女性にたいする暴力は伝統的な共同体ではありえなかった
アメリカン・インディアン・ウィメンズ・ケミカル・ヘルス・プロジエクトという名称のグループが、「ネイティブ・アメリカンの女性の4分の3がその生涯においてなんらかのかたちで暴行を経験する」と主張している。にわかに信じがたい数字かもしれない。アメリカの国立傷害予防対策センター(National Center for Injury Prevention and Control)が提出した数字はそれに比べてかなり控えめであるものの、しかしそれでもかなりゾッとするものがある。それによれば「アメリカン・インディアンおよびアラスカのネイティブの女性がレイプされる率は34%にのぼっており、黒人女性の19%、白人女性の18%にくらべてかなり高い」のだそうだ。
法務省の肝いりで先ごろコロラド州デンバーに総勢100人を超すネイティブ・アメリカンやアラスカのネイティブの代表が集まり、実際の数字を確認しあった結果、先住民の権利のために様々な活動を続けてきたナショナル・コングレス・オブ・アメリカン・インディアン(NCAI/全国アメリカインディアン議会)の会長も「DV(家庭内暴力)や性的暴行の蔓延を憂慮している」と認めるに至った。
NCAIの公式の発表によれば「アメリカン・インディアンは一般的に他の人たちに比べて生涯に暴行を受ける率がはるかに高い。アメリカン・インディアンとアラスカのネイティブの女性の3人に1人が強姦されている。アメリカの一般の数字では強姦の被害者は5人に1人である」となる。
この驚愕すべき数字を前にしてネイティブのリーダーのひとりは「女性にたいする暴力はわれわれの伝統的な共同体ではありえなかった」と語った。今後は独自に法律による規制を求めていくことになりそうだ。
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Comments
こんにちは、私はアメリカのDV Shelter で働いています。
確かにネイティブアメリカン/アラスカンの女性が家内暴力やストッキングに合う率は他の人種に比べて随分高いのですが、加害者は必ずもネイティブの男性ではなく、白人の率が一番高いようです。
Posted by: 朝日 | Saturday, September 23, 2006 03:18 PM
朝日さん。報告ありがとう。女性にたいするリスペクトを失うのと、地球にたいするリスペクトを失うのとは、両方とも本質的に同じことのような気がします。加害者の心のなかで起こっていることですが。
Posted by: Kitayama "Smiling Cloud" Kohei | Sunday, September 24, 2006 01:26 AM