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Thursday, July 26, 2007

その一服はなんのため?

Natural American Spirit hand rolling tobaccoアメリカ・インディアンと切っても切れない関係にある植物といえばトウモロコシ、スカッシュ、豆、メロンなど色々あるが、とりわけ忘れてはならないものは煙草であるかもしれない。しかし、身体をむしばむものというラベルを貼られて世界的な嫌煙・禁煙推進運動のやり玉に挙げられたことによって、このところ煙草の分がたいそう悪い。これはネイティブ・アメリカンの世界でも例外ではないのだが、そうはいっても煙草が彼らの世界ではいまなお最も神聖な薬草のひとつであることにはかわりがないないという話をしておこう。

ぼく自身のことを言えば、煙草を喫煙するのをやめて20年近くになる。大学生のときにはじめて肺まで吸い込んで目眩を起こして倒れこんで以来の煙草を日常的に吸う習慣の方が、もう少し長生きをしようと考えたことを契機に勝手に自分からはがれ落ちてていったと言っていい。

imagename現在アメリカ・インディアンの世界でも、毒草としてではなく、聖なる薬草としてのタバコの正しい扱い方を考えなおそうという気運が高まっている。最近ミネソタの友人が送ってくれた、ネイティブ・コミュニティーのためのニュースペーパー「The Circle ( Vol.28 Issue 7 )」でも「聖なる煙草キャンペーン(SACRED TOBACCO CAMPAIGN)」が展開されていた。

ネイティブ・アメリカンと煙草の関係を語るときに忘れてはならないのは、彼らの世界には喫煙の対象としての煙草とそうではないタバコが存在するという事実である。喫煙の対象としての、あるいは噛み煙草としての、体内にニコチンを摂取する手段としての煙草の話からすると、ネイティブ・アメリカンの喫煙者および禁煙体験者の調査によれば、煙草を吸い続けている平均的なインディアンの人がはじめて喫煙体験をする年齢は13歳で、まるでそれをすることがかっこいいかのように宣伝されるために、喫煙体験する年齢は早まる一方だ。一方で、煙草を吸うことをやめることができたインディアンの人が最初に煙草を喫煙した平均は16歳で、早く吸い始めた人の方が長期的な喫煙者になるという事実も明らかにされている。

もとよりアメリカ・インディアンと煙草は切っても切れない関係にあるわけで、共同体のほとんどの人が煙草を吸ったり噛んだりしている環境が長いこと続いてきた。しかし煙草は昔のように自分で栽培することもなくなり、ほとんどが購入するものであることから、わずかな収入で暮らす家計への影響もことのほか大きいし、なによりも家族やその個人の身体に与えるダメージも計り知れないものがある。そこで「聖なる煙草キャンペーン」がはじまることになった。それはなによりも煙草そのものをおとしめるための運動ではないという点に着目しなくてはならない。

sacred_tobaccoネイティブの人たちにとってあらゆる「薬草」は、快楽をむさぼるためのものなどではなかった。煙草も例外ではない。煙草はなによりも大切な捧げ物として用いられてきた。それは偉大なる精霊にたいする捧げ物だった。ひとにぎりの煙草の葉が祈りと共に大地にまかれた。それは同時に母なる地球にたいする捧げ物としても使われてきた。森や畑に入る前にひとつまみの煙草がまかれることもしばしばだった。狩猟に出かけるとき、魚の漁に出かけるとき、薬草を採取したり、ワイルドライスの収穫にさいして、また歩くために山や林にはいるとき、ひとつまみの煙草の葉を彼らは大地に捧げてきた。聖なるものというのは、本来そういう使われ方をしたものだ。

聖なるものの扱われ方を誤ったとき、快楽をむさぼるためのものとなり、気がついたときには中毒のためにそれから離れることができなくなっている。ネイティブの人たちの考え方では、煙草はもともと人びとの力となるためのもの、ヘルパーと考えられてきた。助けるためのものが、いのちを奪うためのものであってはならない。彼らの多くが、煙草が人の身体をむしばみいのちまで奪うようになったのは、誤った使い方をしたためだと考えていることを、今回の結論として伝えておく。

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Comments

今在学中の学校では、年に一回、Native American Awareness Weekというのがあります。これは、アメリカ先住民のことを知らない学生向けでもありますが、周辺に住むアメリカ先住民向けでもあります。このキャンペーン週間中に、アメリカ先住民ためのアメリカ先住民によるタバコWorkshopがあります。
吸っているものが一体何なのかという健康問題から、やはり喫煙者が吸うものと、捧げる物として吸うもの・ことの違いなどに触れていました。どの国、人々も次世代に何を伝えていくかは大きな問題。
けど、やはり我々自身の行動と態度でもって伝えていかないといけないですよね。

Posted by: ハマンダ | Friday, July 27, 2007 at 02:38 AM

あ、この新聞今はネットでも読めるんですね。知りませんでした。
そういえば、インディアンの人たちの喫煙率はメインストリームアメリカの嫌煙ブームなんてそちのけで高い気がします。
この辺のネイティブの人達がお祈りの際に吸うタバコは普通の煙草とは違いますが、他の部族の人たちは煙草を使うのでしょうか?

Posted by: 朝日菜 | Saturday, August 04, 2007 at 03:56 PM

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