「アメリカ・インディアンに髭は生えるのですか?」
「アメリカ・インディアンに髭は生えるのですか?」という質問が、アメリカのミシシッピー州のハッティスバークと言うところの新聞のサイトに掲載されていると教えてくれる人がいたので読んでみた。8月13日の記事にそれがあった。「アメリカン・インディアンに髭なんてことはあり得るのか?」というタイトルだった。フィリップ・ミラノという Y Forum [そこまで聞くのか!? 知りたかったけれどなかなか聞けなかったこんな質問とあんな答え]という、異文化の疑問を探り合うサイトを主催している人がまとめた記事で、面白いので読んでみた。
インディアンの男性に髭は生えるの?
「アメリカン・インディアンの男性に髭は生えるのですか?」という疑問をそのサイトに投書したのは、アイオワ州に暮らす65歳の白人男性のモンティー氏。また同じようにテネシー州のナッシュビルに暮らす33歳の白人男性のチャールズ君も投書していた。「馬鹿げて無知な質問かもしれないけれど、ネイティブ・アメリカン(アメリカン・インディアン)のことで教えてください。ネイティブ・アメリカンの顔の髭や体毛はどうなっているのですか? 最近自分は100パーセントネイティブ・アメリカンだという人物と出会ったのですが、その人は無精髭がもじゃもじゃ生えていて、腕毛もたくさんありました」
この質問にたいする読者からの返事がいくつかまとめられていた。
「あなたに自分を100パーセント・ネイティブ・アメリカンだと言ったその男は100パーセント嘘つき」ワシントン州メリーズヴィルに暮らす37歳のアメリカン・インディアンの女性のスーザンさん。
「遺伝子的にそんなことはありえない。他の人種と混血していないと無理。ハッハ。ぼくは四年間髭を伸ばそうとしてこまめに顔の髭剃りをしたけれど残念ながら結局生えなかったよ」ニューメキシコ州アルバケルク在住アメリカン・インディアンで22歳のテレンス君。
「生えている人もいれば生えていない人もいる。われわれがアジア人と関係があるのではないかと興味を持っているのならそれはありえない。氷河の橋を越えてきたという考え方から推測されたものだろう。アジア人はアジア人でビューティフルな文化を開花させているし、われわれにはわれわれの文化がある」サウスダコタ州ラピッドシティのネイティブ・アメリカン、サムソン氏。
「ありますよ、彼らには髭も生えているし体毛もあります。でも、ほんの少しですけれど。彼らは少し生えてくると顔から髭をむしり取ってしまうのです」カリフォルニア州ローズヴィル、G・J・J。
「わたしの妻はネイティブ・アメリカンですが、妻に言わせると、ほとんどのネイティブ・アメリカンの体毛は細くて短くて、顔の髭はほとんどないらしいです。もちろん人それぞれではありますが」ニューメキシコ州ロスアラモス在住、白人のジョン・F。
専門家に聞いた意見をまとめると——
12000年から15000年程前の氷河期に、一時的に陸橋となっていたシベリアの狩人たちがそれを渡ってはいってきたとするベーリング陸橋理論が、嘘ねえ?
この問題は、まだ答が出されてはいないといっておいた方がよいかもしれませんよ。めんどくさいDNAテストの指し示すところでは最初のアメリカ人はもしかしたらアジアでないところから舟で来たのかもしれないと主張する研究者もいます。
毛髪については、イースタン・コネチカット州立大学の、アメリカン・インディアンの文化人類学者ジユリアン・ジェニングス先生に言わせると、部族によって頭髪はさまざまに異なっています。顔の髭は、伸ばそうと思えば伸びるにもかかわらず、伸ばさないようにしているのだとか。
1634年に初版が刊行されたウィリアム・ウッズ著の「ニューイングランド探査行」という書物があり、1977年にオールデン・ボーガンの編集で復刊されたのですが、そのなかにこういう記述があるそうです。「顎髭を伸ばしたいなどという希望は認められない。少しでも生えてくると根本から引き抜かれてしまう。彼らにとってそれは役立たずで、煩(わずら)わしいもので、不名誉な副産物と見ていて、髭が少しでも生えていると卑しいイギリス人のまねをしているとまで非難される」
チェルエンハカ(ノットウェイ)部族(「川の流れの人たち」という、同系統のアルゴンキン語を話すタスカローラの言葉から来ている呼び名)の出身であり、「南部ニューイングランドのネイティブ・ピープルの文化の歴史」という書物の共同執筆者であるジェニングス先生は「髭が生えないというのは作られた固定概念にすぎません」と言っています。
「ひとつの例をあげれば、わたしの父親など髪の毛もとても薄かったです。顔の髭のことでなんて、ヨーロッパ人とくらべると、まるで気にしていませんでしたよ」
北山耕平的結論
インディアンに髭は生えないとか、インディアンにはげはいないというのも、ステレオタイプに基づいた意見なのかもしれません。
I Can't Believe You Asked That!: The Ultimate Q&A about Race, Sex, Religion, and Other Terrifying Topics
# ペーパーバック: 288ページ
# 出版社: Perigee Trade; Perigee Trade Pbk. Ed版 (2004/9/7)
# ISBN-10: 0399530169
# ISBN-13: 978-0399530166
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Comments
いつも刺激的な記事をありがとうございます!
