セネカ一族の偉大な人物がつぎの世界へ旅立たれていた
昨年12月12日、ジョン・モホークという名で知られたセネカ一族の知者(写真)が、ニューヨーク州バッファロー市の自宅でこの世を去った。バッファローにあるニューヨーク州立大学の教授を永年勤め、その生涯をインディアンの伝統を守る運動に捧げ、アメリカ内外の先住民の精神と権利の回復運動にこの30年間影響を与え続けた人物だ。1970年代を通してアクウェサスネ・ノーツ(Akwesasne Notes)というアメリカ・インディアンのための全国新聞に寄稿し続け、その智慧と深い洞察力で先住民権利回復運動の限界を押し広げた偉人でもある。20世紀後半の先住民運動に決定的な方向付けをし、現在に至るまでなお影響を与えている古典的名著の——先ごろ再版された——『意識にたいする基本的な呼びかけ(Basic Call to Consciousness)』は、彼が77年にホーデノショーニ(イロコイ)のチーフたちやホピなどの伝統派エルダーたちとともに作りあげたものだった。というより過去30年間のホーデノショーニの人たちの権利回復運動の舵を取っていたのが彼だったと言っていい。最後にわたくしごとをいうと、宮田雪監督がドキュメンタリー映画『ホピの予言』の制作にあたって多いに影響を受けたもののひとつがアクウェサスネ・ノーツ新聞であり、「Basic Call to Consciousness」という書物だった。享年61歳。一昨年に亡くなられたヴァイン・デロリアJR氏(2005年11月没)といい、ジョン・モホーク氏(2006年12月没)といい、偉大な巨木が失われたような気がするのは、ぼくだけだろうか。
「先住民の国には陸軍もなければ海軍もない。国際通貨もない。西欧諸国が独立国家を作りあげるものとしている多くのものを、われわれは持っていない。それはそうなのだが、それでもわれわれには、過去千年間そうであり続けたように、独自の共同体として生きる道徳的権利があるとあえていいたい。そしていろいろな点において、この世界のいかなる基準から見ても、人類が長期にわたって生き残るための唯一現実的な希望は、先住民文化にある地球との関係の持ち方なのである」ジョン・C・モホーク (Ph.D) セネカ(ホーデノショーニ)
「Native News Update」カテゴリの記事
- ホピの国にこの50年ではじめて建てられたホテルの外観と内装をご覧ください(2009.11.30)
- ローラ・インガルス・ワイルダーが「大草原の小さな家」の初版のある部分を十数年後に書き直していた背景になにがあったか、あるいは野蛮人は人間ではないという無意識に焼き込まれた保守思想(2009.11.03)
- 古代のアボリジニのなかにはウサイン・ボルト選手よりも早く走れた人がいたかもしれない(2009.10.22)
- ネイティブ・アメリカン部族国家会議がホワイトハウスで開催される(2009.10.20)
- 今年ホピのスネーク・ダンスの儀式に非アメリカ・インディアンの見学者の立ち入りが禁止された(2009.10.16)
The comments to this entry are closed.
Comments