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Thursday, August 10, 2006

絶滅危惧言語とネイティブスピーカー

beads turtle

まだ見ぬ友のひとりに「ハマンダ」こと濱田信吾くんがいる。彼はアメリカのオレゴン州にあるポートランド州立大学大学院の人類学部でアメリカ先住諸民族とアイヌ民族を主にした先住民権研究をしている。いや、つい先日卒業したらしいので、現在は人類学の先生になるための準備期間中なのかな。実はブログをはじめて以来、アメリカに在住で、ネイティブ・アメリカンについて学んでいる人たち何人かと知りあいになった。ハマンダくんもそのひとりだが、ワシントンやオレゴンの北西太平洋沿岸地域のネイティブについて学ぶことや教わることが多いので、彼のブログやウェブサイトを時々のぞいている。

今回彼のブログ「Current Hamandaology アメリカ大学院に留学中 郷に入れば郷に従うハマンダの日記」を紹介するのは、8月7日に彼が書き込んでいた「ワスコ語」についての記事が心に残ったからだ。

それによればこの8月6日(4日前のことだ)に「オレゴン州にあるワームスプリングス インディアン居住区(Warm Springs)で、91歳のおばあさんが亡くなった」とある。そして「この人は北アメリカ北西部で話されていたインディアン言語の一つ、ワスコ語(Wasco)のネイティブスピーカーでした。自分の母語であるワスコ語の保存と復活のために部族、学者とともにワスコ語の研究に貢献されていた人です」と説明が続く。

詳しくは彼のブログをぜひ読んでほしいが、このおばあさんが他界したことで、現在ワスコ語を聞いて話して育ったワスコ語ネイティブスピーカーの残りがわずかふたりになってしまったという。言葉が消えていくということは、歴史や伝統や文化とそれらをつなぎあわせる豊かな知恵をひっくるめたひとつの宇宙が消滅するということである。

「800以上あったとされるアメリカ先住民の言語のうち、500言語は危機言語かすでに絶滅した状態。話者数が増加しているのはナバホ語だけ。話者数がいまだに22000人と言われるチェロキー語も、次の若い世代へのチェロキー語教育がうまくいってないらしく、先行きは暗い…。」と彼は書く。

北米大陸において、わずか500年ほどで500もの宇宙が消滅してしまったというおそろしくも壮絶な事実と、ぼくたちは正面から向かいあわなくてはならない。ハマンダ君のこの記事の最後の言葉はつぎのようなものである。

「しっかし日本語最後の話者になったらどんな気分なんやろか?」

*ワスコは川の一族。オレゴン州の中央部、カスケード山脈に連なるコロンビア川の上流をテリトリーにして基本的には川における鮭漁の文化を伝えてきた。

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Comments

真剣な内容の日記のはずなのに最後が言葉足らずですいませんでした(笑)。

こちらに留学している日本人学生と以前危機言語について話になったとき、「どうしてインディアンの一言語がなくなるといけないんですか?」って聞かれたことがあります。言語には、文化や歴史や知識がいっぱいつまっている、といってもどうもとらえにくいという人がいるんですよね。それで、こんな会話になったときに「君が日本語最後の話者ならどうする?」、と質問をしたりするんです。返事はいろいろですけどね。言葉につまった様々なかけがえのないモノに気づくことは出来ると思うんです。

日記の元にしたIndian Countryの記事リンク載せときますね。

http://www.indiancountry.com/content.cfm?id=1096413444

あと日記内で書いたワームスプリングスの人々と言語復興のために働いている日本人言語学者は私の学校の先生です。先住民のために先住民とともに研究を行っているという点でとても参考になります。

Posted by: ハマンダ | Thursday, August 10, 2006 at 02:50 PM

お久しぶりです。葉月です。
昨年のカチーナ展でのライブでお会いして以来
なかなかメールできずにいました。
今、波照間島に住んでいるのですが
こちらのnative言語も絶滅危惧だなあと日々感じていたので
コメントしてみました。
お盆のお祭りで伝統の狂言があったのですが
70歳以上でないともう理解できないそうです。
この島の場合、言葉よりも先に
表現されていた自然環境がまた住民の生活様式が
サトウキビ産業によって大変化(大破壊?)されてしまったので
日本語しか通じなくなる日も近いです。
この島にしかないのに
この島の言語を研究している人もいなさそうだし
それを危惧としてとらえている人も果たして日本にいるのかどうか?
ちなみに伝統であるお盆の祭りの演者の7割が
日本から住み込みで民宿などにアルバイトにきている人でした。
なんだかなあ。。。という感じです。

いつもありがたく見させてもらっています。
いつかまたどこかでお会いできる日を楽しみにしています。
またこんどゆっくりメールします。
それでは!
にーはいゆ〜(波照間島でありがとうの意)

Posted by: alohazuki | Friday, August 25, 2006 at 01:30 AM

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