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Wednesday, February 20, 2008

髪の毛を切ることの意味

eaglefthr.gifアメリカ・インディアンのことを学んだり研究したりする「日本人」が増えたことに驚いたり喜んだりする最近である。60年代から70年代にこの世界に生まれた人たちが多い。この人たちはほとんど偏見も、恐れも持たずに、ネイティブ・ピープルの世界に飛び込んでいけるからだ。

あまりニュースにならないのだが、出版状況は非常に厳しいにもかかわらず、アメリカ・インディアンについて書かれたり翻訳されて、出版される日本語の本は、この30年間一貫して増え続けている。書店にもよるが、インディアン関係の棚を用意しているところも増えてきた。

またネイティブの世界との交流や探求や研究について、自分の視点から書き綴っている原則日本語で記されたブログも、とても全体を把握しているわけではないのだが、かなりの数にのぼるようだ。そうしたもののほとんどが、60年代から70年代にこの世界に生まれた人たちによって公開されているといっていい。

きっと、彼や彼女たちが、ネイティブ・ピープルの存在の仕方について、過去の研究者などが見失っていたものを再評価して、日本列島に暮らしてなにも疑問を持たずに「日本人」をやっているわれわれの内側の深いところで眠らされているネイティブの精神を揺り起こしてくれることだろう。

ネイティブアメリカン研究奮闘記at UCDavis」というブログも、そのひとつだ。著者はカリフォルニア大学デイビス校という「インディアン研究の本丸」でネイティブアメリカン研究(歴史学、現代インディアン史、カリフォルニア・インディアン史)に従事する女性。その2月20日の記事に、1902年1月15日に、連邦インディアン局からだされた「インディアンの長髪を禁止する」一枚の通達なるものがさりげなく紹介されている。この通達が出された背景や、なぜ今のインディアン学を教える先生たちが長髪であるのかなどは、該当ブログをぜひ読まれるといい。

boarding school

この記事のなかに「夢のような60年、70年代の運動を経て、インディアンは、そしてインディアンの知識人は、今度は自らの意志で、『髪』を伸ばしはじめる」という記述がある。ボーディング・スクール・サバイバーと言われる「寄宿舎学校を生き延びた者」たちによってネイティブ・アメリカンのルネッサンスがどのようにして起こったのか、そこにおいて各部族の伝統派やメディスン・ピープルや精神的指導者がどんな働きをしていたのかについて、ぼくもまたできうる限り自分の知り得たことを伝えていきたいと考えている。

[写真は同一人物。寄宿舎学校に入れられると、左の人が右のようになる。学生服を着せられるのも、寄宿舎学校の慣習。いわゆる詰め襟学ランのルーツもインディアン矯正施設であったここにある。]

reddot ネイティブアメリカン研究奮闘記at UCDavis

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