NUCLEAR NATIVE EARTH
白山から昨日の午前に戻った。終日仕事に追われ、眠りについたのが午後10時過ぎ。今朝目を覚ましてコーヒー(ローリング・サンダーが「ブラック・メディスン」と呼んでいたもの)を飲みながらたまったメールを整理していたら、くしくも「高レヴェル核廃棄物処理場」についての知らせがふたつ届いているのを見つけた。
良いニュースと悪いニュースがある。
あちらでは高レベル核廃棄物処理場計画を撤回
まずは良いニュースから。アメリカのユタ州にあってウエスタン・ショショーニの隣の部族であるゴシュート・インディアンの居留地のなかのスカル・バレーという沙漠に建設予定だった「高レベル核廃棄物処理場」計画をアメリカ合衆国の国務省がとりあえず断念したというニュースだ。こういう計画の背後では当然莫大なお金がちらつかされるわけで、ゴシュート・インディアンは部族の中の賛成派と反対派で二分されていたし、ショショーニをはじめ近隣のネイティブや住民を巻き込んでの反対闘争が9年間続いただけに、計画撤回に追い込んだ意義は大きい。長く困難な反対闘争の前面にたち続けたショショーニの精神的指導者たちがこの反対闘争に有形無形に支援の手をさしのべてくれたみんなに感謝のメッセージを出している。「これはわれわれみんなの勝利である」と。
しかしただ無邪気に喜べばよいと言うものでもない。ゴシュート・インディアンの推進派のなかには、高レヴェル核廃棄物処理場よりもはるかにやばい「核燃料サイクル処理場」のスカル・バレーへの誘致をもくろんでいる人たちがいるからだ。今後はこの動きにも目を光らせ続ける必要があると、とりあえずの勝利を喜ぶショショーニの人たちを支援するグループからのメールは伝えていた。
こちらでは高レベル核廃棄物処理場誘致計画前進
そして悪いニュースの方をお伝えする。当ブログの読者の方からのメールで、われわれの暮らしている日本列島の、かつて倭人によって「大八洲(おおやしま)」と呼ばれた八つの大きな島のひとつである四国という島の母なる川四万十の源流にあたり、貧しい政治の結果による過疎と財政難に苦しんできた高知県の山奥の津野町(Google マップで航空写真と地図を見てください)に、高レヴェル核廃棄物処理場の建設計画がもちこまれて、昨日12日の町議会で全会一致で誘致が採択されそうだと知らされた。このあきれるほどに悲しいニュースを伝えるブログをぜひ見てくださいと。
アドレスを教えられたブログ「空をみるひと」というブログによれば、もともと奄美大島に建設計画が持ちあがり、地元の強硬な反対で流れた計画が、四国の山間地で四万十川の源流点にあたるこの町に、おいしい話として持ち込まれたのだ。昨日のことなので、すでに採択されたたのかもしれない。でも手遅れになったわけではない。たくさんの人たちの意識をこの四国の山の中の小さな町に集める必要がある。ぼくの所にメールを送ってくれたその人は「こういう事に対して、知らないふりもできないし、他人事でもない。」と書いている。
ショショーニの人たちが、自分たちの裏庭である沙漠に計画されたの高レヴェル核廃棄物処理場を9年という長い月日をかけて断念させたことからでもわかるように、核廃棄物処理場を巡る四国高知県津野町でのほんとうの闘いは、町議会が誘致を認めたときからはじまっている。人々が『津野町ラプソディー』を見なくてもすむようにするための長く困難な闘いのはじまりだ。とにかくその現場に、多くの人たちの汚れのない意識を集めなくてはならない。
巻頭の図版は mixi のなかにあり、ぼくも時々参加している「RA : RADIO ACTIVE」という「核兵器、原子力発電、ウラン採掘などによるヒバクの現状を愛によって越えるためのコミュニティ」のロゴタイプ。そして以下の呪文はその掲示板のひとつで最近更新されたもの。
追記(午後3時15分)「津野町に核廃棄物処理施設の誘致・建設に反対いたします」というネット署名箱がさっそく立ちあがっている。ここには関連するサイトへのリンクもある。なお記事のなかで紹介したブログ「空をみるひと」は現在アクセスができなくなっているようだ。
「津野町に核廃棄物処理施設の誘致・建設に反対いたします」書名箱
原子力について忘れてはいけない呪文(改訂版)
- 原子力はクリーンエネルギーじゃない。
