母グマが子グマたちに聞かせた歌(ツァラギ、チェロキー)
ある日、ひとりの猟師が森のなかを歩いていると、近くの洞穴から歌が聞こえてきた。そっと近づいて穴の中をうかがってみれば、それは母グマが子グマたちに、猟師に追いかけられたときの注意を歌にして聞かせている歌だった。母グマが子グマたちにこう諭す声が聞こえた。
「川を下ってくる猟師の足音が聞こえたら——」
川上へ、川上へ、お逃げなさい
川上へ、川上へ、お逃げなさい
でも子供たちよ、それが川を上ってくる足音だったら——
川下へ、川下へ、お逃げなさい
川下へ、川下へ、お逃げなさい
別の日、森のなかで別の猟師が、母親が赤ん坊に歌を聞かせている声を耳にした。猟師が歌の聞こえるほうに進むと、小枝の陰に隠れるようにほらあながひとつあり、そっとなかをうかがえば、子グマを抱いた母グマが、大きな手で子供をあやしながら歌を聞かせていた。その歌は、彼らが熊に変身する前に覚えた歌だった。
わたしがあなたをおぶいましょう
わたしがあなたをおぶいましょう
わたしがあなたをおぶいましょう
わたしがあなたをおぶいましょう
日当たりのいい背中で おやすみ おやすみ
日当たりのいい背中で おやすみ おやすみ
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