ハード・ロック・カフェを買ったセミノールという部族
すでに2回、北米フロリダ半島の先住民であるセミノール一族によるハード・ロック・カフェの買収については報じてきた。今回はセミノールという部族についての話をしておきたい。
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セミノール、あるいはセミノルと発音されるが、正しくは「フロリダのセミノール部族(Seminole tribe of Florida )」「フロリダのセミノールの人たち(Seminole people of Florida )」という。
セミノールとは「離れた人たち」「逃げた者」を意味する。アメリカ南東部のフロリダ半島とそのつけ根の周辺に広がっている亜熱帯の広大な湿地帯をテリトリーとしていて、現在は全域がエバーグレード国立公園となり、その豊かな生態系がまるごとユネスコの世界遺産にもなっている。
19世紀初頭に合衆国政府がインディアンの強制移住をおこなって東側のインディアンをあらかた中西部のオクラホマに用意された居留地に強制的に移動させた。いわゆる「涙の旅路」と呼ばれるもので、多くの部族がこの悲惨な道を辿らされている。
1819年にフロリダが合衆国の一部に組み込まれたとき、同じ目にあったいくつかの部族、ヤマシー、オコニー、クリークのなかから逃げ出した数百人が、合衆国政府の言うことを聞かずにそのままフロリダにとどまって、そのご南部地域における逃亡奴隷のブラック・ピープルをも吸収してセミノールを構成した。セミノールとは、クリークの人たちの言葉で「逃げた者」を意味し、後にスペイン人がその名前でこの人たちを呼ぶようになったもの。
よせあつめとはいえ勇猛果敢な戦士社会で、1832年に逃亡奴隷を追いかけて南下してきた合衆国政府軍と最初の大規模な戦いを展開してこれを撃退させている。このときの戦争は10年間続いた。セミノールの人たちの自慢は、合衆国政府と今までに一度も平和条約を結んだことのない数少ない部族のひとつというもの。現在のフロリダのセミノールの人たちはあのとき政府の方針に従わず逃げ出して、最後の最後まで頑として元の場所に残りつづけ、合衆国政府をあきらめさせた人たちの子孫である。フロリダとオクラホマにセミノールの子孫は現在も別れて暮らしている。19世紀までは交通手段に檜の丸木から削りだしたカヌーを用い、トウモロコシと魚と肉を主に食べていた。
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