なに、ノース・アメリカン・コンチネントだって? そんなものはないのだよ
大統領が頂点に君臨するアメリカ合衆国の子どもたちは、学校で「北米大陸」があると教わる。その場合の北米大陸は、「北」からはじまるのである。北は地図上では常に上部に当たる。この上の部分はかつては氷でわけられていて、アジアやヨーロッパと向かいあっていたのだが、北極の氷が融けはじめて、ここのところ上の境界もはっきりしなくなってきた。地図の上でカナダと呼ばれるグレイに塗り分けられたエリアを抜けると、そこにいきなり、活気にあふれ、さまざまに色分けされた50の州が出現する。そして南のリオグランデ川を越えた途端に、また色が褪せはじめる。だから合衆国の子どもたちは両親によく「北米大陸の南の境界はどこなの?」とたずねるらしい。両親も南の境界がどこかわかっていないから、たいていは肩をすぼめるだけだという。
一方、メキシコでは子どもたちは学校で、北アメリカと南アメリカはひとつの大陸だと教わるのだという話を聞いた。メキシコの子どもたちの頭のなかではアメリカとは南北アメリカ大陸をあわせたひとつのつながりとして認識されているのだと。彼らにとってはだから「アメリカ人」という言葉は意味をなさない。南北アメリカに暮らすすべての人が「アメリカ人」なのである。ボリビア人も、チリ人も、ペルー人も、ブラジル人も、ベネズエラ人も、エルサルバドル人も、グアテマラ人も、コスタリカ人も、エクアドル人も、その他すべてのラテンアメリカの国々の人たちも、それぞれの土地に暮らす先住民たちも、そして当然ながら合衆国の人たちも、みんなアメリカ人なのである。
ぼくはメキシコのノリが好きだなあ。
「To All My Relations」カテゴリの記事
- わたしにつながるすべてのみなさまへ(2010.04.03)
- 一月の二回目の満月が訪れるまでの間のtweets収録(2010.02.08)
- 冬至、クリスマス、新年を間にはさんで月が満ちて欠けて消えるまでのtweetsを公開(2010.01.14)
- 『地球のレッスン』が本日発売されました(2009.12.18)
- ほぼこの1ヵ月の間にぼくがTwitterで公開してきたものなど(2009.12.14)
The comments to this entry are closed.
Comments
ブラジル人の友達も同じことを言っていました。合衆国だけがアメリカなわけじゃない、自分たちの国もまたアメリカなんだと。
かつては「The United States」と自らの所属する国を突き放した目で見ていた彼らが、ある日を境にして「America, America」と連呼するようになりました。
バラバラだった人々をひとまとめにするためのアイコン。
さてさて。
Posted by: がんちゃん | Thursday, July 10, 2008 02:34 AM