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Tuesday, September 29, 2009

原発のフル活用だなんて災いを地球規模に拡大するだけ

温室ガス削減「原発フル活用を」…環境相が意見書
(2009年9月29日07時40分 読売新聞)

小沢環境相は28日、九州電力が鹿児島県薩摩川内市の川内原子力発電所に計画している3号機増設について、温室効果ガス削減のために3号機を最大限活用するよう求める意見書を直嶋経済産業相に提出した。

意見書は環境影響評価法に基づく手続きの一つ。これまでは自然保護の観点で書かれてきており、原発活用が盛り込まれたのは初めて。温室効果ガスの1990年比25%削減を中期目標に掲げた新政権の姿勢が反映した。

原発は火力発電所のように化石燃料を使わないため、二酸化炭素(CO2)排出量を低く抑えられる。2019年度の運転開始を目指す3号機は計画中を含む原発では国内最大の出力159万キロ・ワット。九電が3号機を最大限に稼働させ、火力発電所の出力を抑えると、九電の年間のCO2排出量の約3分の1にあたる700万〜900万トンが削減できる見込みだ。

意見書は建設予定地の海岸はアカウミガメの産卵場所であることから、夜間工事の自粛など、適切な環境保全措置も求めている。

Source : 温室ガス削減「原発フル活用を」…環境相が意見書

どのようにして電気を使わない生活を広めていくかでなく、電気を好きなだけ使いながら温室ガスを削減しようとする生き方は、ぼくには「電気中毒患者」のように見えます。レイム・ディアーというラコタのメディスンマンの予言の通り、電気を止める(電気をつかう量を極小にする)世代の登場をしっかりと見据えた上で、いかなる政府とも関係なくわれわれは、その人たちがやってくるための準備しなくてはならないようです。

参考記事:

next 原子力はクリーンで安全なエネルギーかどうかもう一度よく考えよう

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  原子力について忘れてはいけない呪文(改訂新版)

  *原子力はクリーンエネルギーじゃない。
  *原子力は安いエネルギーじゃない。
  *原子力は地球温暖化への解答じゃない。
  *原子力は安全なものじゃない。
  *ウラニウム採掘には危険がいっぱい。
  *核兵器の投げかけた脅威は終わってない。
  *核廃棄物の問題はずっと未解決のまま。
  *核施設の誘致はその土地を豊かにしない。
  *ウラニウムは掘り出さないのがなにより。

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10月10日を前にして播磨町の大中遺跡についてもっとよく知っておきたい

大中遺跡
(播磨町郷土資料館に隣接)

開園時間 午前9時より午後5時まで(10〜3月)
休園日 月曜日(祝日の場合はその翌日)
入園料 無料
アクセス JR土山駅より、「であいの道」を歩いて15分
     山陽電車 播磨町駅より、喜瀬川沿いに歩いて20分

siryoukan_map.jpg播磨地方の中心を流れる加古川周辺は、古くから文化をはぐくみ栄えさせる条件を備えており、旧石器文化を始め、多くの遺跡を残しています。大中遺跡は、昭和37年6月に考古学同好グループの播磨中学校生徒3人によって発見されました。当時、この台地での耕作時には、土器片などが多数出土していたといわれています。大中遺跡は海抜13mの洪積世台地の南端にあって、加古川の氾濫源の東端に位置してます。弥生時代中期から古墳時代中期にかけての代表的な遺跡で、約44,000平方メートルの範囲に多くの住居跡が残されています。そして、ここから様々な用途や機能に応じた土器や鉄器・砥石などとともに、中国と交流のあったことを証明してくれる分割鏡が出土しています。これらの出土品や住居跡は稲作農業がようやく根づいて生活が安定し、階級の文化がはじまり、古代国家が形づくられようとする時代の社会や暮らしのようすを知る上で非常に重要なものです。播磨町のプロフィール 大中遺跡の解説より

小生が10月10日に講演をし、マーク・アキクサ氏がインディアンフルートの調べを響かせるこの大中遺跡のある土地で、人びとが活発に活動していた西暦100年から200年頃の「日本国以前」の日本列島周辺で起こっていたことを『ネイティブ・タイム』ではつぎのように記述している(デジタルバージョン Version 4)。播磨周辺のことは強調してある。通読されると、そこは日本列島におけるコロニーの走りのような土地であることがわかるだろう。コロニーとしての役目が終わったあとは長いこと眠りについていたが、20世紀に遺跡として発掘されて現在に至っている。およそ2000年前にはひとつの文化の最先端だったところだ。母なる地球を考え直すための旅をはじめるには、ふさわしいかもしれない。今は遺跡となっている土地の上に、どんなスビリットたちが帰ってくるのだろうか?

講演会の案内:地球に生きるひとりの人間から日本列島に存在している地球に生きる人たちへ

line of rocks

100 TO 200

このころ北アメリカ大陸のメキシコ中央高原とその南にマヤの諸都市が出現する。なかには人口が一万人規模の大きな都市もあったようだ。球規模で海水面が最も低い時期だった。

日本列島で石の矢じりなどが使われることが少なくなり、鉄器が普及しはじめる。鉄器では「斧」「刀子」「ノミ」などの工具がまず普及し、しばらく間を置いて「鎌」「鍬先」などの農具が普及する。鉄器の広まるのは九州島で早く、瀬戸内や本州島は遅れた。この当時の鉄の原産地は朝鮮半島南部だった。『魏志』(韓伝)によれば、倭人は他の朝鮮半島南部の国々と同様、中国朝廷の指図に従い、奴隷たちと引き換えにして、弁韓、辰韓の鉄を採取し輸入していたものらしい。

