記憶喪失症のアメリカ
世界でこのことを大声で言う人はネイティブ・アメリカンの人たち以外にはいないのだが、まぎれもなくこの500年間に南北アメリカ大陸で起こったことは、人類史上最大のホロコーストだった。アメリカは知らぬ顔の半兵衛を決め込んで、その事実を否定し続けるのだろうが、ヨーロッパからの渡来人とその子孫によるアメリカ大陸先住民の大虐殺は「なかったことにはするわけがいかないもの」である。ネイティブ・アメリカンにとってそれはおよそ消すことができるような記憶ではないのだ。
UCLAの教授でアメリカ・インディアンの作家としても著名なポーラ・ガン・アレン(Paula Gunn Allen)は今年出版されたアンソロジー『火を食べ、血を味わう——アメリカ・インディアン大虐殺についての大いなる沈黙を打ち破る』(マリホ・ムーア編著)["Eating Fire, Tasting Blood: Breaking the Great Silence of the American Indian Holocaust" by MariJo Moore]という時代を変える力を持った本——アメリカが最もおそれていた本——の中で「アメリカは記憶喪失に陥っている」と指摘した。アメリカが内側に抱え込んでいる孤独という病を癒すためには、意識をとり戻し、ネイティブのものをネイティブに返すしか道はないと、ポーラ・ガン・アレンはそのなかで語っている。
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Comments
こんにちは
今、「Pocahontas,Powhatan,Opechancanough」という本をよんでいます。がEating Fire も是非に読んでみたいです。ご紹介下さって有難うございます。
今日、TBさせて戴きました。お読み下されば光栄です。
バージニア先住民は他州の居留地に住む人達と比べまた違った苦労を抱えて残存しています。合衆国政府の認証を受けてない6部族は教育や医療などの特権も受けてません。彼らは自分達を "First to welcome, Last to be recognized" の部族だ、と呼んでます。
ところで、私事ですが、以前コメントを頂きましたヤフー・ブログから以下のブログ・サイトに移動しましたのでお報せにあがりました。環境不備でコメントや投稿に問題があり止むを得ず、の処理で、ご迷惑をお掛けすることをどうぞお許しくださいませ。
http://japow.blog74.fc2.com/
「ポカホンタスの里で」
どうぞまたお寄り下さい。細々とやってますので大変な励みになります。 宜しく。
Posted by: 柿の木 | Thursday, September 07, 2006 04:38 AM