ネイティブ・アメリカン・リザベーション・オン・ザ・ムーン
ニューヨークで活躍されている日本人アーティストのヨシオイタガキ(板垣由雄)氏がデジタル・フォトグラフィとコンピュータ・モンタージュの技法で作りだした「ネイティブ・アメリカン・リザベーション・オン・ザ・ムーン」という息をのむような作品群があります。紹介のために作品のひとつをここに引用しましたが、ぜひ全体をご覧になってください。彼は解説にこう書いています。
「深く根づいた文化的な習慣や習性は簡単に消し去ることは出来ません。人々が馴染みのない場所でどのように振る舞うかを観察するのは楽しくもあり、また人間の習性を発見するいい機会でもあるようです。」
「Native American Reservation on the Moon シリーズも違和感、文化的基盤のない感じを露にしようとしています。ユーモアを保ちながらも、ネイテイブ アメリカンが彼等の元来の土地を失い月面の居住区に送り出されてしまうという仮想の悲劇を展開しています。彼方の月面でなら彼等の伝統文化と風習を守ってゆけるのです。」
「環境の変化や周囲の不調和に関わらず自らの習慣を保とうと思う気持ちは誰もが持っているものです。旅行であれ強制された移住であれ私達は自分達のアイデンティティを守ろうとする傾向があります。違和感を極度に強調されたイメージを作ることにより、こういった人間性を際立てたいと思いました。」
「ネイティブ・アメリカン・リザベーション・オン・ザ・ムーン」はこの設定が必ずしもあり得ないことではないのではないかと思わせる力を持っています。地球のネイティブでありながら、地球を追われた人たちは、月面の居住区でなら伝統を守って生きていけると思わせることによって、彼らが今おかれている現実を浮き彫りにしています。同じように月面をあしらったモンタージュに「ツーリスト・オン・ザ・ムーン(月の観光客)」シリーズもあり、こちらは「普通の人たち」の月面における観光行動をあしらっていて、人間というものを考えさせてくれます。
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