朝鮮半島では、高句麗が後漢に侵略をくりかえし、馬韓、邑【手偏に邑】婁【2字ルビ・ユーロー】などと協力して中国コロニーの玄菟【2字ルビ・げんと】郡や遼東郡やこれを背後から支援した扶余【2字ルビ・ふよ】などと戦い、東北諸族の盟主となりつつあった。結果として扶余国が弱体化し難民が南へ−−朝鮮半島や日本列島へ−−流出した。高句麗は後漢と和議を締結。

『後漢書』(東夷伝)は「倭面上国王帥升等は生口(奴隷)百六十人を献じ皇帝の拝謁を申し出た」と書いている。中国の官僚としての「倭に面した上国」の王の名前は「帥升【2字ルビ・すいしょう】」というのだった。「倭面上国」はアラカヤ(本伽耶)が九州島に作って三百五十年近くたったベア・クランの国の狗奴国だと推測される。そこでは奴隷を狩り集めて中国の皇帝に献上することが挨拶代わりにおこなわれていたようだ。奴隷にされるのはいつだって「先住民の若い男女」である。

水田稲作の技術がとりあえず本州島東北部の北辺にまで普及。朝鮮半島から伽耶部族連盟の住民のかなりの部分が難民として、開拓者として、九州島や本州島西部、四国島に移り住んだ。高句麗も、辰韓や馬韓(伯済国)も、伽耶に負けじと独自に領土拡大路線をとった。韓半島から九州島を経由してヤマトにいたる瀬戸内海海上ルートの最終拠点である淡路島に、伽耶国産の鉄鉱石をとかし本州島侵攻のための鉄鏃を作る鉄の加工工場が稼働。九州島や本州島の山陰、北陸、瀬戸内の播磨、吉備、淡路、摂津などにあったいくつもの、半島南岸からの渡来系の人たちが作ったコロニーの間で、朝鮮半島南部の肥よくな大地と豊かな鉱物資源を持つ伽耶族の故地をも巻き込んで、大和盆地の勢力と北九州を中心とする勢力の間で覇権を競う争いが起こった。中国の歴史書によって「倭国大乱」と呼ばれるこの極東アジアの動乱は、およそ四十年ほども続いたろうか。

このころの遺跡とされる鳥取県気高郡青谷町の青谷上寺地遺跡の溝から大量の、およそ九十体以上の人骨が散乱した状態で発見されている。なかには、鋭い武器で刺されたり、切られたりした傷跡の残る人骨もあるし、女性や十歳ぐらいの子供の骨までもある。

本州島西部に築かれていた移民のキャピタル出雲の伽耶族とネットワークを組んで、暫時大和飛鳥をコロニー化しつつあったサン・クランの国である弥烏邪馬【4字ルビ・みうやま】国(ウガヤ・上伽耶・大伽耶)は、しかし朝鮮半島南部洛東江中流の本拠地において、このころにわかに拡大してきた馬韓(伯済国・熊氏族/ベア・クラン)によって、朝鮮半島の本貫の地、帰るべき故郷を奪われてしまう。洛東江中流の高霊の地にあった本国を失ったことによって、ウガヤ系ヤマト王朝(弥烏邪馬国)は日本列島西部においても伽耶部族連盟内での発言力を低下させていく。軍事的緊張の高さを物語るように、この時期、瀬戸内周辺や九州島、本州島の関東地方のいたる地域で、山頂や台地などの見晴らしのよい場所に高地性集落がいくつも出現する。周囲に濠がめぐらされるなど防御機能が完備された臨戦体制集落である。朝鮮半島でこのころ作られたと思われる渦巻き装飾のついた鉄剣や青銅製の馬形のバックルが長野県長野市の遺跡から出土。(おそらくこのころのことを後に書きとめたものだろうが、鹿島神宮の祭神「武甕槌神」が出雲の国譲りの後、各地を平定されて国の統一をはかり、未開の東国に入っては星神香々背男を討って国中を平定したと、現在の鹿島神宮に伝わる「鹿島神宮誌」にある。「星神香々背男」は「ホシカカセオ」と読むのが学問の世界では通例だが、常陸地方の古老たちはかつてこれを「ホシカウラザメ」と呼んだという伝承(「久慈郡大甕山の倭文神社」)もある。いずれにせよこの人物は身体がとてつもなく大きくて、以前は富士山麓の海岸地帯に一族を率いて居住していたのが、常陸国久慈郡大甕山の東端に移り来たったもので、ここから東北地方にかけての太平洋の制海権を握るネイティブのチーフだった可能性がある。彼は今も常陸国では「星の神」「目の神」として祀られている。南方ミクロネシアもしくはポリネシア系のナビゲーターだったのかもしれないが、渡来系の日本列島統一の邪魔者として歴史から消されたのだろう。)

