世界先住民ウラニウム・サミット宣言
今日ここに掲載するのは、昨年11月30日から12月2日までアメリカのナバホ国の首府ウィンドウロック市のナバホ国立記念館で開催された「世界先住民ウラニウム・サミット」と「核のない未来賞受賞式」の最終日に採択された宣言文の翻訳です。
世界先住民ウラニウム・サミット宣言
アメリカ、ナバホ国、ウィンドウロック
2006年12月2日われわれ、世界先住民ウラニウムサミットに集いしものたちは、母なる地球とすべてのいのちにたいする核の脅威が高まりつつあるこの危機的なときに際し、ウランの採掘、処理、濃縮、そして燃料としての使用、また兵器としての実験と開発、さらには核廃棄物のネイティブの人たちの土地への廃棄を、世界規模で禁止することを要求する。
地球の先住民たちは、過去の、現在の、そして将来の世代にわたって、国際的な核兵器開発企業と電力産業に、過度の影響を受けてきた。核燃料の連鎖(チェーン)はわれわれの一族と、大地と、空気と、海とを汚染し、われわれのまさに存在そのものと、われわれの未来の世代を脅かしつつある。原子力は地球温暖化を解決するものではない。核燃料の連鎖(チェーン)を助長するウランの採掘、核エネルギー開発と、そのための国際的合意[例えば最近の合衆国とインドとの核協力条約など]は、われわれの人権の土台のみならず、母なる地球の基本的な自然の法に背くものであり、われわれの伝統文化とスピリチュアルな安らぎを危険にさらしている。
われわれは、1992年のザルツブルグ(オーストリア)における世界ウラニウム公聴会における「ウランおよび他の放射性鉱物は、ほんらいあった自然の場所にとどめ置くべきものである」とする宣言を再確認する。さらにわれわれはディネの人たちの基本法に則ってウラン採掘と処理を禁止した「2005年のディネ天然資源保護法」を成立させるためにナバホ国と連帯して立ちあがる。
地球の先住民は、スピリチュアルに、そして文化的に、われわれの母である地球とつながっている。したがって、われわれは再生可能な、先住民の大地と地球の生態系を破壊するのではなく持続させるエネルギー資源の開発を支持し、促すものである。
われわれは、われわれの先祖に対する敬意を表して、植民地主義に対する抵抗の世紀を続ける。地球各地の先住民の国々、そしてオーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、ドイツ、インド、日本、アメリカ合衆国、そしてバヌアツから、今回のサミットに参集したこれら個々の人びとの働きと勇気と献身と犠牲を、われわれは評価する。さらにわれわれは、2006年12月1日におこなわれた式典で、核のない未来賞を受賞した人々のかけがえのない仕事も評価する。そして、われわれは今後も、ウランの開発を止める世界各地におけるこの人たちの非暴力的努力の活動を支え続ける。
われわれは、今回のサミットでわれわれが手にした知識を、世界と共有する決意である。この先一週間から一ヶ月以内に、われわれはさまざまな証言、伝統的な先住民の知識、ウラン開発の世界規模の禁止を正当化するための医学的科学的な証拠をまとめて公開する。われわれは、各部族の、各地域の、各国の、そして国境を越えたレベルでの、先住民による核燃料の連鎖(チェーン)にたいする抵抗を支援するための明確かつ詳細な行動プランを提示する。そして、われわれは地球の先住民と彼らの資源に、過去、現在、将来に渡っておよぼされる核燃料の連鎖(チェーン)からのあらゆる影響にたいして、法的、政治的な補償の追求を続行する。
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