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Friday, May 30, 2008

「ホピ」とは誰のことなのか?

rockart09ホピとは北アリゾナの沙漠のなかにあるホピの国に暮らしている人たちのことで、「平和の人」を意味し、その平和を貫く質素で精神的な生き方からすべてのアメリカ大陸先住民から一目置かれている人たちである。もちろんホピの人たちだって今の世界と無関係に暮らしているわけではない。

70年代にしばしば耳にした言葉に「ホピには3種類いる。伝統的(トラディショナル)なホピ、進歩的(プログレッシブ)なホピ、塀の上にいるホピの3種類だ」というものがあった。

ホピにとって「伝統」とは「自分たちがグレイトスピリットによってその沙漠のなかの大地に置かれたときに守るように言われ、それぞれが口頭で語り継いできた質素で精神的ないのちと大地はひとつとする聖なる謙虚な生き方」を意味する。世界のすべての人類の生存のために、人類がそれを必要とする日のために、この生き方からぶれないように自分や家族や共同体の生き方を律するのが伝統派の長老の人たちだとされてきた。

しかしホピは長い歴史のなかでいろいろなことを契機に分裂を繰り返してきた。3つのメサに分かれて暮らしているといわれるが、本来はそれぞれの村が独立した自治体だった。便利なものの到来によって生き方に意見の相違が生まれるたびに、進んでその暮らしを受け入れる進歩派の人たちと伝統派は対立して分裂し、伝統を重んじる人たちは村から出て自分たちで新しい村をつくってきた。ホピの国のなかではいちばん新しくできた村ホテビラに最も伝統的な人が集まっているのはその理由による。

現在のホピはその大半が進歩派の人たちで、伝統派のホピは片方の手で数えられるほどになってしまった。70年代は、伝統派と進歩派のホピの人たちの内部対立が最も激化し、伝統派の長老たちがまだかなり大きな力を持って、全米で起こっていたアメリカ・インディアンの権利回復運動にも影響を与えていた。ホピ部族会議という進歩派の権力をまったく認めなかった伝統派の長老たちの目が黒いうちは、塀の上でどっちつかずを決め込んで様子をうかがって、都合のいいときに都合のいい方に塀から降りていた中間派のホピの人たちもたくさんいたのだ。しかし90年代になり、21世紀に入って、伝統派の人たちが「偉大なる浄化の日」と呼ぶ日々が続くにつれて、100歳を超えてもなおかくしゃくとしていた長老たちの多くがつぎの世界に旅立たれると、長いものには巻かれろで多くのホピの人たちが進歩的生き方を是としてアメリカ人化していった。今では部族会議派の人たちはかつての伝統派の長老たちの存在をあからさまに無視し、そのようなものは存在しなかったのだとばかりの主張を展開してはばからない。

『テックヮ・イカチ』はホピの伝統派の人たちが70年代から80年代にかけて部族会議派との対立が高まるなかで、有形無形の攻撃から身を隠しながら世界に向けて発表し続けた「伝統派ポピの人たちの大地といのちの見方を世界に伝える機関誌」で、1号から44号まで刊行され、現在はそのすべてが(英語でも日本語でも)インターネットの上で読むことが出来る。『テックヮ・イカチ』はこれまでいくつかの書籍などには部分的に引用されてきたけれど、全体が一冊の書籍としてはまだ残されていない。進歩派の部族会議派はこれを徹底的に無視することになるだろう。この『テックヮ・イカチ』をなんとか伝統的なホピの生き方を学ぶために繰り返して読める教科書として、たとえ電気がなくなって世界のすべてのコンピューターが停止してもみんなの役に立つように、質素なしかし世代を超えて伝えていける形ある紙の書籍として残そうという動きが、永峰秀司(『テックヮ・イカチ』の日本語訳者)氏や辰巳玲子(ランド・アンド・ライフ主宰)氏らの肝いりではじまっている。

このホピの教えを伝える『テックヮ・イカチ』を一冊の書籍として世界に送り出す力を集めるために自分に出来ることとして、必要な資金となる寄付金集めをかねて、ぼくは「連続講座」を来月からおこなうことにした。もとより書籍や雑誌の出版の世界で育ってきた小生にとって、一冊の書物を世の中に出すためにどのくらいの資金やエネルギーが必要なのかを知らないわけではない。しかし、世の中にはどうしても活字にしておかなければならないものが確かに存在する。この本を必要とする人はけしてひとりやふたりではないだろう。かつてぼくは「ホピの教えを売ることは、自分の母親を売ることに等しい」と聞かされたことがある。20年以上も昔に残された伝統派の世界の見方を学ぶための44号分のニュースレターを「売り物」ではないかたちで書籍化するというほとんど不可能を可能にするために、今後いくつものイベントが各地で企画されるだろう。より多くの平和を愛する個人やアーティストたちの自主的な参加をこころより望むものである。

