トゥンカ・シラ 偉大なる祖父の岩
ラコタの人たちの言い伝えによれば、すべてのもののはじまりはワカンタンカの思いの中にあったことになっている。のちに形あるものとしてなりませるものはことごとくみなスピリットとしてのみ存在した。スピリットたちは自ら形あるものとして顕現する場所を探して宇宙を移動した。そしてスピリットたちの旅は彼らを太陽に導いた。だが太陽は万物が創世される場所としてはあまりにも暑すぎた。結局彼らは旅を続けて地球に訪れた。地球はことごとくが水に覆われて生命などはどこにもなかった。いのちが暮らしていけるような乾いた大地がどこにもなかったのだ。しかしそのときのことだった。いきなり一面の水が裂けて中から燃えたぎる偉大な岩(インヤン)があらわれた。その燃えたぎる岩は乾いた大地を作り出し、煮えたぎる水からは蒸気がもうもうとわきあがり、それはやがていくつもの雲にかたちを変えた。そして地球はあらゆるいのちのはじまりうるところとなった。だからこそ最初に水のなかから現れた偉大な石は、最も古い存在であるがために「偉大なる祖父の岩」を意味する「トゥンカ・シラ」と呼ばれる。
参考記事:
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