声を消そうとするたくらみが現在もなお続けられている
前の記事の「大賞」の最初の項目についてつけくわえて置かなくてはならない。これはぼくもここ数年感じていたことなのでちょうどよい機会なので、書きとめておこうと考えて、別項目をたてることにした。
いろいろな部族で、政治的な権力を握ったグループや部族会議によって、伝統派のエルダーたち、そしてさらにコミュニティーの内外にネットワークの輪を広げつつある精神的指導者や、草の根運動に加わる同じコミュニティーの人たちの声を消し去ろうとする動きがそこかしこに見受けられる。政治権力を握った人たちは、部族が所有するラジオやテレビや新聞やインターネットなどのメディアで、または権利を巡る法廷活動で、政治的に、また部族によるさまざまなサービスを受けられなくするなどして、そうした声の検閲を推し進めてきている。
該当記事のなかで、ホピの伝統派のエルダーだったダン・エベヘマ(Dan Evehema)翁[写真 by Brenda Norrell,1996]は104歳の時、死ぬ少し前に「合衆国政府のなかにおけるあやつり人形としての部族政府」について話した言葉が引用されている。合衆国政府が部族会議の人たちとつるんでその地下に眠る石炭資源を狙って企んでいる強制移住に抗議するアリゾナのブラックメサやビッグマウンテンにおけるナバホの人たちの闘いを一貫して支持し続けた彼は、「選挙によって選ばれた部族政府が、ホピの伝統派によって認められたことも、支持されたこともいまだかつて一度もないと」語っているのだ。
「ホピの予言」という映画を制作した宮田雪監督から、80年代に、伝統派の長老から聞いた言葉として「ホピには3種類いる。伝統派のホピと、進歩派のホピと、どっちつかずのホピの3種類だ」と聞かされたことがある。進歩派のホピとは、部族会議派に属して進んで便利なものを受け入れる人たちのことを示していた。アメリカ・インディアンの多くの部族において、伝統派と進歩派の争いは、圧倒的に進歩派が有利ではある状況の下で、今も続けられている。卑近な例を持ち出せば、アメリカ合衆国政府の観点からすると、日本における自民党政府は、絵に描いたようなあやつり人形としての部族会議を演じさせられている。
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Comments
タイに住んでいる日本人の知人で、
「外から見てると日本はまるでアメリカの『日本州(自治区?)』のように見える。」
と言っていた人がいました。
台湾人の友人に、
「日本は軍隊化するのか。」と聞かれ、
「日本の軍隊はアメリカ軍だ。」と答えていた人もいました。
(Self Defence Force, [自衛のための組織-自衛隊]、はありますが。)
Posted by: 白いうさぎ | Saturday, September 08, 2007 04:10 PM
「テロとの闘い」ってよく耳にしますけど、
「アメリカとの闘い」なら誰に言われなくても継続中です。
Posted by: がんちゃん | Tuesday, September 18, 2007 12:13 AM