ウィヌトゥの人たちの戦の踊りは続いている
カリフォルニアの最北端にそびえる聖なる山のマウント・シャスタの南麓を太平洋に向かって流れるマクラウド川の流域を先祖伝来の地として守ってきたウィネマム・ウィヌトゥ(Winnemem Wintu)一族が、よりによって自分たちが聖地と見てきた土地にはいることを拒絶されて窮地に立たされている。アメリカ合衆国政府の森林監督局が、彼らの聖地をキャンプ場としてシャスタ・リクリエーション・カンパニーという一民間企業に預けたかたちになっていて、部族が使用料を支払うことを拒絶したために、立ち入りを認められなかったもの。歴史がはじまる前から自分たちが聖地として守り続けてきた土地にはいるのにお金が必要になるなんて、彼らは考えたこともなかったにちがいない。
部族の土地の多くが、部族の徹底した抗議運動にもかかわらずシャスタダムが完成して水没し、残された限りある土地のなかで彼らは現在生活を余儀なくされている。ところが今月、月と太陽のサイクルにあわせて一族の聖地で女の子が大人になることを部族で4日と4晩続けて讃えるための大切な儀式を行おうとして禁止されてしまったのだ。儀式は川と川の両岸を使って執りおこなわれるもので、まずは大人になる女の子たちが川の片方の岸で3日間野営をして心身を清める。一族のおばあさんが彼女たちのもとを訪れるから、彼女たちは大人になるための岩と呼ばれる聖なる岩のところで薬草のすりつぶし方などを学ぶ。夜空の月が満月を迎える4日目、少女たちは川を泳いで横切り、対岸でおこなわれている部族の踊りの輪に加わって、そこではじめて一人前の女性として歓迎されるのである。
部族はこの一族にとっては大切な儀式を無事におこなえるよう、キャンプ場の実質的なオーナーである合衆国森林局にたいして、4日間のキャンプ場の無料の貸し切りを要求するなどさまざまに手を打ってきたが、1000ドルの使用料が支払われないという理由で拒絶されてしまった。信仰の自由が侵されているとして抗議をしたものの受け入れられなかった模様。21世紀が始まったばかりなのに世も末ではありませんか。
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Comments
ほんとうですね。
例えばアメリカ政府???にメール?手紙を送る、とか、ネイティブアメリカン以外の人たちでもこういうことに関心を持っているヒ人はたくさんいるんだぞ、みたいなことを伝えたりするとか(うーん、無駄かもしれませんが)なにか、日本人のわたしでもやれることはないだろうか、と考えてはみたものの、途方にくれました・・・
Posted by: mochi | Sunday, June 25, 2006 07:55 AM