傷ついた膝の傷ついた心
Wounded Knee
新年を目前にした毎年12月29日はネイティブ・アメリカンの信仰、とくに「ゴースト・ダンス」と呼ばれる「地球のよみがえりを希求する信念体系」を学び続けるものには忘れられない日である。1890年のその日、傷ついた膝と名づけられたなだらかな丘の続く野営地で、最後の希望としてのゴーストダンスを信じていたラコタの人たち、女性も年寄りも子どもたちもふくむ150人(正確な数はいまだにわかっていない)ほどが、500名のアメリカ軍兵士によって虐殺される事変が起きた。自分たちの国(大地)を守るものと奪うものの最後の武力衝突とされるものだ。それは未来永劫にわたってアメリカの歴史の汚点であり、人々の心が決定的に傷つけられた事件である。アメリカの心はあの日以来今なお傷ついたままだ。このサイトで毎年この日に紹介してきた上記の動画は、虐殺にいたるまでの過程を追ったドキュメンタリーである。
現在、まさにここ数日、中東のガザで起こっていることも同じように心を永遠に傷つけるものだ。昔カール・グスタフ・ユングという偉大な心理学者が「心と大地」という論文に、オーストラリアのアボリジニの発言としてこう書き記していた。「よその土地を奪うことはできないものだ。というのはよその土地にはよその祖先のスピリットが住んでいるからだ。だから、あたらしくうまれるものは、よその祖先の姿をしてあらわれるだろう」この言葉は真実以外のなにものでもなく、征服国家アメリカはなぜネイティブ・アメリカンが今日も、そしてこれからもずっと生き残り続けているかを知るべきだし、同じように征服国家イスラエルは自分たちが絶対にアラブの土地を奪うことができないことを知るべきではないだろうか。
あわせて読んでいただきたい過去記事:
参考記事:
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Comments
北山耕平様
過去におきてしまったこと、現在おきていること、未来におころうとしていること、まるで、自分とは関係がないと思えるような出来事でさえ(知ろうが、知らなかろうが)私たちは無意識の中ではすべて共有している体験なのでは・・・
と思うにいたりました。
「アリガトウ、ゴメンネ、ユルシテ、アイシテル」私は知ったことに対してそうつぶやくばかりです。
2年前にコメントさせていただいた時には、それがうまく言葉にできなくて、それを受け容れられなくて、私の中でずいぶんと葛藤していたように思います。
この2年間、いろんな事をこのブログから学ばせていただきました。ありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願いいたします。
(* ̄ー ̄*)
あのときのきよみより
Posted by: 湖翠 | Wednesday, December 31, 2008 08:13 AM