ホワイト・バッファローの男子誕生
ウィスコンシン州のジェーンズヴィルという典型的なアメリカの田舎町の郊外にある牧場(ハイダー牧場)で白いバッファローの女の赤ちゃんが誕生したのは12年前の夏(1994年8月20日)ことだった。人間性の回復と希望、そしてあらゆる生きてあるものたちとの調和の象徴としての白いバッファローの娘の降臨は、長くラコタの予言に伝えられていたものであり、ネイティブピープルのみならず世界中の多くの人たちの関心を集めたハイダー牧場の白いバッファローは、「ミラクル」と名づけられて大切に育てられた。彼女が誕生したことをきっかけにして、「WPPD(World Peace & Prayer Day)」がはじまり、その影響下でこのブログもはじまったことは、すでにどこかでお伝えした。ミラクルは4回毛の色を変化させた後、正確には白色から黒色へ、そして赤色へ、最後に黄色へと毛の色をかえたあと、日本列島の富士山で「WPPD(せかいへいわといのりの日)2004」が行われた年の秋に、この世界の旅を終えた。正確には2004年の9月19日に、突然一切の食べものを食べなくなりそのまま死んだ。ここまでは過去の事実を追いかけて記述したに過ぎない。
そして今年の夏、つい2週間程前の8月25日、場所もまったく同じウィスコンシン州のジェーンズヴィルのハイダー牧場で、再び奇跡が起きた。雷をともなう嵐が牧場を包んで去った直後の早朝、またしても白いバッファローの子供が生まれたのである。そして今度は男の子だった。ミラクルがそうであったように、この男の子もいわゆる「アルビノ」ではないという。ハイダー夫妻はいたずらに世界の好奇心をかき立てたくないとの理由から9月8日までこの事実を公表しないできた。
ミラクルの再臨か
ハイダー牧場の人たちによって、新しく地球にやってきた彼は「ミラクルの再臨(Miracle's Second Chance[ミラクルに与えられた2回目の機会])」と命名されていた。ハイダー牧場のハイダー夫人は、なぜその名前をつけたのかという質問に、彼の仕草などが最初のミラクルとよく似ているだけでなく、その姿形までもが「そっくりだったから」と応えている。また牧場で飼育されている他のバッファローたちの群れも、彼がミラクルと同じようなユニークさを持っていることに気がついていることは明らかだという。バッファローの群れたちは、ミラクルの時がそうだったように、「ミラクルの再臨」くんもまた、群れのまんなかに常に位置するように意図的に行動しているそうだ。また別の母親バッファローは、自分の子どものバッファローが彼に突っかかろうとすると、わざわざ間に入って喧嘩をさせないようにしてもいるらしい。
この驚くべき「ミラクルの再臨」は遺伝学的にはミラクルとはまったく縁もゆかりもない。それほど遠くない昔に、ミズーリ州でハイダー牧場の主が、家の牧場のバッファローの群れに元気と活力を与える目的で購入した品評会のグランド・チャンピオンのバッファローが母親である。雄親は荒くれで凶暴な困りものの10ヶ月の雄バッファローで、しきりと牧場のフェンスを跳び越えようと試みる厄介者だったらしく、子供が生まれるのを見る前に食肉として解体されて、ハイダー氏に言わせると「とっくにハンバーガー・ヘルパーにされて」しまっていた。この雄が種付けをして現在妊娠中の雌のバッファローが他にまだ二頭いる。
女の子でなくて残念の声も
ミラクルが誕生した1994年以来、全米各地でホワイト・バッファローが何頭も生まれるようになっていることにお気づきだろうか? なかには「アルビノ」のものがいて、アルビノの場合は普通は「白いバッファロー」の数には加えられないし、そうでなくてもたいていはみな長生きできない。他の牛との混血だったというケースもある。もちろんなかには生き続けているホワイト・バッファローたちもいるわけで、今回新たにそのリストに「ミラクルの再臨」が加えられたことになる。
今度誕生したホワイト・バッファローが男の子であったために、予言の成就ではないし、ミラクルほどの神聖さはないのではないかとする声もある。しかし男であれ、女であれ、白いバッファローはネイティフ・アメリカンの国々においてはいずれにせよ神聖な存在と受けとめられてきたことは間違いない。スピリットの世界には「変性女子(へんじょうにょし・女性の御魂を持って生まれている)」という便利な考え方もある。ハイダー牧場にはこのニュースを受けて再び人々が祈りをささげに訪れはじめているし、そもそもハイダー牧場のあるその土地そのものが、ネイティブの人たちにとっては「聖地」とされ続けてきた土地なのだと主張する先住民もいるのである。
スピリットの世界でなにかが起きているらしい。
地元新聞 Janeseville Gazette (Published Saturday, September 9, 2006) の「White buffalo birth remains 'extremely rare'」という記事
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Comments
なにはともあれ、ミラクル再臨くんのご誕生をうれしく思います。最近良いニュースが無かったので余計に微笑ましく感じています。
僕がローリングサンダーにお会いしたとき、テレビに映しだされていたのはホワイトバッファローのお話でした。それを見ながら色々なお話をして頂きました。でも「映画はやっぱり七人の侍がVery good!」って仰っていました。
とにかくこのご誕生が良い兆しであることを願います。
Posted by: 眞司 | Wednesday, September 13, 2006 09:36 PM
初めまして。馬頭琴奏者の美炎mihoといいます。
この2月にセドナに行きスエットロッジを体験したときにホワイトバッファローの話を聞きました。その1日前にまだスエットロッジがなにかもしらないで、お土産屋さんでたくさんの絵はがきの中から、ホワイトバッファロー
の絵はがきを買い、どうしてもその絵が気になって、大事に日本に帰ってからも飾っておきました。
ふと、この曲を作ってみようと、軽く考えて、いざ取りかかってみると、7曲のストーリーにならざるをえくなってきて、
ちゃんと調べようと、ネットで調べた所このサイトにたどり着き、この物語の深い意味に感動したり、驚いたりしています。最初は、こんな物語を私が作品にしていいものか?とおもいましたがなぜか、どうしてもやるべきだとどこかで思っていて、
作り始めています。
突然で失礼しますがこの事をお話ししたいと思いメールしました。
美炎
Posted by: 美炎 | Sunday, May 22, 2011 06:16 PM