その心に辺境はまだ残っているか?
『ネイティブ・アメリカンとネイティブ・ジャパニーズ』(太田出版刊)のあとがき
アメリカ・インディアンのことを知れば知るほど「日本人」はいったいなんなのだという思いが強くなる。ぼくたちは日本列島に日本人として生まれてくるのではなく、人間として生まれて日本人になるように教育されて育つのではないのかと。アメリカ・インディアンの人たちから見ると、ぼくらは限りなくインディアンに近い存在だ。とくに北米大陸南西部や、北西部太平洋沿岸などには、自分の親戚だと紹介しても違和感のない容姿や雰囲気の人たちがたくさんいる。にもかかわらず、存在の仕方において、ぼくたちはアメリカ・インディアンの人たちとはなにかが決定的にちがっているようだ。どうやらぼくらは人間として地球に生きるために必要ななにかを、日本人になることとひき換えに失ってしまったらしい。
この本は、あらかじめ失っていたものを取り戻そうとする試みとして、二〇〇四年から書き綴りはじめた自分の精神世界の航海日誌から「日本人と日本と地球に生きる人」について考察した小文や詩文を選び、新たに書き下ろしをくわえて構成した。この本が形になるにさいして力を貸していただいた気鋭のデザイナー峯崎ノリテル氏と太田出版編集者の村上清氏のおふたり、そして小生のブログを支援してくださった多くの方々に深くお礼を申しあげる。
二〇〇七年 夏至の日 北山耕平
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