死者の饗宴というワイアンドット一族の習慣
「ワイアンドット」は、以前は「ヒューロン」と呼ばれていた人たちだ。ヒューロンというと地が北米にはいくつもあるためにまぎらわしいとして最近は「ワイアンドット」とか「ウェンダット」と呼ぶようになっている。カナダのケベック州の南部南オンタリオにもともといたイロコイ語族に属すクウェンダケなど先住民族の4つの部族の連合体で、ヒューロン族という名前はフランス人の探検家の命名によるもの。
ワイアンドットの人たちは大きな村を形作り、ロングハウスと呼ばれる長屋で暮らしていた。長屋は「ガナンチャ」と呼ばれる、幅約6メートル、長さが50メートル近くもある大きなもので、内部にはふたつの炉が作られ、天上には煙抜きの穴がふたつあけられていた。1410年に現在のニューヨーク州にあった最大の長屋は全長が125メートルもあったという。(図はロングハウスの内部)
彼らは10年から15年に一度、長屋の地面が乾燥しきってしまうと、村全体が別の——地面がしめっている——土地に移住することを昔から繰り返してきた。村の周りには当然ながらその土地に暮らしてきたあいだに亡くなった人たちの墓が作られている。そして村が移動する際には、非業の死を遂げたもの以外の死者の骨は、そうした一時的な墓からあらためて取り出されて、部族が共有する納骨場所に移された。納骨場所は地中に掘られた深い穴で、周囲をビーバーの毛皮で囲われていた。その移動にさいして、死んだ一族の者への深い愛情を表し、部族と部族の同盟をより強固なものとするために、「死者の饗宴」が盛大に開かれ、死者の魂を解き放ち、先祖の神々が生きて暮らしている西方の土地へ旅立たせる儀式か執りおこなわれた。
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