偉大なる美で満たされた内側
『ディネ:ナバホ・インディアンの神話』という本がある。著者はアイリーン・オブライアン(Aileen O'Bryan)で、1956年に初版が刊行された。この本のもととなった人類学の論文は「ディネ:ナバホ・インディアン神話の起源」というもので、1928年の11月下旬に、サンドバル・ハスティン・トロツィ・ヒー(Hastin Tlo'tsi hee)[オールドマン・バッファロー・グラス]というナバホのチーフが編集者で著者のアイリーン・オブライアンに語ったものであるという。そこで展開されているナバホの神話も興味深いが、その脚注にある「その本を書くことになったいきさつ」のなかから、ナバホのチーフの印象的な言葉を今回は紹介しておきたい。
「このわしを見るがいい。お前さんの目には醜い老人がひとり映っておるだけかもしれんが、わしの内側は偉大なる美で満たされているのだ。山の頂に腰をおろして、わしは未来をのぞきこんだ。そこではわしの一族の者たちとお前さんたちとが共に生活をしていた。時がたつにつれて、わしの一族のものたちも、最初のころの生き方を忘れてしまい、それを知るために白人の書いた書物でそれを学びなおすようになるのだろう。だから、お前さんにはなんとしてもわしの言葉を書きとめてもらわなくてはならない。文字にして、本にしてもらって、次の世代にほんとうのことを伝えてもらいたい」オールドマン・バッファロー・グラス ディネ チーフ 1928年
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