明日の神話
「メキシコはけしからんところだ。数千年も前から俺のイミテーションをしている」——岡本太郎の言葉
昨日は川崎の郊外の生田緑地というところにある岡本太郎美術館(小田急線向ヶ丘遊園地駅から徒歩20分)に家族で行ってきた。さまざまな彫刻や絵画と並んで、原爆が炸裂した瞬間を描いたとされる『明日の神話』という作品の縮尺バージョンも展示されていた。岡本太郎氏が1960年代末にメキシコで制作した壁画で、この巨大壁画が作られていくまでがさまざまに見ることができる。昔、友人とやっていた事務所が南青山にあり、その事務所から数十メートル先に、現在は岡本太郎記念館となっている岡本太郎氏のアトリエがあって、よく庭先に無造作に置かれた太陽の塔の顔の部分などを塀越しにながめたものだった。敗戦後の日本で、縄文様式の美を、日本列島先住民のリアリティを、芸術家の直感によって最初に発見したひとりとしての岡本太郎というアーティストについては、きっとまた書くこともあるだろう。いずれにせよナガサキとヒロシマのことを後世に伝えるために残された『明日の神話』は「核爆発」と「現在」と「未来」と「神話」のつながりを実に大胆に描き出していて、一見に値する。これは夏の間に実物を汐留の日テレプラザまで見に行かなくてはなるまいと、家族で衆議一決した。
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Comments
7月の初め、「明日の神話」を観てきました。
途中小雨が降ってきましたが、雨に打たれてるなーと思いながらも、動けませんでした。
私の奥の炎が燃えた瞬間でした。
Posted by: ゆきやなぎ | Monday, August 07, 2006 07:56 PM
8月5、6、7と広島に行ってきました。6日は平和記念式典に参加した後、炎天下の中、広島の街を歩きました。爆心点より380mのところにある旧日本銀行広島支店で「明日の神話」を広島に誘致しようという署名用紙が置かれていました。
ヒロシマであれ、ナガサキであれ、この絵があるのにふさわしい場所で多くのひとにメッセージを投げかけ続けることを願います。
今、この日本列島に暮らすわたしたちは、重大な岐路に立たされています。時期自民党総裁最有力候補と言われているかたは、「日本が核武装することも必要」とおっしゃられています。わたしたちは、そのような考え方の人と未来をともに歩けるのでしょうか?
今年の広島市長の平和宣言には「私たちが目覚め起つ(たつ)時が来たのです」とあります。これまで沈黙してきたひとたちが、「もの言う羊たち」に変わるとき大きな力が生まれると信じています。
Posted by: Junko K | Wednesday, August 09, 2006 09:05 PM
昨日、マリア台風(7号)がかすめて通過した直後に東京の汐留に家族で出かけました。室内でないために雨天の時には公開が中止になることもあるらしく、到着時には「明日の神話」には覆いがされていて見れなくなっていましたが、しばらくあたりを歩き回っているうちに覆いがとられて、無事見ることができました。あたりまえですがとても大きい。そして結構沢山の人がこれを見に来ていることに驚きました。あらかじめ美術館に行っていてよかった。感想をひとつ言えば、日本テレビの客寄せに使われるよりも、もっとふさわしい場所にあるべき作品であることは間違いありません。折しも昨日はナガサキで追悼集会が行われて、「核兵器廃絶がすすまない」ことに怒りの声があがっていたのですが、ぼくの意見としては「核兵器廃絶」ではなく「すべての核の廃絶」であるべきではないかと改めてこの絵を前にして思いました。原子力に「平和利用がある」とする考えを受け入れた上での「核兵器廃絶」には、すべてのいのちはつながっているという世界観の前では、説得力もリアリティもありません。いかなるご縁の元にか、ヒロシマの日に川崎市郊外の岡本太郎美術館に行き、ナガサキの日に汐留に出向いて「明日の神話」を見たことになります。汐留の日本テレビのあるあたりは、実に薄っぺらな摩天楼による都市文化の吹きだまりのようでした。もう一度今度はそれを見るのにふさわしいところで見てみたいとの思いを強くしました。
Posted by: Kitayama "Smiling Cloud" Kohei | Thursday, August 10, 2006 09:52 AM
8/20 汐留にて、見てきました。
雨の中、たくさんの方々が、列んでいました。
詳しく分からずに、見て来た、自分が、恥ずかしいです。
やはり、汐留のイベント広場に、長い間置くべきでは無いと思いました。
そして、まるで戦争を知らない私には、何が出来るのか…、
考えるきっかけになりました。
Posted by: 美紀子 | Tuesday, August 22, 2006 01:09 AM