大地のスピリットたちへのささげもの
明後日の新宿で開催される無料の健康講座の「タバコトーク」ですが、別に学校や会社が新宿区になくても、住居が新宿区になくても、誰でも見に来てかまわないそうだ。テーマをタバコに限って話をするのははじめてなので、いったいどうなるのかわからないのだが、タバコを吸う人にも吸わない人にも止めた人にも得るものがあるような話ができればなとは思う。ちなみにぼくはタバコ(シガー、シガレット)を無意味に吸うのを止めてからもう15年ほどになるけれど、タバコの葉をささげものとして大地にまくことは、今も時と場所を選んで続けている。大地と純粋なタバコはとても相性がよいような気がしてならない。
ぼくが知るかぎり南から北までのアメリカ大陸の先住民族のほとんどすべての部族の創世神話において、タバコはスピリットたちの愛するものとして登場してくる。ホーデノショーニの人たちに伝えられた神話では、この地球で最初に生まれた女性が、善と悪の双子のスピリットの兄弟を生んだことになっている。善のスピリットは地球にあるすべての良きものを作り出した。そのなかには、人間たち、動物たち、雨、植物が含まれる。しかし植物のなかには、トウモロコシ、豆、スカッシュ(カボチャ)そしてタバコのように神聖な植物は含まれてはいなかった。双子のもうひとりの悪のスピリットは、怪物や病といった考えられるすべての悪いものを作り出した。最初の女性が死んだとき、人間のいのちをつなぐみっつの作物であるトウモロコシ、豆、スカッシュがその女性の死体から育った。さらに心を静めるものとして彼女の亡骸の頭から育ったものがタバコだったという。日本の神話にも五穀の起源として食物をつかさどる女性神が殺された時その死体の「頭に蚕生り、二つの目に稲種生り、二つの耳に粟生り、鼻に小豆生り、陰に麦生り、尻に大豆(まめ)生りき」というふうにこれとよくにた話が伝えられている。
造物主ががタバコを地球に作り出した理由は、人間たちがタバコを通して他ならぬスピリットたちと、自然と、創造主と、相互にわかり合うためだとされる。古来からタバコは祈りのための神聖な薬草とされていた。タバコそれ自体が、そして煙草の煙も、われわれに厄災を遠ざける力を与えてくださったスピリットたちへのささげものとして、感謝をあらわすために用いられたのだった。
参考記事:トーク・アラウンド・ザ・タバコ
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