ウガヤは、やがて二十八の小さな王国をどうにか束ねて弥烏邪馬国の後身の「邪馬台国」を興し、女王卑弥呼−−伽耶の王女か−−をたてて女王盟主とし、奴隷制に基盤を置いた倭の部族連盟国家を形成して、争乱の時代を終結させた。邪馬台国に属するそれぞれの小国には王がいて、王の下に「大人」という身分があった。盟主(女王)と王と大人という階級が、下戸と奴婢とされる人たちを支配していた。『三国史記』(新羅本紀第二 阿逹羅尼師今【6字ルビ・アタラニスクム】)には「倭国の女王卑弥呼が遣いを送ってきた」の記述が見える。ウガヤの卑弥呼は、まず同じサン・クランである新興の斯蘆【2字ルビ・しろ】国(のちの新羅)と友好関係を結ぼうとしたのである。この当時、半島や大陸との往き来において、船には「持衰(じすい)」と呼ばれる特殊な男が乗り込んだらしい。彼は、髪の毛は伸ばし放題でくしけずることもなく、虱がついていてもとることはせず、服は着替えないから汚れるに任せ、肉を一切口にせず、女性をそばに近づけず、まるで喪に服している人のようにしているのだという。航海が無事に行けば、彼には財物や奴隷があてがわれ、途中で病人がでたり嵐に遭うなどの被害が出れば、いのちをうばわれることもあったという。

本州島中西部日本海に突出した能登半島の北側先端部にかつて類のない巨大な高床倉庫群を備えた施設が作られる。この施設はその周囲をぐるりと板塀によって囲まれていた。また本州島中東部大平洋岸、現在の静岡県静岡市の南の海岸近く、安倍川が作り出した長さ三百メートル、幅八十メートルの扇状地の南端に十戸ほどの住居と二戸の高床倉庫のある集落が、高度な生産技術を持つ入植者たちの一団によって作られ、この集落の東側の低地に総面積約二万三千坪で潅漑施設の整った、他のどこにも見られないぐらい大規模な水田が出現する。彼らは魚介類や鳥獣の調達から、糸を紡いで布を織り、小さな琴のような楽器をたしなむなど、ほぼ自給自足のプランテーション・ライフを満喫していた。登呂遺跡として知られるこの壮大な稲作の入植実験農場は、しかし六十年から七十年後に突然起こった大洪水による安倍川の氾濫ですべてが土砂の下に埋められてしまうのである。富士山が噴火して火砕流を流した。

このころ仏教を取り入れた中国では、大乗経典の翻訳がはじまっているが、道教徒による叛乱も起こる。中国からの亡命者によって日本列島に蚕種と桑および製絹法が伝えられた。倭人が朝鮮半島の東辺を荒らし回った。


Native Timeネイティブ・タイム—先住民の目で見た母なる島々の歴史
(単行本 Version 3 )

 北山 耕平 (著)
 ☆☆☆☆☆

 単行本: 925ページ
 出版社: 地湧社 (2001/02)
 ISBN-10: 4885031583
 ISBN-13: 978-4885031588
 発売日: 2001/02


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Saturday, September 26, 2009

北山耕平 この秋の講演会等出没場所情報

pawpaw next10月10日(土)地球に生きる人 自然の声に耳を傾けよう 兵庫県加古川市
 next11日(日)『テックヮ・イカチ』に学ぶ「子育てと教育を語り合う」神戸市
     next12日(月)煙草との正しいつきあい方 早稲田大学 新宿区 東京

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Friday, September 25, 2009

白人の友だちとインディアンのだちの違い

白人の友だち: 食べ物をねだることはけしてしない。
インディアンのだち: なんで食べるものがないんだよという。

白人の友だち: きみの両親を「ミスター」と「ミセス」で呼ぶ。
インディアンのだち: きみの両親を「パパ」「ママ」と呼ぶ。

白人の友だち: 保釈金を払って留置場から出してくれた後、きみのやったことは悪いことだと説教する。
インディアンのだち: おそらくきみと一緒に同じ牢屋のなかに座っていて、こういう。「ドジッたけど、おもしろかったなぁ!」

白人の友だち: きみの泣くところを見たことがない。
インディアンのだち: 一緒に声をあげて泣いてくれる。

白人の友だち: きみの持ち物を借りたら数日後には返してくれる。
インディアンのだち: 貸したことをきみが忘れるぐらいいつまでも自分のものにしたまま。

白人の友だち: きみのことは少ししか知らない。
インディアンのだち: きみの話した言葉だけで本が1冊は作れる。

白人の友だち: 群衆のしていることにのまれてきみを置き去りに。
インディアンのだち: 群衆を蹴散らしたあげくきみは置き去りに。

白人の友だち: きみの部屋のドアをノックする。
インディアンのだち: いきなりは入ってきて「ただいま」という。

白人の友だち: つかの間のつきあい。
インディアンのだち: 一生のつきあい。

白人の友だち: きみの悪口を言う奴とくだらない話を交わす。
インディアンのだち: そんな奴は叩きのめす。

白人の友だち: いつもきみをどこかに連れて行こうとはやる気持ちを抑えきれない。
インディアンのだち:「そのままそのまま」「急がない急がない」「焦らなくても、いつかつくさ」が口癖。

白人の友だち: 祭りに参加しおすそ分けともてなしを受ける。
インディアンのだち: パーティが終わっても祭りのあいだじゅうずっと居つづける。

白人の友だち: このての書き込みを無視する。
インディアンのだち: さっそく他のすべてのインディアンの友だちに全部伝えようとする。


Native jokesインディアンは笑う』北山耕平編・構成。(おそらく)世界で初めてのネイティブ・アメリカン・ジョーク・コレクションの本。笑うことで世界をひっくり返す書。笑いの百連発! 当ブログから生まれた本。マーブルトロン発行 中央公論新社発売 ブックデザイン グルーヴィジョンズ。好評発売中

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Thursday, September 24, 2009

新世紀メディアパブリッシャー eBookJapan 総合図書大目録 本の匠(たくみ)のためのネットジャーナル 編集者 北山耕平インタビュー 全3回

よければお読みください。今年の夏に行った雑誌メディアについての小生のインタヴューの記録です。

(1)雑誌魂の死と再生 われわれはもう一度生きるだろう

(2)メディアは、次世代への教育媒体なんだ

(3)【最終回】 そろそろ、自分たちのメディアをつくらないか

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変化にのみこまれる前の用意は出来ていますか?