- 原子力は安いエネルギーじゃない。
- 原子力は地球温暖化への解答じゃない。
- 原子力は安全なものじゃない。
- ウラニウム採掘には危険がいっぱい。
- 核兵器の投げかけた脅威は終わってない。
- 核廃棄物の問題はずっと未解決のまま。
- 核施設の誘致はその土地を豊かにしない。
「Native News Update」カテゴリの記事
- ホピの国にこの50年ではじめて建てられたホテルの外観と内装をご覧ください(2009.11.30)
- ローラ・インガルス・ワイルダーが「大草原の小さな家」の初版のある部分を十数年後に書き直していた背景になにがあったか、あるいは野蛮人は人間ではないという無意識に焼き込まれた保守思想(2009.11.03)
- 古代のアボリジニのなかにはウサイン・ボルト選手よりも早く走れた人がいたかもしれない(2009.10.22)
- ネイティブ・アメリカン部族国家会議がホワイトハウスで開催される(2009.10.20)
- 今年ホピのスネーク・ダンスの儀式に非アメリカ・インディアンの見学者の立ち入りが禁止された(2009.10.16)
「Sharing Circle (Infos)」カテゴリの記事
- トンボから日本人とアメリカインディアンのことを考える(2010.09.03)
- ジャンピング・マウスの物語の全文を新しい年のはじめに公開することについての弁(2010.01.01)
- ヴィレッジヴァンガード 下北沢店にあるそうです(2009.12.30)
- メリー・クリスマスの部族ごとの言い方
(How to Say Merry Christmas!)(2009.12.24) - 縄文トランスのなかでネオネイティブは目を醒ますか 27日 ラビラビ+北山耕平(2009.12.16)
「Koyaanisqatsi (Life out of balance)」カテゴリの記事
- デニス・バンクス、日本への祈り 石川史江訳(2011.04.01)
- 放射能はナバホの人たちの大地と人をどう変えてしまうのか(2011.01.24)
- 誰の目にも明らかな20世紀の地球温暖化(2009.10.09)
- 原発のフル活用だなんて災いを地球規模に拡大するだけ(2009.09.29)
- それでも故郷が水の底に沈まなくてよかったと思える日は必ずくる(2009.09.23)
The comments to this entry are closed.
Comments
良いニュースと悪いニュースをありがとうございます。
ブログ「空をみるひと」にアクセスできないのは、それだけ多くの方々が関心を持っている証左ですね。
「六ヶ所村ラプソディ」のページに東○電力のリンクがあるのは、不思議な眺めでした。
まだ見ぬ将来の子供たちは何を望むのか?
多くの人たちの汚れのない意識を集めなくてはならないですね。
Posted by: Tas | Wednesday, September 13, 2006 04:05 PM
北山さん、みなさん、こんにちは。
本文中で紹介されているBLOG『空をみるひと』のkuuです。
>なお記事のなかで紹介したブログ「空をみるひと」は現在アクセスができなくなっているようだ。
スミマセン。
記事本文中に個人情報が含まれていて、ご本人よりクレームが入ったため、「非表示」となっていました。
その方は、誘致の陳情書提出の代表だったのですが、その後その役を辞退したそうです。
個人情報を削除したため、通常通り表示されるよう復旧するはずです。
関連記事あり。
「呪文」も、引用、トラックバックさせて頂きました。
よろしかったら、ぶらっと訪ねてみて下さい。
ご挨拶と、お知らせまで。
Posted by: kuu | Thursday, September 14, 2006 04:48 AM
北山さん
いつもいつもありがとうございます。
50年後は、遠い未来ではないです。
そして「今」のことだけで
本当に失くしてしまっていいものなのか。
失ってから人間の手で簡単に作り直せないものは
今 時間をかけて
どうするのがいいのか
みんなで考えたほうがずっとずっといいですよね。
Posted by: asuka | Saturday, September 16, 2006 12:55 AM