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Saturday, April 07, 2007

蝶々はなぜつくられたのか? (部族不明)

る日のこと、すべてを作られるお方は座ったまま子どもたちが、元気に、喜びと若さをあふれさせて、遊ぶのを見ておられた。あたりは美と木や花たちの良い香りに包まれていた。鳥たちは幸せそうに歌い、空はどこまでも青かった。彼には女たちがトウモロコシを粉に摺りおろす光景も見えた。女たちは誰も彼もみな美しく、それぞれの黒髪には日の光が輝いていた。なんと良い光景だろうか!

しかし、すべてを作られるお方は見抜かれていたのだ、そうしたものはみなことごとく変わってしまうことを。子どもたちはやがて大人になり、年寄りになって、その肌は皺だらけになるだろう。美しい女たちも、いつかは太って醜くなり、美しい黒髪も白くなってしまうにちがいない。木々の葉は茶色く色が変わって死んで落ちてしまう。今は美しい花の良い香りも、いずれはあせてしまうことだろう。すべてを作られるお方はハートを曇らせ、不安をつのらせた。時は秋であり、すべてを作られるお方にはじきに野生の動物たちも姿を消すことがわかっていた。青々としている木々の葉も、いずれみななくなって、厳しい季節がおとずれるのだ。

たちがトウモロコシを挽いて粉にするのをうかがいながら、すべてを作られるお方は、今そこで自分の目に見えているたとえようもなく素晴らしいもののいくつかを、なんとか美しさを保ったままにとどめておこうと考えられた。後で誰が見ても楽しめるようななにかを、心とスピリットを踊らせるようなものを、ここはひとつ作っておくのがよいだろうと。そこですべてを作られるお方は「創造の袋」をとりだして、そのなかにいろいろなものを集めはじめられた。

butterflies空の青を少しと、トウモロコシの粉の白を少し。それから日の光に輝く場所の明るさを少しと、女たちの美しい黒髪の黒を少し。木の枝から落ちた葉の黄色を少しと、松の木のとがった葉の緑を少し。すべてを作られるお方はさらに、花たちのなかから、赤色と、紫色と、オレンジ色も少しずつ集められた。すべてを作られるお方はそうしたものをすべてすこしずつ創造の袋のなかにしまわれた。それから最後に、鳥たちのさえずる歌のいくつかも、集めてその袋のなかにしまわれた。

そうしたものを集める作業が一通り終わると、すべてを作られるお方はつぎに子どもたちを呼び集められた。そしてその袋を開けてみなさいと言われた。驚くようなものが入っているだろうと。

われるまま子どもたちが袋の口を開けると、何百、何千という数の、それはそれは美しい蝶々が、袋の中からいっせいに飛び出してきたのだった! 歓声をあげた子どもたちの周囲を、蝶々たちはその頭を輝かせて飛び回っている。蝶々たちは羽ばたきながら花々の間を飛び渡り、歌いながら甘い蜜を吸ってまわった。それを見ていた子どもたちの心だけでなく、大人たちの心までもが、蝶々と一緒に空を飛び回った。それまでまだ誰も、これほどまでに美しく人の気持ちを幸せにさせてくれるようなものを見たことがなかった。蝶々たちが空を舞うのにあわせて、みなは歌を口ずさみはじめた。

ところが、鳥たちの中にやっかみ屋の鳥が一羽いた。やっこさんはすべてを作られるお方の肩に降り立ち、声を荒げて叱るように歌った。「そのように美しいものたちにわたしたちの歌を与えるなんて良いことではありません! わたしたち鳥をお作りになられたとき、あなたさまは、それぞれに異なる歌を授けると、おっしゃいました。あの美しきものたちにはすでに虹の七色のすべてが与えられているのに、そのうえにわたしたちの歌まで取りあげて授けるのですか」

すべてを作られるお方は「それももっともだ」とうなづかれた。「わしは鳥のひとつひとつに異なる歌を授けたのだった。そうだそうだ、その歌を取りあげてはならなかったのだ」

そのようなことがあったために、結局、蝶々から歌は取りあげられることになった。だから蝶たちはそのとき以来、今日まで押し黙ったまま、空を飛ぶのである。しかしそのかわりに蝶は、人々の日々を明るくし、心のなかの歌を呼び覚ましてくれるのだ。

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