バンクーバーばどの顔をして冬季オリンピックをするのだろう
北京オリンピックの聖火が世界を廻る理由はなんなのだろうか? オリンピックを政治の問題にするなというむなしいかけ声もしばしば聞こえる。チベットの人たちの置かれている現実は、世界の誰が見ても中国ののどに突き刺さった棘である。世界はこれに注目している。
だが今回のチベットの問題とオリンピックのあり方にいま最も熱い視線を注いでいるのは、北米大陸のパシフィック・ノースウエスト(北西太平洋沿岸)を自分たちの国とするカナダのファースト・ネーションズ・ピープルたちである。なぜなら2010年に彼らの国(土地)の一部であるバンクーバーで、冬季オリンピックが開催されることになっているからである。
あらためてことわっておくが、当然だけどカナダでは「ネイティブ・アメリカン」とはいわない。カナダ政府は「アボリジナル・ピープル」と名づけ、カナダの先住民たちは「ファースト・ピープル」とか「ファースト・ネーションズ」と自分たちの総称が必要なときには呼んでいる。
カナダ先住民運動のリーダーのフィル・フォンテーン(Phil Fontaine)は、「カナダ政府に先住民の貧困問題を考えさせるためにならいかなる機会もこれを逃さない」と先日語った。「チベットを自由にせよと怒りの声をあげてバンクーバー市内をデモをした何千人ものカナダ人には、自分たちの国の先住民たちが置かれている悲惨な状況にも怒りをあらわにしてもらわなくてはならない」
「自分たちの実情を伝え、誤解と偏見を正し、われわれが置かれている現実についてカナダ人たちに真実を伝えるためには、われわれはどんな機会でも使うつもりでいる。カナダ人は立ちあがって自分たちの政府に不正を改めるためのすみやかな行動を要求すべきなのだ」
フォンテーンは、2010年のオリンピックにおいても、当局ににらまれるような抗議活動をするのか尋ねられて、「チベットの人たちのやむにやまれぬ気持ちがわれわれにはわかる」とだけこたえた。
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Comments
幾人かのスポーツマンを知っています。
一般の人が過ごすような時間を楽しめず、練習に時間を
費やし、食べるものも制限したり、いつも身体を気に
しながら「記録」や「体力の限界」に挑戦しています。
オリンピックは4年に一度です。
能力のピークや年齢、実力、努力などすべてが一致した
選ばれた選手だけが、その年参加するのだと思います。
選手たちのことがどこかにいってしまわないよう
できれば冷静に見守っていたいです。
Posted by: 信珠 | Friday, April 25, 2008 03:22 PM