どこにでもあるようなもの・・・
ある日、インディアンの男と、白人の弁護士と、キューバ人の男と、ロシア人の男が、たまたま同じ汽車の客車に乗り合わせた。
ロシア人がロシア製のウォッカのボトルを4本取りだしてみんなに回した。ボトルからのがぶ飲みが一段落したとき、ロシア人の男が手にしていたウォッカのボトルを、まだウォッカが残っているにもかかわらず、いきなり客車の窓から外に投げ捨てた。
「なんだってそんなまねをするのだ?」
インディアンがたずねるとロシア人がこたえた。
「なあにモスクアじゃあ、あんなものは誰もありがたがらない。糞みたいなものさ」
それからしばらくすると、今度はキューバ人がキューバ特製の手巻きの葉巻を4本取りだしてみんなに配った。4人は葉巻に火をつけて煙を堪能した。ところが葉巻を一服しただけで、キューバ人は手にしていた葉巻をそのまま客車の窓から外に投げ捨ててしまった。
「この葉巻は世界でも最もいい葉巻じゃないか。なんでそれを投げ捨てたりするのだ?」
インディアンがたずねるとキューバ人がこたえた。
「ハバナではあんなものはどうというものでもない。ありがたがるほどの価値もありゃしないんだ」
インディアンは困惑したような顔をしてしばらく座ったままでいたが、あるとき意を決したように立ちあがると、隣にいた弁護士の手をひっつかんでやにわ彼を客車の窓から外に放り出したのだった。
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