自由ラコタ代表団が先月、ラコタの人たちが合衆国政府とこれまでに交わしたすべての条約から撤退し、自分たちの独立した国としての主権を回復すると宣言したが、これらはラコタ伝統政府の条約評議会(トリーティ・カウンシル)の支援を受けた行動ではないことが明らかになったと、11日付のウィキニュースが報じているので、その主要部分を要約する。なお上記のラコータの国の地図をクリックするとより詳しく表示されるので参考までに。
記事の内容は、先の独立宣言はラコタのエルダーたちの合意を得たものではないということを伝えようとしたものだが、そのまま読み進んでいくうちにラコタのエルダーたちの考えていることが、けして宣言をした人たちを非難したり卑しめたり苦言をていするためのものではなく、むしろ今回の宣言と同じぐらいか、さらにそれよりもはるかにラディカルであることがわかってくる。アメリカにひたすら迎合して持てるものをすべて差し出すような屈辱的な外交をくりかえす精神のねじ曲がった品格のない国に暮らしていると、こういうスピリットのある年寄りたちがいる国は、なんかいいなと思わせるのでお読みください。
12月下旬の突然の条約からの撤退がラコタのエルダーたちの合意を得たものではないらしいことが、オグララ・ラコタの評議会代表で、エルダーであり、先住ラコタの信仰を守るスピリチュアル・リーダーでもあり、かつ作家でもあるフロイド“ルックス・フォー・バッファロー”ハンド氏と、ウィキニュースが話をして明らかにされたもので、同氏はまた自由ラコタ代表団メンバーであるチャヌパ・グルハ・マニ(英語名ドゥエーン・マーチン・サー)の血のつながった実の叔父でもあるという。
自由ラコタ代表団(左写真は独立宣言の会場)は、自分たちはBIAに認められているラコタ部族政府の支持などはじめから求めてはいないものの、ラコタ伝統政府の条約評議会エルダーたちの支援を得、並びに1974年国際インディアン条約会議の合意にのっとっていると一貫して主張してきたが、オグララ条約評議会の合意と一族のチーフであるオリバー・レッド・クラウドの同意を得ているひとりとして言わせてもらえばと前置きしたうえで、ハンド氏はインタヴューの場で「条約からの撤退はなかった。あれは3人の人間のしたことだ」と話した。
「ラッセル・ミーンズ、ドゥエーン・マーチン(チャヌパ・グルハ・マニ)、それからあのご婦人(フィリス・ヤング)の3人。3人はラコタの国を代表して話してはいない。ラコタの国を代表して話をするためには、まずはラコタの8つの部族の合意を得なくてはならない。自由ラコタ代表団は、その合意を得てはいなかった」と。
ハント氏によれば3人がみせた「条約撤退イベント」は「宣伝行為にすぎない」という。1974年の国際インディアン条約会議はラコタ国の人間としてふるまうことを権威づけるものではないと。だが、ラッセル・ミーンズにも、チャヌパ・グルハ・マニにも、自由ラコタ代表団のほかの誰にでも「表現の自由は認められて」いるわけだし、彼らとて「ラコタのエルダー」なのであるから、ラコタの居留地に居住するものとして「エルダーとして自分たちを条約から撤退させることを表明する」というのなら、望み通りのことをすることはできる。そして「彼らはこここに住んでいるのだ」と。そして条約評議会全体の統一された意見を再度求められたとしたらとの質問にたいして、ハンド氏は「われわれはみな同じことをするだろう。なぜならわれわれはみなフルブラッドなのだ。われわれは自分たちの言葉を今も全員が話す」
ハント氏によれば、条約評議会は近いうちに合衆国政府とラコタとの条約を見直す計画があると続けた。ラコタを構成している8つの部族のすべてが今月の28日から30日に一堂に会することになっており、連邦政府を相手に「腰をすえて話しあうかどうか」をその場で考えることになるらしい。自由ラコタ代表団のメンバーもその会議に参加が予定されている。「ヨーロッパ系アメリカ人は、ラコタと合衆国をつないでいる1851年と1868年に交わされた条約を誠実に守ってはいない。合衆国が19世紀におこなった対インディアン戦争において『領土を征服すべき唯一の敵国』がラコタだったことを忘れてもらっては困る」
合衆国政府とラコタが交わした協約はハント氏の言葉を借りれば「連邦政府の与える計画によってわれわれに手錠をはめている契約」となるのだが、彼によれば自分たちの立場から言えば「われわれが主権を有するひとつの国としてもう少し自由によその国々に経済開発を頼れるのなら、われわれも生き残れるかもしれない」となる。ハント氏はひとつの可能性として、合衆国政府とラコタの土地にある飛行場の使用権利を協議する権利を力説した。他国の航空会社の支払う空港使用料を、自由裁量で決定できるようになればラコタは自国の大地の使用量として合衆国政府が現在要求している額を半分に減額すると。そして「それだけでもわれわれはかなり豊になれる」と。
自由ラコタ代表団が、その計画のなかでラコタの土地に企業の誘致や起業家の招聘を示唆している矛盾についても「実際は誰も自分たちの居留地のなかに工場などが来て欲しいとは思っていない」と話した。自分の主要な関心事は環境を保護することであると。ヨーロッパ人を先祖にもつ人びとは「母なる地球からあまりに多くのものを取り出しすぎた」といい、長く議論されてきているラコタ居留地におけるウラン鉱石の採掘に関する議論にも言及し、条約代表団の最終目的地点は「大地とそこに暮らす動物たちを守護し、そこから流れ出る清らかな水をいつまでも流れさせ続けることである」と語った。
ハンド氏はまた「肌の色が白くない人たちはヨーロッパ系の人たちの天下を終わらせるべきである」とも話した。彼らがヨーロッパ系の人たちを覆して自分たちの政府を樹立できるなら「世界のすべての肌の色の人たちが理解と平和と統一に向かうことになるだろう」と。
Source : "No treaty withdrawal", says Lakota elder (WIKINEWS January 11, 2008)
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