僕もカーティスなどの写真を見てるとき、髭を伸ばしている人が全然いなくて、髭を伸ばす風習がないのかなっとは思ってました。
さすがに「生えない」とは思わなかったけれど(^-^;
ここでちょっと疑問に思ったんですけど、大昔日本列島に根っこを生やして生きてた人たちの髭は、どうだったんですかね?
教科書にはよく毛皮を着て髭がもじゃもじゃの縄文の人が描かれてましたけど・・・。
僕はカーティスの写真に見られる人たちのように、もっと洗練された衣服を身にまとっていただろうし、髭もぼっさぼっさではなかったんではないかと思ってるんですが。
食ももっとシンプルでパワフルだったろうから、土地によっては体毛が薄い人たちもいたかもしれませんよね?
まぁ何にせよ、想像することは楽しいです( ̄▽ ̄)
Posted by: 放浪ミミズク | Sunday, August 16, 2009 12:02 PM
ごぶさたしております。
米国先住民男性の体毛についてですが、フルブラッドの方の場合、頭髪については確かに一般的に禿げ難い傾向にはあるようです。
しかし、禿げる方が皆無という訳ではなく、かのブラックエルク翁なども晩年近くの写真を見ると、頭頂部はかなり薄くなっておられ、セレモニー等での正装の際にはロングヘアの鬘の着用に及ばれています。
また、体毛については例外はあるのでしょうが、基本的には薄く、髭などはほとんど生えないか、生えてもチョボチョボ状態の方が大半で、西欧人のように立派な髭をたくわえることができる方はほとんどいなかったようで、髭を生やす習慣がなかったのは、そのためもあるのかも知れません。
髭の処理については、剃らずとも時々抜くだけで済んでいたようです。
なお、北西沿岸部のハイダやクリンギット系の部族、、アリゾナのマリコパ族など一部には伝統的に髭を伸ばす習慣のあった部族があります。
日本で出会ったマリコパ族の男性はさながらインドのサドゥのような風貌でした。
ふーるどっぐ
Posted by: ふーるどっぐ | Sunday, August 16, 2009 02:27 PM
放浪ミミズクさん
ふーるどっぐさん
ぼくが出会ったネイティブの人のなかには頭の薄い人がかなりいましたが、ひとつには彼らの多くがヨーロッパ系との混血だったからという理由がありそうです。ホピのフルブラッドの人たちは白髪が多かったな。過ごす冬の数が多くなればだんだん薄くなるのがあたりまえなのだろう。でも髪の毛が雪のように白くなる人もかなりいたっけ。ローリング・サンダーは薄かった。ほとんどターバンやカウボーイハットをかぶっていたけれど。晩年のRSは無精髭も少し伸びていて、髭を剃ってあげたことも。自分の父親が亡くなる直前にも、ぼくは髭を剃ってあげたことがありましたっけ。
縄文時代の日本列島人が長い髪の毛に無精髭もじゃもじゃだつたなんて、ぼくも思いません。ぼくたちがまだ知らないやり方で髭を抜いていただろうし、髪も清潔に整えていたと思う。毎日川や泉で沐浴していたはずです。毛皮を着て裸足で丸太ん棒を持って徘徊してしていたというイメージもまた、貧困な想像力によるステレオタイプな決めつけなんだろうと思う。絶対遭ったら驚くぐらいおしゃれしていたんだとかつてに想像しています。\(^O^)/
Posted by: Kitayama "Smiling Cloud" Kohei | Sunday, August 16, 2009 06:41 PM
岐阜県関市の「フェザーミュージアム」には縄文時代の髭剃りとして「木片の両側に黒曜石などの刃が埋め込まれたヒゲソリ」が展示されているそうです。
Posted by: Kitayama "Smiling Cloud" Kohei | Tuesday, August 18, 2009 02:10 PM
Kathy Dryden Scams Alberta Works, Legal Aid and AISH and the court of Queens Bench
Posted by: Legal Aid and AISH and the court of Queens Bench | Friday, August 22, 2014 07:17 AM