インディアンだって父親は息子を自慢する
ローズバッド、オグララ、シャイアン・リバー、そしてヤンクトンからきた4人のネイティブ・アメリカンの父親たちが待ち合わせてゴルフをやりに出かけた。3人はゲームをするためにそのままティー・グラウンドに向かい、ひとりはクラブハウスに料金を支払いに行った。さっそく3人の男たちが息子自慢をはじめた。
ローズバッドから来た父親が他の2人に向かって口火を切った。
「うちの息子は住宅建築業を手広くやっている。かなり儲かっていてな、先日も友だちに新しい家をくれてやったほどさ」
するとオグララから来た父親も負けずに、
「うちの息子は車のセールスで一山あててさ、今じゃいろんな外国車のディーラーをやってる。とにかく稼ぎがよく、こないだも友人にベンツの最上級車をプレゼントしてたっけ」
そうなるとシャイアン・リバーの親父も黙ってはいない。ふたりを鼻の先であざ笑うかのように、
「そんな程度か。うちの息子は株屋で面白いぐらい利益を上げててな、先だってもある会社の株でしこたまもうけた分を全部友人に気前よく与えてたぞ」
とまあそんな話をしているところへ、カントリークラブに料金を支払いに言っていた最後の男が、数分遅れでゲームに合流した。
さっそくローズバッドから来た父親が遅れてゲームに加わったヤンクトンの男に向かってたずねる。
「ちょうどよかった。わしらは息子の自慢話をしていたところだ。ついてはお前さんちの息子はなにをしているんだね?」
ヤンクトンから来た親父が口を開いた。
「うちの馬鹿息子かね? あの野郎はゲイでな。どこかのゲイバーで夜な夜なゴーゴー・ダンスを披露しとる」
それを聞いてのこりの3人は黙りこくった。そしてヤンクトンの男の話に耳を傾けた。
「まあ、酒場で踊り子をやってることについちゃ、もうなにも言う気にならん。だが、あいつはあいつなりにうまくやってるようだな。わかれた3人のボーイフレンドから、それぞれ新築の家と、新車のベンツと、株券をごっそりもらっておったからな」
『インディアンは笑う』北山耕平編・構成。(おそらく)世界で初めてのネイティブ・アメリカン・ジョーク・コレクションの本。笑うことで世界をひっくり返す書。笑いの百連発! 当ブログから生まれた本。マーブルトロン発行 中央公論新社発売 ブックデザイン グルーヴィジョンズ。好評発売中
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