女は立ち止まり、地面のうえでその体を四度、回転させた。最初に体を回転させると、その姿は黒いバッファローに変身していた。二度目には茶色に、三度目には赤く、そして最後の四回目に体を転がすと、彼女は白い雌のバッファローの仔になっていたのだ。白いバッファローはひとびとが遭遇するなかでもっとも神聖な生き物なのである。


ワイト・バッファロー・ウーマンは地平線のかなたに姿を消した。いずれ彼女が帰ってくることがないともかぎらない。その姿が見えなくなるとすぐに、とてつもない数のバッファローたちの群れがいずこからともなくあらわれて、一族の者たちが生き残っていけるようにとその生命を差し出してくれた。そしてその日以来、われわれとバッファローの関係はあらゆるところで切っても切れないものとなり、食料としての肉、衣服や住居となる皮革、さまざまな道具となる骨などいう具合に、バッファローが必要なものはすべて提供してくれるようになっている。

現在サウスダコタのイーグル・ビュットで暮らしているルッキング・ホース家*が、部族に伝わる古いふたつのパイプを守護しつづけている。そのうちのひとつが、ホワイト・バッファロー・ウーマンからわれわれの一族の者たちにもたらされた聖なるパイプなのである。

(完)

*ルッキング・ホース家 現在はサウスダコタのイーグル・ビュットに居を構える第19代目のアーボル・ルッキング・ホースがそのパイプの守り人となっており、このときひとびとのために与えられた「聖なるパイプ」が、アーボル・ルッキング・ホースによって運ばれてきて、2004年の6月21日の夏至の日に、日本列島最大の−−−−そしておそらく日本列島で最も傷ついている−−−−聖なる山とされる富士山における「世界平和のための祈りの日」の儀式に使われることになっていたが、折からの(パイプが招き寄せた)台風の豪雨のために、最後まで袋から取り出されることはなかった。

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▼Original English Text

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