地球のエルダーたちの声を聞く
先日、石についての本を刊行した。石とネイティブ・ピープルやシャーマンとの関係についての長年の考察をまとめた『パワー・オブ・ストーン』(荒地出版社)という本だ。わたしはその中で「石は地球で最も歳をとった人である」と書いた。石はどんなものであれ、地球のエルダーであるという考え方は、広くネイティブの世界に共通の認識のひとつである。そして同じことが樹木にも言える。樹木もまた地球のエルダーなのであるから。
ためしにどこかの森の中か、山麓に入り込んでみるといい。木がたくさんある。そのなかから若い木を見つけだそう。つぎに年寄りの木も探しだす。それぞれの木のそばでしばしの時を過ごしてみる。風をひらく技術をつかって木に耳を傾け、そのとき自分の頭のなかにどんな映像が映し出されるかを注意深く観察する。しばらくそれをしたら、つぎに年寄りの木のかたわらに行き、同じことをする。耳を傾け、頭のなかに映し出される映像を事細かに観察する。
おそらく年寄りの木のそばにいるときの方が、ずっと自分のこころが落ち着いていられることがわかるはずだ。自分の頭のなかにわきあがってくるさまざまなことの知の質にも大きな違いが見て取れるだろう。大きな木は、確かに知恵によって働きかけてくる。そこで見つかる答えもはるかに深い。
なぜこんなに違うのだろうかと、きっと誰もが考えてしまうぐらい、その違いははっきりしているのだ。年寄りの木は、若い木よりもはるかに多くを知っている。それだけたくさんの風の囁きを耳にしてきているのだ。そのような知恵を多く持つ木を簡単に切り倒すようなことがあってはならない。彼らが長く生きていればいるほど、ぼくたちもより多くのことを彼らから学べるのだから。
われわれは人間の言葉を発することのできないそうしたエルダーたちのいのちを救わなくてはならない。
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Comments
こんにちは。
この記事を読んで、石や木、地球のエルダーたちの偉大さを身に染みました。
>彼らが長く生きていればいるほど、ぼくたちもより多くのことを彼らから学べるのだから。
ほんとうにそう思います。「余程生死に関わるのでない限り、もしくは儀式の為以外」生きている木を切るべきではないと、シャイアン族出身のひとがいっていました。そしてそれはいのちあるすべてのものたちへそうなのですね(たぶん、石などの「生命」のないいのちたちにも)。
仕事で土を使っていますが、土(はに)たちもまた長い時をへてきたものであること、手の触感から伝わる気がします。かれらに触れているとこころが落ちつき、さまざまな事柄が気持ちよく頭のなかを去来して考えが広がってゆきます。
Posted by: 大口のま | Wednesday, June 07, 2006 10:57 AM