かつて東北地方には「蝦夷(えみし)」と呼ばれる
朝廷の支配がおよばない人々がいました
東北の支配者 蝦夷
こだわりアカデミー・教授対談シリーズ・日本史
工藤雅樹(福島大学名誉教授)インタヴューからの抜粋
蝦夷の人々の中にも、朝廷との関わりに賛成する集団と反対する集団がいました。どの国でも共通することですが、集団同士は、上から権力で押さえつけられないと、絶えず対立抗争を繰り返す傾向があります。朝廷はその性質を利用して、朝廷側に味方する集団に物や称号を与え、敵対する集団と戦わせました。こうして争いが激しくなっていき、大きな反乱へと発展していったのです。
蝦夷という言葉は本来、「朝廷の直轄支配地の外の人達」という意味を持ちます。だから、もともと直轄支配地にいた人でも、政府の力の及ばない東北の地に移住すれば、その人も蝦夷になります。例えば北海道の地に住む「アイヌ」と日本人は、人種が違うなどといってきましたが、そうではないのです。
そもそも私達日本人が、同じ顔つきの韓国や中国の人達と違う点は、異なる言語、風俗、習慣、価値基準、そして異なる政府の下にいるということだけであって、そうした要素をなくしてしまえば違いはほとんど分らなくなります。
蝦夷も人種ではなく、民族と捉えるべきだと思います。
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