フロリダ半島で発見された1100年前の外洋航海用カヌー
米国フロリダ州タンパベイエリアのセントピーターズバーグにあるウィードン島の入り江にある沼地の泥の中から14メートル近い長さのある古代のカヌーが今年の5月に発見されていたというニュースを読んだ。カヌーはざっと1000年以上も前にそこに埋まってしまったもので、そのカヌーを使っていたのはその辺りで暮らしていた古代のアメリカ大陸先住民としかわからないと書かれている。とりあえず地表近くまで持ちあげたが、泥の中にとどめ置いたまま現在は専門家がどうやってそのカヌーを保存すればよいかを検討中だとある。
一本の松の木から削り出されたカヌーで、考古学者たちは、これまでフロリダで発見された湖や川といった静かな水面を移動するための内海航海用の古代カヌーとはあきらかに異なるため、湾から外洋へ乗り出すために使われたものではないかと推測している。
カヌーの後方が壊れてなくなっていて、現存する部分だけの長さは12.2メートル。失われた後半部を加えるとカヌーの全長はさらに後2メートル近く伸びるだろうという。考古学者グループの意見では「この大型外洋カヌーは遠方に住む人たちとの交易に用いられたものだろう」ということだ。
「先史時代のカヌーとしてはこれまでにフロリダで発見されたものの中でも最大のもの」とウィードン島保存センターのマネジャーであるフィリス・コリアノスさんは語る。彼女はさらに「これはとても重要な発見なのです。この島でその当時暮らしていた人たちはすでに遠方との交易をしていた可能性を示唆しているのですから」
フロリダ半島のほぼ中央部西側のタンパベイから外洋に出ればそこはメキシコ湾沿。湾岸沿いにならかなり遠方にもいけただろう。学者の中には現在のジョージア州辺りまで往来していたのではないかというものもいる。
放射性炭素年代測定法で測定するとカヌーはおよそ1100年前のものであるらしいと、コリアノスさんは語った。
その頃日本列島では大和朝廷による東北の「蝦夷征伐」が本格化しようとしていたころ。左上の図版は15世紀にヨーロッパ人の画家が描いたアメリカ南東部のインディアンが漁をしている図である。そろそろわれわれも、先史時代を語る際に「丸木舟」という記述をやめて「カヌー」という言葉に切り替えるときであると思う。
Source : 45-Foot Ancient Canoe Stuck In The Muck Of Weedon Island
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