鈴木峻隆老師の話す英語はぼくにはまるでアメリカ・インディアンのエルダーの話す言葉のように聞こえるのだった
70年代の後半をぼくはアメリカで過ごした。その間、たくさんのアメリカにおける日本人の存在を知ったなかで、ぼくが多くの影響を受けた日本人の一人が「鈴木峻隆(Shunryu Suzuki)」という曹洞宗の禅の老師だった。71年に老師はすでにこの世の人ではなくなっていたが、老師の影響を受けたお弟子さんのような人が70年代のアメリカには数多くいた。そのなかには日本人もいたし、ノンジャパニーズもいた。鈴木峻隆老師はヒップな考え方や生き方を求める人たちの心のよりどころだったサンフランシスコ・禅センターの別院を興した偉大な人物で、おそろしくシンプルな英語を操って人々の心をひきつけ、今なおアメリカで出版された禅の本のなかでは老師の書かれた本がよく読まれている。アメリカで禅というと忘れられてはいけないのがもうひとりの老師である鈴木大拙という人物で、同じ鈴木でも日本国においては大拙先生の方がはるかに有名だが、彼は50年代後半のビート世代に大きな影響を与え、一方の峻隆老師は60年代後半の初期のヒッピー世代に多大な影響を及ぼした。良くアメリカ人からも鈴木大拙老師と間違えられることがあって、そういうとき彼は「No, he's the big Suzuki, I'm the little Suzuki.」と冗談のようにこたえていたという。今回、YouTube のなかで運命的に鈴木峻隆老師が話す動画2本と出会ったので紹介しておきたい。彼の話すような英語を、これからの若い世代も話せるようになるとよいと思う。動画の1本は「音と雑音」についての短い講話と、もう1本はサンフランシスコ禅センターの別院(というのかな)、カリフォルニアの山の中にあるタサハラ禅マウンテンセンターをつくった鈴木峻隆老師の人生の紹介と老師が死を迎える前におこなった講話(モノクロ)が写しだされている。禅はもとより日本だけのものではないわけで、カリフォルニアスタイルの禅のあり方というものも見ておいて損はないと思う。
Present! - Talks of Shunryu Suzuki Roshi
at Tassajara Zen Mountain Center
http://www.youtube.com/watch?v=w7umcFZEb7c
鈴木峻隆老師の言葉なにかを見るや否やあなたの頭は自分の見たものを分析しはじめている。そしてそうやって分析をしはじめた途端、すでにそれはあなたの見たものではなくなっている。
厳密に言うならば、悟った人などは存在しない。あるのは悟るという行為だけだ。
初心者の心の中には可能性がたくさんあるが、専門家の心の中にはそれがほとんどない。
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Comments
アメリカの学校にいったとき禅を説明したくて買った本が峻隆和尚の「Zen Mind,Beginner's Mind」でした 説明したくて買った本なのに自分がはまってしまいました シンプルな英語で語られる和尚の言葉に惹き込まれていきましたね 未だに宝物として持っています^^知識として理解はしましたが智慧への昇華はまだ先になりそうです^^;
Posted by: Bash | Thursday, February 05, 2009 10:23 AM
I every time used to read paragraph in news papers but now as I am a user of net thus from now I am using net for articles or reviews, thanks to web.
Posted by: mobil suzuki | Wednesday, December 17, 2014 01:23 AM