北山塾の3回目が明日に迫った。やっと気候も秋らしく落ち着いてきた。この講座をはじめた途端に、われわれをとりまく世界はめまぐるしく変化しはじめた。なにが大切なのかを、こういう時こそ忘れないようにしなくてはならない。ほんとうに大切なものを伝える技術としてのストーリーテリングについて、今回はその一部でも話せたらいいと思う。そして変化の中を生き延びるための羅針盤としての歴史を学ぶためのとりあえずの最終回につなげたいと考えている。会場にはまだ若干名の余裕があると思うので、この瞬間に思いたった方は講座をサポートしてくれているマーブルトロンに連絡を取ってみてください。

ネイティブ・ピープルのものの見方と考え方・入門編申込のページ

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ナバホ・ストレッチ ストレッチの仕方とナバホ語の両方を一緒に学べます

ネイティブ・アメリカンは、子どもも大人も走るのが大好きだ。車も馬もなかった頃から、彼らは広い大陸のいろんなところを走り続けてきた。草原を、砂漠を、高原を。このビデオは、走る前のストレッチのやり方をナバホ語(ディネ語)で解説しているもの。ディネ語は美しい言葉であることもわかるし、ストレッチの仕方も、彼らの言葉で10まで数える言い方も学べる。説明はナバホ語と英語が両方出てくるので、実際に役立てることができる。


Stretching Instructions in the Navajo Language


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先住民の権利のつぎは、母なる地球の権利を保護しこれを認める宣言を闘い取る必要性

evo_morales日本の民主党の鳩山総理大臣が国際社会に向かって受け狙いの演説をしたおなじ国連気候変動サミットで、ボリビアの先住民出身であるエボ・モラレス大統領も演説した。モラレス大統領は、西欧先進諸国を喜ばせるような発言はいっさいしなかった。かわりに彼は、環境にたいする責任のことを中心に話し、母なる地球は神聖であり、資本主義システムによって企業がそれを私しするべきではないと訴えた。「資本主義者的生活様式を変えなくてはならない」と彼がいう理由は、資本主義は、自分たち以外のいのちあるもののことや環境のことなどを考慮することなく、限りなく大きな利益を手に入れることだけを好んでいるからなのだ。後の記者会見において、気候変動問題の根っこにあるものを、資本主義者の生活様式だと宣言し、これまでの環境汚染に手を染めてきた人たちに正義の裁きを加えるべきだと彼は提案した。

彼は記者会見でさらにこうも言っていた。20世紀が世界人権宣言の確立を見たように、そしてつい先日は先住民の権利宣言をうちたてたように、これからは母なる地球の権利を保護しこれを認める宣言を闘い取らなくてはならない。人間がクリーンな存在になるためには、「世界のあらゆる国々」が、コミュニティーを基本にした社会主義を確立する一方で、われわれはこの惑星を汚れのないように保ち、すべてのいのちの間にある調和をとる権利を守らなくてはならないと。

先進国の偉い人たちが数字のことや地球の終わり方で一喜一憂しているのよりも、エボ・モラレスのような人の話していることがずっとまともに聞こえるのは、ぼくだけなのだろうか?

Source : UN - Press Conference by President of Bolivia

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Wednesday, September 23, 2009

それでも故郷が水の底に沈まなくてよかったと思える日は必ずくる

Last Modified Thursday, September 24, 2009

今、八ッ場ダムの建設に反対する人たちの声をメディアがまったくとりあげないのはなぜなのだろう? ぼくはつい最近までこのダムをできるならとめたいと言っていた地元の人を知っているけれど、実際に止めようとして新政権が動こうとした途端、とめるなと言う声だけしかメディアにはまったく登場しなくなってしまった。この計画自体が途方もない愚作の上に動きはじめたプロジェクトだとしたら、とりあえず計画は止めて、残された土地や自然ををいかにうまく使うかを考えなくてはならないときなのではないだろうか? やはりこの土地が水の底に沈まなくてよかったとみんなが口々に言えるような肯定的なヴィジョンが早く生まれてこないと。多くの若い世代がその土地を自分の眼で見るために出かけるようになるとよいのだが。

next 八ッ場ダム報道でヤラセ発覚

next 八ッ場ダムに関するデマ報道が相次ぐ

next 八ッ場ダムについて流されている情報の誤りについて

next 八ッ場あしたの会ウェブサイト

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今朝の6時、公式に秋がはじまりました

今日は秋分の日で、正式に秋のはじまる日です。今年の秋は、本日23日の午前6時にはじまりました。でも昼が12時間、夜が12時間になるのは、正確に言うと26日です。でも北極で暮らしているとしたら、今日が太陽が昇らない6カ月間の最初の日となります。同時に、南極では日が沈まない6ヶ月間が今日からはじまります。


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Monday, September 21, 2009

カナダでインフルエンザのワクチンの実験的接種で原因のはっきりしない病気が広まりネイティブの人たちの間に動揺が急速に拡大中

news世界で使われているタミフルの75バーセントが日本で使われているという。数年前から日本では副作用が問題とされているが、アメリカの食品薬品局が、インフルエンザの特効薬とされるリレンザとタミフルに「時には死に至ることのある神経学的、精神病理学的問題と関連がある」と警告を出したのは昨年のことだった。

