チーム結成2年でワールドカップに出場したホーデノショーニ国女子ラクロスチーム
先月の17日から27日までの10日間、チェコ共和国のプラハで「女子ラクロス・ワールドカップ大会 2009」が開催された。今年の大会でニュースになったのは、ホーデノショーニ国の代表チームが、代表チームを結成して1年半にもかかわらずワールドカップに出場を果たしたことだった。左の図は、今年のワールドカップに出称した各国々の旗。右列上から2番目がホーデノショーニの国旗。
ホーデノショーニ国(ラクロス日本代表のサイトでは「ホーデノソーニー」と表記されている)は、しばしばイロコイ6ヵ国連合と書かれることもあるように、モホーク国(Mohawk)、オネイダ国(Oneida)、オノンダガ国(Onondaga)、カユガ国(Cayuga)、セネカ国(Seneca)、そしてタスカローラ国(Tuscarora)の6つの国の連合体の総称である。アメリカ大陸の先住民の中でしばしば「東部のホピ」と称されるぐらいに並外れた精神力を持つ人たちで、現在のニューヨーク州の北部、ナイアガラの滝の周辺、カナダのオンタリオ地方を自分たちの国としている。
ホーデノショーニ国の女子ラクロスチームが、ネイティブアメリカンの伝統にのっとり、各チーフたちに意見を求めて承諾を得たうえで、国際女性ラクロス連盟(IFWLA)に正式に参加したのは、わずか2年前のことだが、もともとラクロスはホーデノショーニの人たちにとっては、国技と呼んでもいい神聖なゲームだったのである。
チーム・ホーデノショーニのメンバー
ラクロスが競技になる以前、それはラケットボールと呼ばれるネイティブ・アメリカンに独自の伝統的なゲームだった。こうしたゲームを美しく見事に闘うことは、造物主に感謝のメッセージを送る神聖なものと考えられ、また「メディスン・ゲーム」として一族の中に病のものがいたりすると、その人の健康が回復されることを祈るために試合がおこなわれたりした。勝つことよりも美しいハートをもっておこなわれるかが最も大切にされたのだ。現代のボールをつかう団体ゲームの多くが、ネイティブ・アメリカンのゲームに起源を持つが、近年はこうした競技においても、相手を倒すことが目的になっている。しかしボールをつかって誰もが参加できるゲームは、人々をひとつにまとめるという意味で、昔から彼らの日常生活の中できわめて大きな役割を持たされていたのだ。
ホーデノショーニ国の男子ラクロスチームはすでに過去4回ワールドカップ大会に出場した実績を持つが、結成2年にみたない女子チームが、今年念願のワールドカップに出場したことを、イロコイの人たちは、そして空におられる創造主は心から喜んでいるにちがいない。
ちなみにワールドカップの結果は、参加16チーム中1位がUSA、2位がオーストラリア、3位がカナダ。日本女子は7位、ホーデノショーニ国は2勝4敗で11位だった。
「Native News Update」カテゴリの記事
- ホピの国にこの50年ではじめて建てられたホテルの外観と内装をご覧ください(2009.11.30)
- ローラ・インガルス・ワイルダーが「大草原の小さな家」の初版のある部分を十数年後に書き直していた背景になにがあったか、あるいは野蛮人は人間ではないという無意識に焼き込まれた保守思想(2009.11.03)
- 古代のアボリジニのなかにはウサイン・ボルト選手よりも早く走れた人がいたかもしれない(2009.10.22)
- ネイティブ・アメリカン部族国家会議がホワイトハウスで開催される(2009.10.20)
- 今年ホピのスネーク・ダンスの儀式に非アメリカ・インディアンの見学者の立ち入りが禁止された(2009.10.16)
The comments to this entry are closed.
Comments