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「平和の人」とは誰なのか
-ホピ伝統派が残した『テックヮ・イカチ』に学ぶー

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連続講座&発刊・予告編
日時:2008年6月14日(土)
場所:神戸学生青年センター
(阪急神戸線・阪急六甲駅下車歩4分)
http://www.ksyc.jp/
神戸市灘区山田町3-1-1 Tel 078-851-2760

講師:北山耕平 (作家、翻訳家、編集者、講演家)


『テックヮ・イカチ(TECHQUA IKACHI)-大地と生命ー』とは、ホピ国の伝統派と呼ばれた長老たちが、70年代~80年代にかけて、44号にわたり発行し続けたニューズレターです。

そこには、この地球の上で生きていくための知恵と知識、そしてグレイトスピリットから授かった教えが示されており、同時に、さまざまな困難な中にあっても、決して揺らぐことのない信念と、この世界をどう捉えるかの視点を私たちに伝えてくれています。

ホピの大地から発信されて約30年。さまざまな時を経て、日本語訳が成され、インターネットで広く公開されるようになった今、『テックヮ・イカチ』を通して、いかにして私たちが調和とバランスのとれた世界を取り戻せるのか、そして、ほんとうの「平和の人」とは誰なのかをみなさんとご一緒に学ぶ時が来たように思っています。

2008年5月新月
ランド・アンド・ライフ
辰巳玲子 拝

プログラムの詳細は、ランド・アンド・ライフからの風へ。

*当日はお茶などの飲み物をご用意いたしますので「マイカップ」をご持参ください。また、交流会にご参加の方は、「マイ箸」もお願いいたします。

*尚、参加ご希望の方は、あらかじめ『テックヮ・イカチ』第1~4号をお読み下さってご出席ください。

reddot 『テックヮ・イカチ』日本語翻訳サイト

reddot 今回のイベントのフライヤー

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Comments

北山さん、ありがとうございます。
どうぞよろしくお願いします。

「ランド・アンド・ライフからの風」に少し書きましたが、『テックヮ・イカチ』日本語版の発刊は昨年春ごろに、保管してきた宮田雪(「映画ホピの予言」監督)の資料の中から、「失われた39号」のオリジナルを見つけたところから始まっています。

それは、北山さんが日本語訳者の永峰さんに「宮田さんの家を家捜ししたら出てくるかもしれない。出てきたら世界遺産もんだ・・・」と会話されたことを聞き、それまで耳を素通りしていたのに、ふと探したみたら・・・あった、という成り行きです。

時が来たんだ・・・
と思わざるを得ないわけです。

6月14日を立ち上げとして、9月末から来年の立春までに計4回神戸で北山さんに連続講座をお願いしたいと思っています。詳細はもうしばらくお待ちください。

また、関東周辺でも発刊の呼びかけのためのイベントや連続講座などの主催に関心を持ってくださる方は、ランド・アンド・ライフまでご連絡くださいましたら、うれしいです。
どうぞよろしくお願いします。

Posted by: hopiseed | Saturday, May 31, 2008 at 11:58 AM

北山さん れいこさん
関東では、わたし動きます!!
…ので、こちらこそよろしくお願いします。
今までのピースイベントなどに関わってきた友人知人もきっと一緒に動いてくれるはずです。
時が、きましたね。
わたしは企画屋さんではなく、先住民の言葉として共通する世界観を伝えていかなくては、この地球の未来はいかに!?と案じている大地の子どものひとりです。

Posted by: あつこ | Saturday, May 31, 2008 at 12:45 PM

はじめまして!80年代に思想犯で拘置所にいた友人を介してホピの予言を手にしました。当時、アイヌとして生きていこうとしましたが家族の大反対もあり悩んでいました。ホピの予言はそんなわたしに勇気を与えてくれました。北山さんがやくされたのでしょうか・・?

Posted by: かわみ | Sunday, June 01, 2008 at 12:33 PM

かわみさん

「ホピの予言」とされるものはいくつか存在します。小生が翻訳したの
生命の始まりから浄化の日まで——ホピ物語」という伝統派のダン・カチヨンバというエルダーが語りおろしたものです。インターネツトで公開されているバージョンは

http://www.h6.dion.ne.jp/~hopiland/story/top.html

↑ここにあります。これと同じものであれば、それは小生が翻訳しました。

Posted by: Kitayama "Smiling Cloud" Kohei | Sunday, June 01, 2008 at 08:54 PM

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