タミフルという薬が売れるとラムズフェルドの財布がふくらんでいくと、アメリカではいわれている。ラムズフェルドというのは、ジョージ・W・ブッシュが大統領時代に国防長官として政権を背後で仕切っていたドナルド・ヘンリー・ラムズフェルドのことで、インフルエンザ特効薬タミフルを開発しその特許を所有しているバイオテック企業ギリアド・サイエンス社の会長を1997年から2001年まで務めた。この事実が明らかになって以来、インフルエンザのパンデミックが話題になるたびに、ある種の陰謀説がささやかれ続けている。

最近のインフルエンザの世界的流行に合わせて、先々週カナダの北太平洋沿岸沿岸地域の奥まった先住民の村で新型のワクチン注射が「実験として」行われた。このワクチン注射から数日たった先週、注射を受けた先住民の100人を超える数の人たちが体の調子を悪くし、以後も病気に罹る人たちの数が急増していて、先住民の人たちに動揺が広まっているというニュースが伝えられてきた。そしてその先週、カナダの北マニトバの先住民居留地にも、死体処理袋がカナダ政府から、日常業務の一環として送りとどけられた。同じ村には、タミフルやワクチンもあわせて届けられたという。

表面的にはカナダ政府が人里離れたネイティブの人たちの居留地に対策のために送ったH1N1インフルエンザの新しいワクチンによって、カナダの先住民の人たちに新たな病気を広めているように見えなくもない。カナダには「インディアン差別法」というものが今も生き続けていて、居留地のインディアンはひとりたりとも政府が施す医学的治療を拒否できないことになっているからだ。つまり、それがなんであれ予防接種は嫌だと拒否できないシステムなわけ。そして、テストもろくにされていない、安全かどうかも確かめられていない、下手をすれば死に至るワクチンが、人里離れたインディアンの居留地で、まず真っ先にネイティブの人たちが実験の対象にされているのだ。

ネイティブの人たちが動揺するのにはそれなりの歴史がある。

1862年、英国教会の宣教師が、ブリティッシュ・コロンビアのサリツシュ・インディアンの人たちの村に意図的に天然痘菌を持ち込み、1カ月もしないうちに村を全滅させる事件が起きている。それは村に金の採掘で一攫千金をもくろむ人たちや教会関係者や政府の人間が移り住む直前に行われた。

1909年、カトリックやプロテスタントの教会関係者が、インディアンの子どもたちに天然痘や結核の菌を故意にばらまいて見殺しにしていると、オタワにあるインディアン局の役人が告発する事件が起きた。この結果インディアンの子どもたち数千人が死んだ。

1932年、ブリティッシュ・コロンビアの地方警察がカトリック教会関係者を子どもたちを結核に感染させて帰宅させることで家族もろとも村を一掃しようとしたと非難する事件が起きた。

1969年、バンクーバー島にあるカナダ国立のインディアン病院から、予防注射を受けた後脱そうしたインディアンの子どもたちの多くが「全身がむくみふやけて死ぬ」という事件が起きた。

こうした出来事をカナダの先住民の人たちは語り継いできているために、今回のインフルエンザの予防接種の直後、彼らに広まった病気のことを、皆殺し政策の一環としてみる見方があることも、伝えておく必要があるだろう。

Source : Canada: Tamiflu, body bags and genocide

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『パワー・オブ・ストーン 石の力と力の石』という本のこと

Power of Stone『パワー・オブ・ストーン 石の力と力の石』という本を、ぼくは2006年に荒地出版社という書店から出した。それ以前に書いた石についての考え方などの文章をひとつにまとめたもので、ぼくの頭のなかではこの本は『ネイティブ・マインド アメリカ・インディアンの目で世界を見る』(地湧社刊 1988)というぼくが最初に世に問うた本の補遺にあたっている。なぜこの本のことを今あらためて書いているかというと、この本を刊行してくれた荒地出版という存在自体はあまり大きくないものの伝統ある名前の書店が、今後は新人物往来社という出版社に吸収されることになって、出版活動を停止することとなり、在庫のあるものは整理を余儀なくされるという意味の手紙を受け取ったからだ。『パワー・オブ・ストーン 石の力と力の石』も、現在ある200冊余の在庫が数ヶ月以内に断裁廃棄されることになるらしい。アマゾンなどでも、数ヶ月前から中古本のみが新刊と同じかそれ以上の値段でマーケットに出ている。日本の出版状況がきわめて厳しいところにあることは、そのなかに身を置いているぼくには痛いほどよくわかるが、自分がある意味で命を削って出した本が、さまざまな事情から「処理」されるのは辛くもある。もちろんこれが初めてのことではないけれど。とはいってもその残部のすべてを買い取って自分手で売り歩くだけの余力(財力?)がぼくにあるわけもなく、そのうちのわずかの部数を買い取ることで涙をのまねばならない。この秋何回か各地で講演会を行うので、その会場で必要な人に買っていただこうと前向きに考えることにした。とはいえ自分の作ったものを宣伝するのは苦手だし、柄でもないので、以下にこの本の目次を掲載しておく。目次を読まれて、この本を手にいれたいと考えた人は、どうかこの秋から冬にかけての講演会やお話会においでください。各会場最低4冊は持っていきます。それ以上は売れずに帰るときの重さが数倍に感じるため[:-)]に、持ち歩けそうもありません。


