インディアン・スカウトの名人の技
アメリカ・インディアンが斥候の技に優れていたことはよく知られている。現代でもネイティブの人たちのトラッキング(追跡)の技の優れていることは知らない人はまずいない。動物などの足跡の読み方などスカウトのさまざまな技を教える学校もある。中近東でビン・ラディンの足跡を探索しているのも、ネイティブ・アメリカン出身の軍属トラッカー(追跡者)だ。西部開拓の昔からアメリカ軍は、手なづけたインディアンをスカウトとして使ってきたんだな。これはそんな時代の話である。
未開の西部の外れに位置する陸軍の砦。軍略に長けた老将軍が守りを固めていた。将軍は信頼できるインディアンの斥候を呼び出すと、迫ってきている敵軍の情勢を調べるために送り出すことにした。
「よいか、われわれが対峙することになる敵軍がどんな編成なのかを、なんとしても確かめてこい。30年以上もかけてつちかったお前の技のありったけを使ってな」
「はっ」たよりにされたそのインディアンの斥候の男は、いきなりその場で地面に横になると、耳を大地に押し当てるようにした。
「敵軍はかなりの大きさであります。およそ300ほどの戦士たち、それを率いるチーフは4名、黒毛の雄馬に乗っているのが2名、そして白馬にまたがっているのが2名。全員が戦のためのペイントを施しています。銃はたくさんあるようですし、メディスンマンがひとり同行しています」
「おお、さすが、やるな!」
将軍は感嘆の声をあげた。
「地面に耳をあてただけでそれだけのことがわかるのか!?」
「いいえ」とインディァンの斥候が応えた。「こうすることで砦の門扉の下の隙間から外が見えるのであります」
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