厳しい吹雪のなかにおかれたままのサウスダコタ州のインディアン居留地
このところ忙しくてニュースをきちんとアップデートできない。ラコータ共和国のチーフでオグララ・スー一族の首長選挙に出ていたラッセル・ミーンズが今回もまた次点で敗れたことも、サウスダコタのブラックヒルズ周辺をただならないブリザードが襲ってパインリッジにあるリザベーションの住人にかなりの被害が出ていることも、伝えられていないうちに過去のものになっていってしまいそうなので、ざっと。オグララ・スーの一族の首長選挙は、予備選挙の段階で三位だった立候補者が本選を辞退したために州議会議員で女性のテレサ・ツー・ブルとミーンズおじさんの一騎打ちとなり、ツー・ブルは2277票を獲得してオグララ・スーでは二人目の女性チーフとなった。それでもラッセルおじさんは1918票を獲得している。この数字をどう読むか? 州議会議員のテレサ・ツー・ブルは全体の票の55%を獲得したわけで、これはオグララ・スーにおける「古くさい現状維持派」の割合を示すものと見ていい。一方の自立独立推進派のラッセル・ミーンズは、今回は4回目の出馬だったが、全体票の45%を獲得したことになり、おじさんは植民地体制維持の部族政府からの「ラコータ国の独立が承認された」とこの数字を読んだらしい。彼は自らのブログに「植民地体制を受け入れたインディアンたちに、これでもうわれわれがインディアンを代表していないなどとは言わせない」とあいかわらず意気軒昂だ。はたしてそのサウスダコタ州を強力なブリザードが襲ったのは、ミーンズおじさんの選挙が終わるか終わらないころのことだった。サウスダコタ州政府は非常事態を宣言し被害の大きな地域を公表したものの、なんということかそこにはインディアンたちの暮らす土地はいっさい含まれていなかった。これこそ部族政府そのものに指導力のかけらもないためだとして、ラッセル・ミーンズおじさんは部族の首長選挙の候補者の1人であり、ラコータ共和国のチーフ・ファシリティターとして世界にむかって住民の生命が危機のなかにあることを訴える「国際被災宣言」を個人的に発令した。今もなお数千人が電気の切れた村で吹雪に埋まったまま孤立しているようだ。道路が雪で閉ざされており非常事態に対応が出来ないという。というのがいまラコータ共和国周辺で起こっていることである。すでにブラックヒルズには厳しい冬が来ている。
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