パワー・オブ・ストーン 石の力と力の石

目次

話しをする石
 ストーリー・テリング・ストーン  セネカ・インディアンが語り継いだ物語

石に触れる
 石の時代は終わらない 石文明と石を溶かす文明の危うい攻防
 自分の石を見つける 自分の石を見つけるための10の規則

石のように考える
 だから石は生きている 石の信仰とわれわれの未来についての大切な覚書
 ストーン・ピープル 石の人
 シャーマンと石 この世界で一番の年寄りの石
 石の力の輪 メディスン・ホイール考
 石は人類の四〇〇万年をどう見るか?
 石よりほかに楽しみなし 木内石亭小伝
 『雲根志』を読む 木内小繁の「石の書」

石の知恵
 石の意志 内へ向かう力、外へ向かう力
 パワー・ストーンかストーン・パワーか

あとがき
 ストーン・ボーイから君へ

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Friday, September 18, 2009

いよいよ秋、お話に身が入る季節の到来です 北山耕平のお話会の案内をさせてください

Last Modified Tuesday, Septemberl 29, 2009

初の「9月病」大流行の恐れという記事を読んだ。なに新しい病気じゃなくて、休みが続いた後に学校や勤めに行きたくなくなる人が増加することだという。5月の連休後に「5月病」で、9月の連休後には「9月病」というわけ。学校や勤めに行きたくなるのがなんで病気なんだろう? 学校や勤めが面白ければみんな早く行きたくてしょうがなくなるのだろうに。

さて9月の長い連休の後、もし9月病になっている自分を発見したら、9月25日金曜日の夜、東京の高円寺で小生のお話会がありますので、来てみませんか? 試験的に行っている北山塾の3回目で、ようやく夏も終わったので話しにも身が入る頃です。今回は「ストーリーテリング」について。なんでネイティブの人たちはおはなしを大切にしたのか? おはなしで伝えられてきたものはなにか? わたしたちの文化の中のストーリーの役割、なぜおはなしが消えつつあるのか、そして再生の道は? などについて、話せるとよいと思います。ネイティブ・アメリカン・ストーリーテリングに興味のある人のご来場を期待しています。

next 北山塾の3回目のお知らせ

10月10日と11日は関西で講演会

10月10日(土曜日)の昼1時から3時までの2時間、兵庫県加古川市(東播磨)の大中遺跡公園で「地球に生きる人 ——自然の声に耳を傾けよう」というテーマでお話会をします(加古川青年会議所主催)。会場の大中遺跡は、旧石器時代、縄文時代、弥生時代の集落遺跡のある土地です。竪穴式住居も復元されています。こうした遺跡は、日本列島において地球を感じるためにはとてもふさわしい場所で、そういう土地でお話会ができ、インディアンフルートに耳を傾けることができるのはありがたいです。会場は野外で、約100人ほど入れます。入場は無料ですが、あらかじめ申込が必要です(申込締切は10月5日)。地球のこと、環境のこと、なぜ地球環境がこんな事になってしまったのか、わたしたちは地球にたいしてなにができるのか、そうしたことに関心と興味がある関西地方の方は、ぜひいらしてください。大人から子どもまで、家族で楽しめると思います。みなで自然の声に耳を傾ける体験ができるといいですね。ネイティブ・アメリカン・フルートの奏者であるマークアキクサさんが一緒に出てくれます。

next 北山耕平講演会「地球に生きる人」の案内と申し込み用シートpdf_icon

参考記事:地球に生きるひとりの人間から日本列島に存在している地球に生きる人たちへ

10月11日(日曜日)には神戸市灘区六甲町にある風の郷公園内安心コミュニティプラザ〜 風の家で、ランド・アンド・ライフが主催する学習会、「平和の人」とは誰なのか 〜ホピ伝統派が残した『テックヮ・イカチ』に学ぶ〜第3回目「子育てと教育を語り合う」がおこなわれます。時間は午前10時半から昼食をはさんで夕方の4時半まで。定員は40名(要予約 078・881・8163)で、参加費は参加費3000円(大学生2000円)。午前中は小生がメーンでおはなしし、午後からは3組のゲストが加わります。ゲストは自給自足の暮らしの中で、3人のお子さんをホームスクーリングで育て、家族5人で音楽活動をしている「THE FAMILY」の村本敏・さゆりご夫妻、神戸でオルタナティブスクールで20年近く子供たちと関わってこられた小野洋さん、ひきこもりや不登校のこどもたちとカウンセリングで向き合ってこられた梅井尚子さん。詳細は以下のサイトへ。

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Monday, September 14, 2009

アメリカン・インディアンが白人に言ってやりたいことのトップ10

数年前、これから紹介するジョークの元となるものが「初対面の白人にはとても言えない10のこと」としてあった。これは、本ブログで紹介した後、おそらく世界で初めてネイティブ・アメリカンのジョークを集大成した小生の本『インディアンは笑う』(マーブルトロン発行 中央公論新社発売 2007年)に収録されている。この本は、掛け値なくおもしろいよ。世界の見方が変わるジョークが満載されてる。で、この「とても白人には言えなかった10のこと」が「白人に言ってやりたい10のこと」としてパワーアップして、最近かえってきた。内容も少し変わっているので、最近のネイティブの人たちが白人をからかうために言いたくて仕方がない10のことを、今日は紹介しておく。時代の変化が、早い早い。

 白人に言ってやりたいこと トップ10

 1. あんたどのくらい白人の血が入ってるの?
 2. おいらにも少し白人がはいっているんだぜ、わかるだろ。
 3. あんたたちのやり方はボーイスカウトで勉強したさ。
 4. おいらの曾祖母は純血の白人のお姫さまだったよ。
 5. へんだな、あんまり白くないね?
 6. 電動カツラとショートパンツはどこにあるの?
 7. 幌馬車で暮らしてるのかい?
 8. スクエア・ダンスはなんでそう呼ばれるのかな?
 9. 川に浮かぶカジノ船をどう思う? 
    カジノはあなたたちの役に立ってる? それとも一時的な気休めかい?
10. ねえねえ、あんたの写真撮っていい?



