マッドマン・アクロス・ザ・ウォーター
エルトン・ジョンが今みたいな芸風になる直前の1971年にリリースした「マッドマン・アクロス・ザ・ウォーター(海を越えてきたおかしな人間)」というLPに収録されている「インディアン・サンセット」という曲を紹介します。YouTube でここに紹介する動画を見つけたので。
「マッドマン・アクロス・ザ・ウォーター(海を越えてきたおかしな人間)」とはアメリカ大陸の先住民たちのヨーロッパからやってきた人たちの呼称で、このアルバムはすべてがネイティブ・アメリカンの世界をネイティブの人たちの立場から歌っているめずらしいもの。ちょうどアメリカで、ネイティブ・アメリカンの権利回復と文化復興の動きが盛んになりつつあった頃に作られたので時代を映しているのかもしれない。いずれにせよ、この作品がエルトン・ジョンにとっては大切なアルバムであることは間違いない。アルバムは現在もCDになって手にはいるので、Shop Native Heart にも加えておいた。作詩は、バーニー・ターピン。作曲はエルトン・ジョン。演奏はエルトン・ジョン他。以下に詩を粗訳してみたので映像と共にお楽しみください。
ぼくは夜通し起きていた
木の燃える煙の匂いがまとわりついてくる
色塗られたティピについたかわいい蜘蛛の巣のように
ぼくは戦闘用の槍をもち
彼女の手を引いてチーフを探した
なぜならチーフはぼくたちに
イエロー・ムーンはじきに旅立つだろうと告げたから
ぼくにはその言葉が信じられなかった
一族の闘いの神が死ぬなんて信じられるわけがない
選ばれたものたちを卑劣な連中と兵隊の銃口にさらしたまま
あの人が死んでしまうなんて
おお、イロコイの偉大なる父よ
ぼくはこどものころから
煙の文字を読み太鼓の音を心の餌にしてきました
トマホークを遠くにねらって投げることも
色を塗った馬にまたがって走らせることも学びました
スーの人たちの攻撃をものともせず走り込み
偉大なチーフの娘をぼくはぼくの妻にしました
そしていまあなたはインディアンが滅んでゆくのを
その目で見るようにいっておられる
白人たちの恐れるイエロー・ドッグが発した
あの言葉はいったいなにだったのか
神よ、ぼくは必要なものだけしか得ていません
自分の馬と、自分の妻と、自分の子どもだけ
このまま一族の誇りを胸に
じっとあなたが死ぬのを見ていることなどできません
ぼくはイエロー・ムーンを探しに
われわれの息子たちの偉大な父たちを探しに行きます
赤い太陽の沈むところ
黄金の山々から癒しの川が流れるところへ
平原に咲くツル花を踏みしめ
砂地に蹄の跡を残し
自分に従うことをのぞむものたちをこの両の手で迎えて
道すがら改宗したジェロニモの死を耳にしました
彼が武器を自ら置いたとき弾丸はすべて装填されていたと
このままぼくが進み続けなくてはならない理由はみつからない
かつては自分の故郷だったこの大地に
今はもはや家を見つけることはできない
ひとりぼっちの静けさのなか
兵隊を乗せた馬たちがやってくる
そしてぼくは思う
そろそろここらで自分の弓に弦を張り
この愚かな旅をおわらせるべきかと
ぼくはもうすぐイエロー・ムーンをみつけるだろう
そこに彼は彼を愛するものたちと一緒にいるだろう
そこでは一面のクローバーをバッファローたちが食み
銃声などはどこからも聞こえてこない
やがて赤い太陽が黄金の山々の間に沈みゆき
平和がこの若きひとりの戦士のもとにも訪れる
一発の銃弾がその胸を貫いて
Indian Sunset Original Lyrics (英語の歌詞)
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