最終目的地へむかう旅のはじまりの地
人生には忘れられない土地というものがいくつかある。ぼくにとってチャコ・キャニオンはそんな場所のひとつだ。ニューメキシコ州北部ヘメス・マウンテンのなかに位置する特別な土地。ホピの人たちはそこを「ヤプコイヴィ」と呼ぶ。最終目的地へむかう長い旅の準備をするための集合場所として、偉大なる精霊に指示されたところである。
アメリカの人たちはそこを「チャコ渓谷」と名づけている。沈黙と距離が支配し、人間の声よりも、風や鷹の話す声の方がはるかに大きな赤い大地だ。南西アメリカ屈指の巨大なキバや集合住居のような古代遺跡が残されていて、考古学者や文化人類学者たちが必死にその謎を追いかけているものの、謎は解き明かされることはない。ある人は古代の宗教学校のようなものがあったのではないかともいうし、天上界の星たちの移動を追跡する天文台だったとも、マヤ文明を築いたのと同じところから来た人たちではともいう。いずれにせよ、あるとき突然に人々はここから消えた。そして沈黙が訪れて千年以上が過ぎた。ニューメキシコという土地は、しばしば「魅惑する大地」と表現されるが、チャコ・キャニオンはそのなかでも特別に旅人の心を奪う。
Google Videos にアップロードされている「神秘のチャコ・キャニオン」というタイトルのこのドキュメンタリーを、どうか時間があるときにでもご覧になるといいと思う。チャコ・キャニオンのビジターセンターで売られていたヴィデオがそのままアップロードされている。この赤い大地のなにが「謎」であり「神秘」なのかを、ぜひその目で判断してください。なぜ、ネイティブ・アメリカンがグレイトスピリットのことを「偉大な神秘」「偉大な謎」と呼ぶのかも、ビデオをご覧になりながら考えていただければ幸いであります。ナレーターはかのロバート・レッドフォード。
[54 分 31 秒]
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