Native jokesインディアンは笑う』北山耕平編・構成。(おそらく)世界で初めてのネイティブ・アメリカン・ジョーク・コレクションの本。笑うことで世界をひっくり返す書。笑いの百連発! 当ブログから生まれた本。マーブルトロン発行 中央公論新社発売 ブックデザイン グルーヴィジョンズ。好評発売中

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Saturday, September 12, 2009

Native Time 1,000 TO 400B.C. in and around Japanese Islands

Update | 19.20 p.m.

Native Timeおよそ3000余年前から2600年前までの400年間の間に、日本列島をメーンに、その周辺で起こっていたことを、現在も編集作業進行中の Native Time のデジタルバージョン (Version 4) で確認してみると、今につながるさまざまなことが見えてくるような気がするので再録した。当時はまだ「日本」などという国はどこにもなく、ここには先にきた人たちと後から来た人たちが自分の属するところを探し回っていた。日本以前のこの島々の呼び名は、人びとによって違っていたかもしれないが、それらはすでに永遠に失われた。なお書籍『ネイティブ・タイム』として2001年に公開したものは Version 3 である。時代の変化と共に加筆したり修正した個所があるものの基本的な部分はかわっていない。ぼくはいつかこの新しいバージョンをかたちにするのを夢に見ているのだが、残念ながら書籍を巡る状況が今のままだと1000ページを超える書物の製作はむずかしいかもしれない。


Native Time 1,000 TO 400B.C. in and around Japanese Islands 本文は下をクリックして

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Friday, September 11, 2009

どうかわたしたちに与えてください どうかわたしたちに教えてください

Mother Earth

偉大なる精霊よ、偉大なるスビリットよ
わたしたちを光で満たしてください
わたしたちに理解するための力をお与えください
そして見抜くための目をお与えください
そのうえで生きとし生けるものすべての親戚として
わたしたちにこの大地の優しい歩き方をお教えください


ラコタの祈りより

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Thursday, September 10, 2009

【緊急】上関原発予定地から届いた声を世界の四つの隅まで届けたい!

友人から以下のような声が届いた。

stop_hand本日10日8時前、中国電力は上関原発予定地の埋め立て工事に向けた作業の着手にかかり、13km離れた平生町の田名埠頭に置いてあるブイ(浮標)を工事区域に設置するため、クレーン台船を向かわせましたが、祝島の漁船数十隻が田名埠頭前でバリケードをつくり、クレーン台船の接岸を阻止しています。

kaminosaki

周囲には、中国電力の船、海上保安庁の船、マスコミの船、シーカヤックなどが入り交じり、上空はマスコミのヘリコプターやセスナ機計5機が飛び交い、騒然としています。陸上では祝島の住民ら50人余りが座り込み、マスコミ関係者や周辺住民らが集まっています。

現在、中電側も阻止側も大きな動きはなく、しばらく膠着状態が続くと思われます。この阻止行動が何日続けられるかは分かりません。長期にわたる阻止行動は、高齢化した祝島住民への負担も大きくこれまでの例だと数日程度でバリケードは解除されるかも知れません。週末の12・13日には、さらに多くの抗議住民が集まると思われ、抗議集会も予定されているようです。



現地周辺(地図)には駐車場もあり、座り込みや阻止行動の様子を見ることは誰でも可能です。


詳細および最新情報はRadioActive

参考記事:

next 原子力はクリーンで安全なエネルギーかどうかもう一度よく考えよう

Beadline.jpg
  原子力について忘れてはいけない呪文(改訂版)

  *原子力はクリーンエネルギーじゃない。
  *原子力は安いエネルギーじゃない。
  *原子力は地球温暖化への解答じゃない。
  *原子力は安全なものじゃない。
  *ウラニウム採掘には危険がいっぱい。
  *核兵器の投げかけた脅威は終わってない。
  *核廃棄物の問題はずっと未解決のまま。
  *核施設の誘致はその土地を豊かにしない。

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明治時代の日本人はインディアンを見てなにを考えたのだったか

岩倉使節団
岩倉使節団の主要メンバー 左から木戸孝允、山口尚芳、岩倉具視、伊藤博文、大久保利通

1871年11月に、明治になってつくられた直後の新生日本国が近代化を目指す目的で欧米に大使節団を送り出した。維新で権力を手に入れた岩倉具視、木戸孝允、大久保利通、伊藤博文といった「明治」の主役たちがみなそろってアメリカを経由してヨーロッパに出かけた。政府の役人や、留学生も含めて、総勢は100人を軽く超えていたという。主役たちの旅は、言うなれば取材旅行を大がかりにしたようなもので、結果として彼らは2年近く世界を旅して回ることになった。これが「岩倉使節団」と俗に言われる一行である。

この岩倉使節団の旅を再現させることを試みた書物『岩倉使節団という冒険』(泉 三郎著)を面白く読んだ。新生日本人が初めて団体でアメリカとヨーロッパを「観光(真の意味での観光だ)」してまわる旅行の再現録を読みながら、ぼくには70年代中ごろに意識革命直後のアメリカに取材を敢行した「Popeye」という雑誌の編集者、カメラマン、イラストレイターら総勢7、8人の取材旅行の一部始終を思い起こしていた。もちろんスケールは小さいものの、世界から学ぼうとする気概は共通して大きかったからだ。そして岩倉使節団は、西海岸のサンフランシスコからアメリカを見るための豪勢な団体旅行をはじめるのだ。

