幻の縄文コレクションが今月末10日間だけ公開される
弘前大学(遠藤正彦学長)が、青森県内の考古学、郷土史研究に尽力した青森市の故成田彦栄氏の収集品や資料約5200点からなる「成田コレクション」を収蔵する「成田彦栄氏考古資料収蔵展示室」を弘前大学総合教育棟2階に開設した。亀ケ岡文化ならではの表現豊かな美しい文様の土器や遮光器土偶に代表される多様な形状の土偶、装身具と思われるヒスイ大珠など展示される265点のほとんどが初公開。弘大は10月23日から特別展「成田彦栄氏考古資料展」を開き、11月1日までの10日間だけ一般公開する。期間中無休。
うーむ、久しぶりに弘前に行ってみたいな。(写真はイメージ)
弘前大学のアクセスマップはすごいぞ。アクセスマップ
これまで成田氏の自宅土蔵に保管され、一部の研究者しか目にできないことから「幻のコレクション」とされてきた成田コレクションは、県内考古学の先駆者として知られる弘前市の故佐藤蔀(しとみ)氏と医師だった成田氏の収集品からなる。 約3000年前の縄文晩期を代表する亀ケ岡文化の土偶や漆塗りの土器、佐藤氏の考古資料などを描いたスケッチ、図書、さらに現在、英国の大英博物館に展示中の田子町の野面平遺跡から出土した土偶など全国的にも優れたコレクションだ。弘大人文学部付属亀ケ岡文化研究センターの関根達人センター長は「県の考古学を考える上でなくてはならない資料。今後、全貌(ぜんぼう)を整理していくことで価値を高めたい」とした。
Source: 本県考古学発展にと弘大に「幻のコレクション」(陸奥新報 2009/09/25)
特に縄文晩期に栄えた亀ケ岡文化期の遺物は、土偶や漆塗りの土器など優れた品が多く見られるという。その中の一つ、「腕組みする土偶」は大英博物館で開催中の土偶展にも出品されており、英国からの帰国後、この展示室に置かれる。図書史料では、1879年E・S・モースがまとめた大森貝塚の調査報告書「大森介墟篇」の多色刷り原本などもある。さらに、寄贈品を大学で整理するなかで、彦栄氏がこまめに記録した発掘ノートも多数、見つかった。
関根准教授は「この記録と収集品を付き合わせれば収集場所も特定できる。成田コレクションの価値を高めるものだ」と強調。彦栄氏が早くから三内丸山の研究に入っていたことなど、青森の考古学研究そのものの歴史を解き明かすカギになるという。
これらは優れた個人コレクションと評価されるが、1945年の青森空襲で市内が焼け野原になるなか、収集品は同市古川の成田さん方の土蔵で戦火に耐え、奇跡的に焼失を免れた点も見逃せない。
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