人類学者はなぜ笑われるのか?
インディアンの人たちのジョークには「人類学者」をからかったものもことのほか多い。調査研究のために部族を訪れる学者が真面目であればあるだけ盛大に笑いの対象にされる。もちろんそれには長い、といっても150年ぐらいのものなのだが、歴史的な背景がある。彼らの世界では原則的に「学者とジャーナリストは文化的な泥棒」という認識がいつのころから過できあがっているからだ。そのことはすでに広く一般的に知られることになっていて、ここにお見せする風刺漫画が新聞に普通に掲載されたりする。先住民の村のある光景を描いたもので、人類学者がやってきたのを見つけた先住民たちが、「人類学者がきたぞ!」と大あわてでテレビやビデオや電話や電気スタンドといった文明的な道具類を隠している図だ。そこで、ネイティブ・ピープルによる人類学者をからかうジョークをひとつ。
とあるインディアンの村を調査で訪れていたひとりの人類学者が、一族のチーフと話を交わすうちに、ふたりは心をうち解けるような間柄になった。そんなあるとき、学者先生がチーフにこう切り出した。
「もしお許しいただけるのなら、チーフのご母堂さまの墓を一度掘り返させていただけませんか? そうすれば彼女についてもう少しくわしいことがわかるのではないかと思うのです」
「ああ、かまわんよ」と、チーフはこたえた。「でもよいか、そのときにはこのわしにだって、お前さんのおふくろの墓を掘り返させてくれるんだよな」
『インディアンは笑う』北山耕平編・構成。(おそらく)世界で初めてのネイティブ・アメリカン・ジョーク・コレクションの本。笑うことで世界をひっくり返す知恵の書。笑いの百連発! 当ブログから生まれた本。マーブルトロン発行 中央公論新社発売 ブックデザイン グルーヴィジョンズ。好評発売中
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