アメリカの先住民であるイロコイの人たちに伝えられた「大人になるときに聞かされる話」を聞く会が6月1日におこなわれます
古屋和子さんとのなかかつみさんのユニットによるストーリーテリング公演
ア シ ハ ヤ
お話 古屋和子
バッファロードラム のなかかずみ
●仲間たちから笑い者にされていたアシハヤと呼ばれる少年が、行方不明になった人たちを捜して旅立ち、さまざまな困難に立ち向かいながら目的を果たし、成長して帰ってくる物語。イロコイ(ホーデノショーニ)の民話。
日時 6月1日 月曜日
16時50分から18時20分
入場無料
場所 法政大学(東京都千代田区富士見2−17−1)
市ヶ谷キャンパス 573教室
55年館 5階
アクセス地図
問い合わせ先 090−4399−5376 (古川先生)
法政大学 古川博資先生 特別授業
授業の一環としておこなわれるものですが、古川先生は公開授業として、すべての人たちに公開してくださいます。中学生、高校生から楽しめます。時間がある人はぜひ聴きにいってみてください。
この『アシハヤ』の物語は、ぼくが興味を持って探し回ったいわゆる「大人になるときに聞かされる物語」のひとつです。大人になるという感覚は、当然ですが部族や国によって微妙に違っていますが、はっきりしているのは年齢では判断できないということでしょう。大人になるためには、伝統的に学ばなくてはならないことがあるのです。それを学ばなければ、いくつになったところでほんとうは大人ではないわけ。ビイング・ネット・プレスという小さな出版社が刊行してくれた4冊の大人になるときに聞かされる物語の本(『アシハヤ』はその第1冊目)はぼくが物語を見つけて、再話をおこない、ネイティブアメリカンの文化に影響を受けたアーティスト/イラストレイターの菊地慶矩氏(ムーンクロウスタジオ)が装幀とイラストレーションを担ってくれたきれいな本です。大人とはなにかと悩んだときに手にしてください。悩んでいる人にプレゼントしてもらってもいい。でもネイティブの人たちのお話は本来耳から聞くべきものなので、直接ストーリーテリングとして楽しめるこのチャンスを逃さないようにしてください。『アシハヤ』をお話として耳で聞ける機会なんてそうあるものではありません。この機会を作っていただけたことを感謝します。
再録 アシハヤの本のまえがきの言葉から 北山耕平
誰にでも大人になる時が訪れます。生まれ育った家を離れ、両親の加護を離れて、自分がひとりの人間として生きていけることを、成長していけることを、自分の力で証明してみせる時が訪れるはずです。おそらくこれは年齢とはあまり関係がありません。十代でその時を迎える人もいるし、二十代で迎える人もいるでしょう。けっきょく大人になることをミスしたまま歳を重ねることだって、あらゆる儀式が価値を喪失した現代では珍しいことではありません。大人になれなかった大人たちがたくさんいることも事実です。世界の文化のなかには、いまでも若者が大人になるための通過儀礼を持っているところがあります。それは新しく大人になる人間に、大人になるとはどういうことなのか、大人の役割とはなんなのかを教える儀式です。私は「日本人」が「アメリカ先住民」と民俗学的に近い位置にあることを肌で確認して以来、長い間、北アメリカ大陸の先住民の間に残っていたそうした儀式に興味を持って調べてきました。代表的なものにラコタ族(スー族)に残されているヴィジョン・クエストがあります。山の頂でひとりぼっちで、飲まず食わずで4日4晩を過ごす儀式ですが、同様のシンボリックな通過儀礼が他の部族でもさまざまに姿を変えて伝承されています。そして大人の世界に足を踏み入れる儀式において、その儀式の意味を伝える教育的な働きをするものが、メディスン・ストーリーとかティーチング・ストーリーと言われる「お話」でした。お話は、なにも娯楽のためだけあるのではありません。本当に大切なことを伝えるために物語りは人間の歴史を通じて使われてきました。そこで私は、ネイティブ・アメリカンに伝えられてきた「大人になる時の教えの話」「大人になるための教えの話」を、できるだけたくさんの日本列島に生を受けた若者たちと共有したいものだ、と考えました。なぜなら、日本人はルーツを喪失した「インディアン」であって、なおかつ日本では大人になるための儀式も物語もまったく残されていないからです。文字に印された歴史がはじまって・・・・人間としての成長を疎外する便利なシステムが完成して・・・・あまりに長い年月が経ってしまったために、人びとの間に残されていたそうした教えのある物語は記憶の彼方に消されてしまったようです。私はこのシリーズを、日本人としてではなく、地球のうえに生きるひとりの人間として、自分を知りたいと思い、大人になることはどういうことかを考えはじめた君に、贈ります。
グッド・メディスン・ブック シリーズ その第1巻
ビイング・ネット・プレス刊行
北山耕平再話 菊地慶矩作画
定価1155円(税込み)
ページ数 52P
判 型 四六版
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Comments
いつもお世話になっております!!
北山さんのブログをいつも楽しみにしております。
先日行ってまいりましたが、
本当に素晴らしい物語でした!!
ジャンピングマウスもそうですが、こうした素晴らしい物語はいつまでも語り続いてほしいですね・・。
Posted by: メビ | Tuesday, June 02, 2009 11:47 AM