地球規模の気温の上昇が過去数百万年で最も高く危険な状態に近づいていると2日前に科学者たちが警告した。研究によれば、地球全体の気温がこの30年間に0.2度(C)ほど急激に上昇していることがわかったという。
地球全体の地表の平均温度は15度から16度といわれているが、仮に地球の気温があと1度上昇するだけで、過去数百万年に最も気温が高かったときに匹敵するまでになるらしい。今回警告を発した研究グループのリーダーである航空宇宙局(米国、NASA)のジェームス・ハンセン氏は「この数字はわれわれが自らつくりだしている公害によって危険なレベルに近づきつつあることを示している」と語った。
アメリカ環境保護局は人間が原因の温室効果ガスが過去50年の気温上昇の最大の原因であるとしている。さまざまな要因があるものの、とりわけ化石燃料を盛大に燃やすことから発生するガスが、地球の表面に熱を閉じこめる働きをしているようだ。
ハンセン氏は「このままあと1度地表の温度が上昇すれば危険な限界を超えるだろう」と言う。この研究に直接参加していない気象学者のアラン・ロボック氏(ルトガーズ大学教授)も気温の上昇を認めたうえで「過去数千年になかったぐらい気温が上昇していることは間違いありません。これが数百万年となるとデータがないのでなんとも言えないし、調査結果の詳細を見たわけでもないのですが、おそらく正しいのではないか」と語る。
今回の調査でもうひとつわかったことは、極地に近づくほど温暖化が激しさを増していると言うことだ。なぜこういう事が起こるかというと、地球が温まると言うことは雪や氷が融け出すということで、それまで白いものに覆われて太陽光を宇宙に反射していた地表の部分が減少して黒い地表が露わになり、その部分がさらにたくさんの太陽エネルギーを吸収するようになるからという仕組みらしい。
このブログでも先日「北極海がやばいことになってる」(Native Heart, Friday, September 15, 2006)でお知らせしたばかりだが、温暖化が最も顕著なのが図を見てもわかるように南と北の極地周辺である。
しかし緯度が高くなればそれでもまだ気温の低いところが残っていて、そうした気温の低いところでないと生き残れない動物や植物たちが、今までの生活空間が気温の上昇によって耐えられなくなって、こぞってそうした気温の低い場所を求めて移動を開始しているというデータもある。
今回「地球温暖化が危険なレベルに」という警告を報じた「ライブ・サイエンス・ブログ」は2003年の調査結果として、1700にもおよぶ植物や動物の種が、過去50年間、ほぼ10年ごとに6.4キロずつ南北極地に向かって移動しているとする科学者の報告を伝えているし、1975年から2005年までの30年間を取りあげれば、その移動の速度は10年ごとに40キロにもなるとしているのだ。
「気象圏の急激な移動は自然界に暮らすものたちにストレスを与えています」とハンセン氏は語る。「このままの勢いで人類が開発を続ければ、生息環境を失うことによってさらなるストレスが加えられるでしょう。われわれが地球の温暖化の速度を遅らせなければ、多くの種が絶滅しかねないのです。言うならば、われわれは彼らをこの惑星から追放しようとしているのです」
*巻頭に掲載した図表はNASAが公開したもので、2001年から2005年までの平均気温の変化を地図上に色で表したもの。2005年は記録にある限りで最も熱い1年だった。赤が濃くなり赤茶に近づくほど温暖化が激しいところをあらわし、紫色に近づくほど気温が低くなる。
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