アメリカ政府はラコタの人たちに彼らの宇宙の中心を一部返還するらしい
第二次世界大戦の際に演習場としてアメリカ陸軍によってオグララ・スーの人たちから強制接収されて、戦後もそのままアメリカ合衆国のものとされ続けてきたサウスダコタ州のバッドランド国立公園だが、ここへきてその南半分を、アメリカ国立公園局(ナショナル・パーク・サービス)が返還を検討しているという。ロサンジェルス・タイムス紙のニコラス・リカルディ記者が書いている。
かつてこの土地の返還を求めてオグラララコタの若者たちが、一族の生存の基盤であり信仰(宇宙)の中心に位置するその聖なる土地を数ヶ月間占拠し続けた歴史もある。国立公園局は道路が舗装されて、国立公園のビジターセンターなどがある北半分については返還を考えていないという。
1930年以降、国立公園局は全米の23の土地をネイティブの人たちから取りあげて国立公園や歴史的記念場所にしているが、これまで返還されたものはひとつもない。アメリカの国立公園というシステムそのものがネイティブの人たちに土地の管理は出来ないとする環境差別のうえになり立っているものであることははっきりしているが、今回の返還に対してはアメリカ国内の有識者と称する人たちから「部族には用意がまだ出来ていない」などさまざまな意見が噴出している。
もちろんその土地は部族に返還した方が管理がずっとうまくいくと主張する人たちも多い。南ロッキーと大平原の自然を守る会の代表であるジョナサン・プロクターの言葉を引用しておく。
「オグララ・ラコタの人たちは、これまでも多くの州当局よりも上手に環境を管理してきている。尾長狐や黒足イタチなどの減少を食い止められたのもパイン・リッジの人たちのおかげだ。彼らの部族は、彼らがこれまでその土地の自然環境にたいして表してきた敬意に見合うだけのものを得ていない。もともとそこはわれわれの土地などではないのだ。バッドランドはオグララ・スーに属する。彼らのものである土地をああしろこうしろと、われわれには口をはさむ権利などない」
Source : Oglala Sioux Could Regain Badlands National Parkland (LATimes, June 8 2008)
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