カナダ政府がこれまでの先住民にたいする政策を公式に謝罪
先住民の権利をめぐる議論が国際的に高まるなか、9ヶ月前に国連において先住民の権利宣言に反対した3つの国のひとつであるカナダ政府が、イヌイットなどのファースト・ネーションズ・ピープルに対する過去の同化政策について初めて公式な謝罪を行ったというニュースを、先ほどNHKが報じた。詳しくは以下のとおり。
カナダ政府は、先住民のイヌイットなどの子どもたちを教育するという名目で寄宿制の学校*に子どもたちを隔離し、英語やフランス語による教育が強制されることによって、先住民の独自のことばや文化が否定されてきました。この同化政策は19世紀から始まり、一部で1990年代まで続いていたもので、およそ15万人の子どもが影響を受け、学校では虐待なども横行していたとされています。これについてハーパー首相は11日、議会で先住民たちを前に演説し「わが国の悲しい歴史の一部だ」と認めたうえで、「これまで謝罪がなされていなかったことが、国民和解の妨げになってきた。政府と国民を代表して謝罪する」と述べ、初めて公式に謝罪しました。
カナダ政府は、こうした教育を受けて今も生存しているおよそ8万人を対象に1人当たり1万カナダドル以上、日本円で100万円以上の補償金を支払うことにしています。先住民の権利をめぐっては、国連総会で去年、先住民の人権保護をうたう初めての宣言が採択されたほか、ことし2月にはオーストラリアでかつての先住民・アボリジニの子どもの隔離政策について初めての公式な謝罪が行われるなど、国際的に議論が高まっています。
Source : カナダ政府 先住民政策で謝罪
CNNは「カナダのハーパー首相は11日、先住民の子供を親から取り上げて寄宿学校に入れていた過去の同化政策の誤りを認め、政府を代表して先住民に公式謝罪した」と伝えている。
ハーパー首相は「先住民寄宿学校における子供の扱いは、わが国の歴史の悲しい一節だ。われわれはこの同化政策が誤りであり、多大な被害をもたらし、わが国であってはならないことだと認める」と謝罪した。首都オタワには寄宿学校の元生徒や先住民団体の代表者が招かれ、謝罪に立ち会った。政府によると、元生徒は現在約8万人が存命している。
寄宿学校で子供たちが放任されたり虐待を受けたのは「先住民を子供のうちに殺す」ことが目的だったとも首相は認めた。
Source : カナダ政府、同化政策の誤り認め先住民に公式謝罪
AFPはカナダのスティーブン・ハーパー(Stephen Harper)首相の言葉として「子どもたちを自分たちの家族や文化から切り離し、主要な文化に同化させるという方針は正しくなかったことをカナダ政府は認める。先住民の文化、遺産、言語を修復しがたく大きく損なったことを認める」と書いている。そして「子どもたちを同化させようとする試みは『カナダ史における悲しみの1章』だとも付け加えた」という。
1874年以来、国内に住むインディアンやイヌイットら15万人が、政府の同化政策の一環として、教会が運営する132の寄宿学校に強制的に入学させられた。先住民らは、校長や教師に暴力を振るわれたと証言。家族や共同体から切り離された上に、自分たちが先住民であることを「恥ずかしい」と思わせるような教育内容だったと証言している。
カナダの先住民組織「Assembly of First Nations」のPhil Fontaine氏は、「政府はインディアン性を子どものうちから摘み取り、カナダからインディアンというものを一掃しようとしてきた」と話す。ある卒業生は「文化のジェノサイドだった」と断言した。
強制入学制度は先住民コミュニティの貧困や荒廃を招いたとの批判もある。
カナダの総人口3300万人のうち、130万人が先住民だ。インディアン全寮制学校は、当時米国にあったインディアン実業学校をモデルに各地に創設されたが、1970年代にはその大半が閉校。サスカチワン州(Saskatchewan)に残っていた最後の1校も1996年に閉校した。
Source : カナダ首相、同化のための「寄宿学校強制入学」を先住民に謝罪
注*寄宿制の学校はアメリカ合衆国ではボーディング・スクールというが、カナダではレジデンシャル・スクールと呼ばれている。
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