そうかそうか原子力は糞なのか
ロサンジェルスからミネアポリスに向かう旅客機の機内。たまたまネイティブアメリカンの見目麗しき女性と隣り合わせの席に座った白人男が、シートに腰をおろすやいなやさっそく彼女の方に身を乗り出して「お嬢さん」と声をかけた。
「よく隣の席の人と話が弾めば千里も一里というじゃありませんか。どうです、ぼくと少し議論なんかしませんか」
ちょうどインディアン・タイムズ・マガジンを開いて読み始めたところだったくだんのネイティブの女性は、ゆっくりとその雑誌を閉じあわせて、顔を上げると、声をかけてきた男に「いったいなにを話すのでしょうか?」とたずねた。
「え? ああ、そうだな」と男。「どうだろ、原子力について話すっていうのは?」
「オーケイよ」女性も応じた。「それはなかなか興味深いテーマだわ。でもその前にひとつわたしからおたずねしたいことがあるの? いい? 馬も、牛も、鹿も、みんな同じものを食べてる、つまり草を食べているのにもかかわらず、どうして鹿の排せつ物はつぶつぶで、牛のはべたべたのパティみたいで、馬のは乾いたマフィンみたいになっているのか、あなたご存じ?」
白人男はハトが豆鉄砲でも食らったような顔で彼女を見返した。しばらくしてわれを取り戻したのか
「いやー、なんと答えればいいのかなぁ」
と答えた。するとネイティブの女性がぴしゃりと。
「よくって。ろくに糞のこともわからないくせに、それでよく原子力の話ができるだなんて、思えるわねえ、あなたも」
『インディアンは笑う』北山耕平編・構成。世界で初めてのネイティブ・アメリカン・ジョーク・コレクション。笑うことで世界をひっくり返す知恵の書。当ブログから生まれた本。マーブルトロン発行 中央公論新社発売 ブックデザイン グルーヴィジョンズ。最新刊、好評発売中!
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