サンフランシスコから大陸横断列車で7昼夜をかけてワシントンDCを目指す。この鉄道は、後にローリング・サンダーがブレーキマンとして勤める鉄道である。サクラメント、シエラネバダの山塊を越え、トラッキーリバー沿いの高原砂漠、ぼくが言うウエスタンショショーニの人たちの国のまんなかを突っ切り、偉大な沙漠の中を進んだという。この途中で、彼らは車窓から、「顔を赤く塗り頭に羽毛をはさんだインディアン」の姿を目撃したとある。その際の、この旅の記録係だった久米邦武と米国通のやり取りが興味深いので引用しておく。

「インディアンは日本人と先祖を同じくするというではないか。今でこそ白人が天下をとってインディアンはまるで居候のように小さくなっているが、もとはといえばインディアンの土地でござろう。そこへ白人が鉄砲をもっと乗り込んできて、いわば乗っ取ったも同然ではござらぬか」

「さよう、その恨みは深く、このあたりでは鉄道工事中よくインディアンが襲ってきて妨害したようだ。鉄道が開通してからも、物陰から毒矢を放って窓を開けていた乗客がやられて死んだこともある」

「文明、文明というが、アメリカ人は結局先住民族の国を蹂躙した乱入者で、原住民たるインディアンはまるで強盗に家財一切を掠奪された上に、その家から追 い出されたようなものではないか」

「いやいや驚くには足らぬ、現実世界は弱肉強食、すべて欧米諸国のやり方はそんなものでござる」


岩倉使節団という冒険岩倉使節団という冒険 (文春新書) (新書)
泉 三郎 (著)
価格: ¥ 735

新書: 221ページ
出版社: 文藝春秋 (2004/07)
ISBN-10: 4166603914
ISBN-13: 978-4166603916
発売日: 2004/07

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Monday, September 07, 2009

ペルティエの釈放を求める闘いがワシントンDCではじまった

Photo Kitty Carnes

「サンダンス・チーフがホワイトハウスの前でレオナルド・ペルティエのためにオバマ大統領との面談を求めて断食に」の過去記事で紹介したベン・カーンズのホワイトハウス前の芝生における断食がはじまった。また世界的な人権団体のアムネスティー・インターナショナルもペルティエの即時釈放を要求している。

Photo Kitty Carnes

Source: Fasting for Peltier's release in DC [CENSORED NEWS]

USA: Denial of parole to Leonard Peltier after more than 32 years in prison, disappointing [ Amnesty International Press releases 21 August 2009 ]

あわせてお読みください:

サンダンス・チーフがホワイトハウスの前でレオナルド・ペルティエのためにオバマ大統領との面談を求めて断食に

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Friday, September 04, 2009

◆彼らの呼び方についての覚え書き◆

[この文章は少しずつ手を加えながら定期的に繰り返しアップロードされます]

Revised Friday, November 22, 2010

start_quote「インディアン」という言葉は、今ではぼくたちのものだ。ぼくたちはインディアンである。インド人とはまったく関係がない。ぼくたちは、アメリカのインド人ではないのだ。ぼくたちはインディアン。「イン・ディン(In-din)」と発音する。それはぼくたちのものである。この言葉は、ぼくたちが所有しているのだ。誰が返したりするものかend_quote.gif

——シャーマン・アレクシー『The Unauthorized Autobiography of Me(ぼくについての独断的な自叙伝)』の一節より(シャーマン・アレクシーは1966年にワシントン州のスポケーン・インディアン・リザベーションで生まれた。アメリカ・インディアンの新世代の作家・詩人として注目を集めている。)

s_handこの「BLOG」をお読みいただくに際しておことわりがある。それは、わたしはこれまで自分の書いたり話したりすることのなかで「アメリカ・インディアン」「アメリカン・インディアン」「インディアン」「ネイティブ」「ネイテイブ・アメリカン」「ネイティブ・ピープル」「インディアン系アメリカ人」「ブラウン・アメリカンズ(茶色いアメリカ人)」「レッド・ピープル」「レッドマン」「赤人」「北米先住民」「先住民」「先住民族」「先住アメリカ人」「アメリカ大陸原住民」「原住民」といった言葉を、そのときどきの思いつきと気分と文脈とに応じて使ってきたし、これからもそうするだろうということである。気持ちが高揚すればあらゆる要素を盛り込んで「ネイティブ・ノース・アメリカン・アボリジナル・フアースト・ネーションズ・インディーニアス・ピープル」なんて単語だって使うかもしれない :-)

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北山耕平9月のトークの予定

paw next 9月25日(金)夜 講座 ネイティブ・ピープルのものの見方と考え方  paw

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Wednesday, September 02, 2009

先住民にとっての神話と遺産という講演会は聞きに行く価値がありそうだ

講演会「先住民にとっての神話と遺産」(仮題)

9月18日(金)18:30〜20:00(開場 17:30)

報告者
ボブ サム[米国アラスカ;クリンギット語り部] 

トリンギットの語り部であるボブ・サム氏をお迎えし、ワタリガラス神話など彼らに受け継がれてきた神話をお聞かせいただくとともに、先住民にとっての神話と文化遺産のかかわりについて考えます。


会場 北海道大学遠友学舎(北区北18条西6丁目)
主催 北海道大学アイヌ・先住民研究センター

※ 通訳付き
※ 入場無料、参加自由

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