冬至の日のために
あらゆるものに二面性がある。はじまりがあれば終わりがあるように、喜びがあれば悲しみが、ハイがあればローが、夜には昼が、寒さには暑さが、夏には冬がある。明日は冬至。地球で生きる人たちが一年で最も重要な日としてきた日。
ここのところ太陽は少しずつ光りの力を失って、闇にその座をあけわたしてきた。そして明日には、一年でいちばん昼が短くなる日がくる。そしてそれはまた本格的な冬のはじまりでもある。
ホピ・インディアンだけでなく、地球に生きてきたさまざまな部族の国の人たちが、無事に太陽が方向転換をして冬の家を離れてくれるように、地上のものは力を貸さなくてはならないと信じてきた。そうじゃないと太陽はいつまでも冬の家にとどまったまま、永遠に春が訪れないことにもなりかねないから。
太陽に力を貸すと聞いて、奇妙に思う人がいるかもしれない。人間が太陽に力を貸すと言うことは,いったいどういうことなのか? 太陽がきちっと地球に対して力を与える働きを人間が妨害していることはないのか? 人間活動が原因で太陽が十分に働けない状況を作りだしているのではないか? たとえば大きな核爆発が起きると、死の灰が地球の大気をとりまいて太陽を遮り、核の冬がおとずれるという。あるいは二酸化炭素による温室効果で太陽の力が異常な働きをして地球に苦しみを与える。こうしたことは万物の父親である太陽に危害を加えているのではないか?
太陽がきちんと働いてくださるように力を貸すことを、ホピをはじめとして地球に生きる人たちが望んだのは、そういうことをおこさないようにするためなのだと考えることができる。冬至の日にお祭りが行われた理由はまさしくそこにある。冬至の日の祭りにおいて人間は持てるエネルギーを太陽に向けてその活動を助けなくてはならない。太陽と地球といのちの関係を改めて考え直し、太陽にその力を与え続けてくれることを感謝する日。
平原インディアンとされる人たちが、夏になると太陽に自らのエネルギーをささげるサンダンスという祭りを行ってきたように、ホピの人たちは一年で最も長い夜の冬至のときに踊りを太陽にささげてきた。
太陽は冬至の日を境にその向きを180度変える。冬至はまさしく太陽と地球にとってターニング・ポイントなのである。この重要な変化の時に、われわれもまた持てるエネルギーでその変化に貢献しなくてはならないと、地球に生きる人たちは考えてきた。なぜなら、この宇宙に存在するありとあらゆるものは、目に見えない網によって密接につながりあっているのだから。
ホピの人たちは言う。なるほどわれわれには人間としての両親がいることにはいるが、ほんとうの母親は地球であり、ほんとうの父親は「宇宙のすべてにいのちを与えている」太陽なのだと。われわれには地球の家族があるように、宇宙にも家族があるのだと。
太陽が地球とそのうえのあらゆる命に生きる力を与えているように、地球に生きる人間も、太陽が生きて天界を旅し続けるエネルギーを貸し与えなくてはならない。冬至の日の祭りは、われわれが太陽に対してできるささやかないのちの祭りなのである。
で、明日は冬至。正確に言うと、冬至の瞬間、太陽がターニング・ポイントにたどりつく瞬間、何億年も空を旅し続ける太陽が冬の家を離れる瞬間は、日本列島では22日の午前9時になっている。
願わくばあなたが特別な人とそのときを過ごされんことを。
追記 冬至は易の卦でも第二四卦「地雷復」(ターニングポイント・再生)、「地の下の雷」であらわす。
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Comments
明日の冬至には、美味しいかぼちゃのお料理と温かいゆず風呂に入り心と体を癒そう~っと秘かに楽しみにしていて…。
これまで毎年、親から受け継いだ
「冬至には南瓜食べて、ゆず風呂に入ったらこの1年元気に暮らせるよ♪」
と家族で過ごすのがイベントの一つになっていました。
今年の冬至は特別な日になりそうです♪
太陽に対してできるささやかないのちのまつりに感謝と共に参加しようと思います♪
Posted by: 北村美智子 | Thursday, December 21, 2006 12:40 PM
太陽が、いつでも、昇って来る事を。当たり前と、思ってしまう私です。
貴ブログが、感謝の気持ちを、思い出させてくれます。
日々に感謝。北山耕平サマにも、感謝を。
Posted by: 美紀子 | Wednesday, December 27, 2006 10:20 PM