太陽が昇るかぎり、もう永遠に戦わない
わたしは戦うことに疲れた。わが一族のチーフたちはみな殺された。ルッキング・グラスも死んだ。フー・フー・シュートも死んだ。年寄りたちはみな死んでしまった。今なにかをきめているのは若い連中だ。その若者たちを導いていたものは死んでしまった。今の季節は寒く、われわれには毛布もない。幼子たちはみな凍え死んでいく。わが一族の者のなかには、毛布もなく、食べるものも一切ないまま、山々のなかに逃げ込んだものたちもいる。今彼らがどこにいるのか誰にもわからない。おそらくみな凍え死んだのだろう。わたしは自分の子どもたちを探す時間がほしい。なるべくたくさんの子どもたちを助けたい。死者のなかに混ざってまだ生きている子供たちがいるかもしれない。どうかわたしの言うことを聞いてほしい。わたしは疲れ果てた。わたしのハートは病んで哀しい。今後、太陽が昇るかぎり、わたしは永遠に戦うことはないだろう。
「ロフテイアー山の高いところを旅して渡る雷(Thunder Traveling to the Loftier Mountain Heights)」という名前でネスパース族のものたちには知られていたチーフ・ジョセフ(写真)が、1877年10月5日にアメリカ陸軍に降伏した際、ハワード将軍にむかって伝えた言葉として記録されているものの一節。チーフ・ジョセフは一族の者を率いて白人移住者からオレゴン領の自分たちの土地を守るべく抵抗運動を続け、いったんは停戦に合意して居留地に入る寸前までいったものの、一族の人間がまとまって入植者に殺されたことで再び戦の道を進み、一族の者たちとともにオレゴン、ワシントン、アイダホ、モンタナ、そして国境を越えてカナダまで自由の地を求めて逃げたのだが、結局最後はアメリカ軍に拘束された。
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